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┏┏┏[2003-11-30]┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
 「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
 名古屋ビジネス情報  主宰 川津商事株式会社
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   テーマ: 都築紡績破綻

東海地方の老舗の企業がまた破綻した。都築紡績は戦前1900年 初頭の操業で約100年にわたる愛知県を代表する地場企業であっ た。名古屋を代表する糸財閥であった。日本の戦前戦後の興隆期に 国策産業の紡績で財を築き、バブル経済後の事業展開が結果的にう まくいかなかったようだ。

都築紡績の最近のニュースは、栄三越の南で現在三越の南館が建設 されている土地所有者であった。バブル経済時期にはツインタワー を建設する計画を打ち上げたが、他の地権者の協力が得られず、そ の後地価が下落した最近三越側に売却された。

都築紡績といえば、紡績産業が衰退し始めたオイルショック以降積 極的に不動産業への転換を図った。当時東海地方の紡績会社の多く が同じく土地を放出した。その土地を利用して現在の郊外型大規模 商業施設が成り立っている。

岐阜県、三重県の太陽紡績、帝国紡績、中央紡績、東洋紡績、平田 紡績、近藤紡績、日清紡績、愛知紡績などが1980年代後半から ジャスコ、ダイエーといった大手スーパーに工場用地を提供してき た。そのスーパーもすでにビジネスモデルをチェンジしている。

特に都築紡績は、白川不動産という関連会社を通じて名古屋市内の 不動産投資を積極的に行なった。バブル経済以降安定した不動産賃 料を得ていたはずである。他に比べて非常に質の良い不動産投資を 行っていた企業のイメージがある。しかし今回の破綻で公表されて いる負債額は3000億円にものぼるようだ。

不動産投資というものは決してハイリスクハイリターンな投資では ない。一般事業企業のほうがその収益性の変動は大きい。つまりリ スクは大きい。しかし収益率の良い投資をしているうちはいいが、 投資を広げていくうちに、収益率の低い不動産投資にまで拡大して しまい、非常に大きなリスクを抱えてしまう。

都築紡績に限らず、バブル経済のときに日本全体が非常に大きな投 資を行った。円が360円からプラザ合意を経て一気に円高に移行 したが、その間の国内に蓄積された過剰資金がリスク資産への投資 に向かった。それがバブル経済であった。

投資市場が活況を呈することは資本主義経済にとっては望むべきこ とではあるが、特定の不動産ばかりに過剰投資が行われ、結果的に 収益率の低い投資がなされた。リスク概念がまったく無かった。

景気調整が起きたその後から現在に至るに、その低い収益投資のほ とんどが不良債権となっている。都築紡績の内容を吟味すればおそ らく同じ事が言えるだろう。都心部の安定した収入が得られるビル 以外に、ホテル、遠方のゴルフ場等幅広い投資がなされていたよう である。

今回の企業破綻は、おなじみのデフレ経済下で起きた企業破綻の典 型的な例でもある。しかし今回の事例に象徴されるように、投資に 対するリスクが非常にクローズアップされてしまい、まったくリス クのある投資にチャレンジする環境に無いのが現在の日本である。

資金は全て銀行預金か、借金返済に充てられて、まったくリスク資 産に向かわない。資本主義経済では貯蓄以上の投資が生まれなけれ ば市場は衰退してしまう。

リスクという言葉こそ最近ではよく聞かれるが、何を持ってリスク というかはまだまだ理解されていない。リスクを引き受けた報酬が リターンである。リターンだけ欲しいという投資家には投資は出来 ない。株式投資もしかりである。

今回の事例から考えていただきたいことは、不動産投資が悪いので はなく、不動産投資の仕方が悪いのである。

以上



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