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┏┏┏[2004-12-1]┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
 「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
 名古屋ビジネス情報  主宰 川津商事株式会社
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   テーマ: 都市のアメニティー

都市のアメニティーとは一言で言えば人の為の快適空間である。空 間とは客観的に面積を有する空間を意味するが、もちろん抽象的な 季節を感じる空間、癒しを感じる空間も意味する。バブル経済の時 には快適空間と称して大きな器物、構造物が建設された。ある意味 でそれが過剰投資となり、日本中で不良債権のシンボルにもなって いる。

最近登場した名古屋のオアシス21は正にその議論の良い例となろ う。10年前に考えられた構造物自体が今の快適空間を演出するの に必要なのかどうか?しかし現実に名古屋の新しい都市型空間とし て集客が出来ている点において、そんな野暮な議論をする必要がな いのがその答えでもあろう。

オアシス21は最近の行政主体の建築構造物の中では、ナディアパ ークに次ぐ成功事例になる可能性も持っている。成功の秘訣は人が 滞留できる空間であること。しかもイベントなどのエンターテイメ ント性があり人の滞留をもたらしていることである。

従来から名古屋では、久屋大通、若宮大通の名古屋都市高速道路の 架橋下など工夫を凝らした快適空間を設置してあった。しかし快適 空間は好む人好まざる人を問わずいろいろな人にとっての快適空間 となる。例えばホームレスがその例の一つでもある。

ホームレスを管理する社会コストに象徴されるように、樹木の管理、 施設管理、周辺施設管理など空間を管理するコストが社会問題化と なってきた。快適であろうとなかろうと空間自体が行政から見れば 非常に厄介な産物となってしまっている。

巨大建物の建築基準においても、一定の公開空き地を設置すれば何 らかの容積基準の緩和措置がなされ、バブル以降の建築物には公開 空き地が多く取り入れられた。しかし管理者からすると好まざる侵 入者を排除しなければならなく、それが一般の人にとって利用しづ らく、公開空き地とは極めて言いがたい運用管理をとらざるを得な いと言う現実になってしまっている。

不景気において、効率性を追求するあまり、抽象的な遊び、余分な 概念、ユーティリティーな空間な無駄なものとして排除されてしま う。排除が出来なく閉鎖されてもしくは放置されて残っているもの はすべて不良資産と呼ばれている。

時代の変化と共に本来の意図した空間が機能しなくなってしまって いる。しかしその一方で、最近の百貨店のカスタマーサービスとし て、売り場の中に一定の休憩所を設けているところが多い。これも 快適性を演出する空間である。売り場面積を削っても快適性を提供 するために空間を設けている。

百貨店などの商業施設では、如何にお客の滞留時間を長くするかと 言う点が、重要な顧客戦略になっている。リーズナブルな飲料水の 自販機を設置して快適性を演出したりして、また空間の設置場所も 売り場の中心におくか、隠れた端に設置するかによってもその戦略 の違いが見て取れる。

時々好まざる客が侵入していることがあるが、係員が丁寧に説明し て退去させている。管理コストをかけても快適空間をお客に提供し ようとしている。それが大きな利益につながるからである。コスト を払っても快適空間を提供することにメリットがあるのである。

快適性に対する考え方も従来から大きく変わってきている。単に豊 かさだけでなく、自然空間に触れることによる安らぎ、動物ペット 家族との団欒が可能となる事による快適性、例えば歴史建造物を守 る行為のように、価値を感じる事が出来る喜びからくる快適性など など。京都の歴史的建造物、京都の街並みにアメニティーを感じる 事は正にこの点にあろう。

最近では安全性も快適性の大前提である。隠れた端にある空間、ま わりから遮断された空間では安全性が保てられない事は明白である。 コストを払っても安全性を享受したいと言うのが最近のトレンドで もある。安全な商業施設、そうでない商業施設は、その経済パフォ ーマンスにもますます大きな影響を与えよう。

商業施設だけでなく、商業エリアとしても当然快適性を提供して、 集客をし、一度集客した客を出来る限り滞留時間を長くさせなくて はならない。

東京の銀座には以前から「銀ブラ」と言う言葉があった。ウインド ウショッピングなどをして銀座界隈をぶらっとすることである。銀 座の平均的な人の回遊距離が500mとも1000mとも言われ、 その時代の滞留性の尺度ともなっていた。

今名古屋でブランド街といわれる大津通りを三越からパルコまで目 的もなくぶらっとして、面白いから又帰りもリピートしよう思わせ る快適空間となっているだろうか。一部に歩道が狭く煩雑極まりな い空間がある。本来のブランド街には程遠い。

従来から名古屋のシンボルである久屋大通り公園は、本来の都市型 快適空間つまりオアシスであるはずである。しかし時を経てきわめ て閉鎖的な構造となってしまっている。安全性が危惧されるほどで ある。もちろんバリアフリーのニーズが登場する前の構造物でもあ る。

従来の久屋通り公園にある地下街セントラルパークヘ通じる空間部 分と、前述のオアシス21の違いは歴然としている。同じ地下街と 地上を結ぶ空間であっても、オアシス21はオープンなつくりで自 然と触れ合う事ができ、イベントが出来る機能がある。

セントラルパークにも地上との開口部分が1ッ箇所あるが、硝子格 子で仕切ってあり、人、空気の流れを遮断している。地下街セント ラルパークには大きな物の簡単に搬出する手段すらない。例えばテ ナントが大きなクラッシクカーをオブジェで飾りたいとしても搬入 口すらない。

セントラルパークの地下街で空いた空間で何かイベントをしように も、現状その機能がないのである。エンターテイメントを提供する 空間がない事になる。

なるほど空間をつくったが、その空間にトレンドな快適性を付加し て、常に時代にあった空間に作り変えていこうとする手間をかけら れないのが、従来の箱物空間の考えであると言えよう。

アメニティー都市の代表格である京都で、京屋敷と呼ばれる昔なが らの家が壊されてマンションに替わっていく現状を捉えて、アメニ ティーが破壊され、利便性が取って代わっているという論文があっ た。時代が求めているアメニティーを整理して考えないと、それは 破壊という概念でしか捉えられないことにもなってしまう。

名古屋の場合は、例えば栄エリアの快適空間は今のまま保存が良い のか、新しい考え方を再構築するのが良いのかどちらであろうか?

用語補足
従来、都市のアメニティーの議論は、街並み・自然の保全、破壊に 対する規制を意味していた。具体的には、広告看板の排除、高層ビ ルの排除、騒音・公害・廃棄物を産出する施設の排除をその目的と している。当ニュースレターのアメニティーは都市を戦略的に活性 化するためのアメニティーである。

告知
ネットあいち産業情報
http://211.125.171.87/infoaic/default.asp
に「名古屋駅前のビジネス地殻変動」を寄稿しております。

以上



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