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主筆:川津昌作
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裏アカウントのマーケティング

〈2020年1月15日〉

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年も、関係 読者様からの有意義なお叱り、ご意見、情報をいただきますようお 願い申し上げます。

前回の年末年始号の趣旨は、若者世代の将来に対する不安が様々な 社会現象に大きな影を落としているというものであった。年末年始 の様々なTV特番、新聞特集を見ていても、次世代の将来に貢献す る政策、セクターが評価される社会になる必要があると言う論調が 多かった。地球温暖化問題なども若者の重要な懸念材料である。

世界中で、若者世代の不安が増しており、それが現在の様々な社会 問題の起因となっている。しかしこの問題を突き詰めると、そもそ も若者の将来だけが特別なものではなく、すべての世代、すべての 生き物が今の安定より、将来の不安に対して非常に強い反応を示す ことが理解できる。

日本の高度経済成長以降の豊かな安定した社会も、当代の豊かさよ り、当代が考える自分たちの将来の安定さが、その幸せの本質だっ たのかもしれない。どんな生物も生命維持の危機が予想されれば激 しく拒絶し、リアクションを起こす。今の社会が考える地球温暖化 問題、市場株主第一主義、様々な差別問題から日本が先行している 少子高齢化社会問題、財政悪化・・・など。

少子高齢化問題が、日本の将来の「労働人口」の減少問題として結 婚出産を進める政策は、若者たち自身の幸せのための結婚出産では なく、シニア世代を支えるベースの縮小を憂う、つまり現世代の保 身でしかない。若者たちの本質的なアイデンティーを無視した、正 に若者の自分たちの将来にとって受け入れがたい政策となる。

今年の社会のトレンドは、若者に将来に貢献する政策、コミュニテ ィー、セクター、企業、流行が高い評価を得る点である。下世話な 話であるが、不動産賃貸の弊社事業として、若い社会人に対しては 居住用の賃料を1000円割り引くことを、明記したいとかねてから 思っている。しかしスタンドプレーとして取り上げられる恐れから 明記は行っていないが、話があればポジティブに考えるようにして いる。

さて本題である。今回は、若者世代と言われるZ世代のマーケティ ングを議論したい。1960-1974年生まれがX世代、1975-1995年生 まれがY世代、1996-2012年生まれがZ世代である。さて彼らの裏 アカウントのマ―ケティングとは?

最近、学会などで報告が行われると、パワーポイント等の資料に向 かって聴衆者(学者、研究者)が一斉にスマートフォンを掲げて写 メする。もちろん写メ音が出る場合はプレゼンの支障となる。それ でも重要な、報告では、そんなことを言ってられない。速記より機 能的なデジタル化が容認されつつある。

筆者も、最近はスマートフォンで記録する。しかし写メ音を止める アプリは入れていない。その代りシャッター音の出ない瞬き動画で 取るようにしている。これも時代に即応したノウハウの一つだろ う。

商談をしていても、知らない話題、言葉が使われるとその場で携帯 を出してググる人たちが増えた。商談での携帯をいじりだしたら、 年配の経営者なら烈火のごとく怒りだすだろう。知らないことを知 らないふりをするよりスマートの行動をする。新しい効率性だ。

しかし現実には、多くのイスタブリッシュなセミナー、会合、講演 では必ずと言っていいほど、始まりにあたり「スマートフォンの電 源をお切りください」とアナウンスされる。確かに支障音の問題は あるが、本質的には支障の問題か?リスクを取れない問題だろう か?

海外で、コンサートを聞きに行くと、ほとんどの人がスマートフォ ンで、コンサートを写メしたり、録音したりしている。大型機材は もちろん駄目であるが、スマートフォンは許されている。美術館で もスマートフォンで写メすることは多くの場合許される。

Z世代の特徴が、SNSの多用である。授業中も、仕事中も、食事中 もSNSにアクセスしており、リアルなコミュニケーションより優先 される。彼らの記憶媒体はスマホであり、辞書もスマホである。学 校の試験ではもちろんスマホ持ち込み禁止である。しかしスマホで 調べればわかる程度の事が・・・・。

Z世代のアイデンティティのプレゼンの場は、リアルなコミュニケ ーションではなく、まさにSNSの中にある。それを身もふたもなく 否定して、奪ってしまうことにどれだけの意義があるのだろうか?

若い人のSNSに掲載する自撮り行為をマーケティングで解説する と、一世紀前の画壇の自画像に相当するものだそうだ。リアルなコ ミュニケーションが主流でない社会つまりZ世代のような社会で は、自画像によるアイデンティティの主張が必要になるわけだ。

Z世代のマーケティングの特徴を上げると、まずみんなの話題にな りやすいことを好むとされている。「インスタ映えする」がこの表 れだ。Z世代はブランドのようにマスメディアによる、マスプロダ クトを前提に構築された既存の誰でもしている話題より、これから 大いに盛り上がるような認知の少ない話題にむらがる。

これは、話題になりやすいことを選好し、積極的に仲間との関係を 強化、新しい仲間の獲得をしたいという強い表れだそうだ。評価の 出来上がった既存のブランドでではなく、これから話題になりやす いことに群がるためには、寝食を問わず常にSNSにアクセスするタ イミングの必要があるのだろう。

体験型消費などもZ世代受けするマーケティングであり、そのニー ズの受け皿となるのがサブスクリプションビジネスとなる。しかし この程度のことであれば、私もと言いたいシニア世代も多くいるだ ろう。

Z世代とシニア世代の決定的な違いは何か?Z世代の多くはSNSな どの「裏アカウント」を持っているそうだ。さすがに筆者も、休眠 アカウントは有っても裏アカウントは持っていない。そもそも裏ア カウントで何をするんだ?違法なことか?となる。シニア世代から 見ると受け入れがたい世界だ。

シニア世代が闊歩しているリアル社会が今の都市経済である。都市 経済には、華やかなブランドを着飾り、高貴な規律により守られ、 より上位な高級志向の文明・文化を謳歌するカルチャーがある一方 で、その下位に位置するサブ・カルチャーがある。

着飾って、非日常的なミシュランのレストランで文化美術論議をす る一方で、一切着からず、昼間から世間をはばからずお酒を飲んだ り、場末の居酒屋で性欲をむき出しにして異性を口説き、不倫が横 行する欲望に満ちた場所がある。都市経済はそもそもカルチャー・ サブカルチャーを問わず要望を満たす器である。

Z世代の裏アカウントもまさにリアル社会のサブ・カルチャーに位 置する世界だろう。現在は監視社会である。Z世代の監視から逃れ 彼らの欲望を満たす術こそが裏アカウントの世界なのかもしれな い。「裏アカウントのマーケティング」なんて本を書けば、筆者の 不動産実務書なんかより大ブレイクするのではないだろうか?それ くらいインパクトがある世界だ。

イシュタブリッシュな世代とZ世代と言う分け方をすると、およそ お互いがダメ、ダメ。無視、無視となる。シニア、Z世代共に自分 たちの保身ではなく、「次の世代の為に」これが今年のトレンドと なる必要がある。

将来が明るければ、今現在の苦労なんて乗り越えられる。と言えば 言い過ぎかもしれない。しかし次の世代の人達が憂いなく活躍でき るようにするのが、現世代の役割であることには間違いないはずで ある。

以上

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