ニュースレター

主宰:川津商事株式会社
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特記事項 弊社ニュースレターは、弊社の関係者及びお得意様に限定して、不動産ビジネスを行う上で注目すべきテーマをタイムリーに取り上げ、問題点を共有する為の ワーキングペーパーであります。公的機関を含む他のセクターへの提言、請願、上奏、不特定多数への拡散を目的としたものではありません。転用を禁止します。 取り上げる内容については、成熟した定説を取り上げるのではなく、早熟なテーマを取り上げるため、後から検証すると拙速な結論になってしまっていることもあります。 そう言った事を十分にご理解したうえで、ご参考にしていただきますようお願い申し上げます。

都市マネジメントをになうビジネスプレーヤー

〈2014年年末年始特別号〉

今年も1年、当ニュースレターをご利用をいただきましてありがと うございます。今年の一年を振り返り、総括したいと存じます。今 年一年配信したニュースを見直してみると、商業不動産の担い手と してのビジネスプレーヤーに関する記事が多くありました。

都市マネジメントのリーダーとしてかつての地方行政に代わり、鉄 道事業者が台頭してきた。更に都市の消費機能の核となるセクター が中心市街地の百貨店だけでなく、イオン等を中心とするショッピ ングモールが台頭してきた。都市も新しいビジネスプレーヤーに人 の賑わい、回遊性の核を託すようになってきた。

ショッピングモールの運営主体も流通業、不動産業、鉄道事業者等 参入が多角化し、その活性化により市場が順調に成長し、多くのテ ナントを吸収し、新しいテナントの企業を誘発している。ショッピ ングモールの吸収力は、一部百貨店においてもテナントとしてその 中にビジネス参入するケースも出てきた。

又、地方自治体の中心市街地の再生として有名な四国高松丸亀商店 街は、正に路面モールである。成功するモールビジネスのスタイル を商店街にそのまま持ち込み、更に地元地域商店街のいい点が相乗 効果をもたらしていると言えよう。 経済事業体の強大化は、かつては金融機関の「大きすぎてつぶせら らない」に象徴されるように大きなリスクの象徴と考えられている。 にもかかわらず、大きくなりすぎる事による弊害は過小評価され、 多くの物が一番に群がり、一番に参加する事により得る利益の配分 を目指し始めている。

すべてのセクターにおいて、地域一番だけが成長し、2番、3番は ほとんど序列が無くなり一番に対する従属的な存在でしかなくなっ てきた。日本の都市構造をみても、東京だけが成長し、二番以下の 大阪、名古屋、福岡に成長は見られず一番の従属的存在でしかない。 東京だけが成長してしまうリスクは、地方だけでなく東京も共有し ているリスクである。しかしこのリスクを織り込むシステムがない。 市場は東京一極集中の暴走していると言っていいだろう。

一番のセクターだけが肥大する事はみながリスクを感じている。現 在隆盛を誇るイオン帝国はかつては、ダイエー、西友等の後塵を拝 していた。それが順調に成長し市場を牽引し続けている事には敬意 を表する。今では地方行政の多くが空き地を持って出店していただ けないか日参する状況だ。

このような一番のセクターの吸収力成長力をどう評価したらよいの か。単なる資本力にものを言わせて肥大化しているのか、社会ニー ズ、市場ニーズに応えたビジネスモデルを提供しているのか?しっ かりした考えを持たないと、マスコミの円高円安批判と同じになっ てしまう。円高を批判し、円安を批判し規律が無くなる。

一度片方に振られた振り子は振り切れるまで進むのがメカニズムで ある。都合のよい真ん中で止まるなんて事は、市場のダイナミズム にはない。もし止まれば、市場メカニズムではそれを停滞とよぶ。 社会のニーズ、それに応える市場の成長に対するぶれない基本的な 考え方を身につけなくてはならない。

人の基本的人権 人は人である前に生き物、生物である。生物は本来個々で生きるす べを持っている。しかし一匹で生き抜くより仲間を募り群れをなし て集団で自営したほうが効率が良い。従って人は群れ仲間を募り、 社会を作る。

つまり人が社会を構成する為の第一の目的は、自身の生存の為であ る。これが「生存権*」である。一方社会はその組織を運営委託する 為の主たる権限者が必要になる。社会の構成員になり替わり運営を 執行する権限を作る。これが主たる者の権限で「主権」である。こ の生存権を守ると言う職責を果たす上で、主権の「絶対化」が成り 立つ。これが古典的な生存権と主権とのバランスの考えである。そ してこの生存権が時代と共に進化し、命だけでなく様々な人として の尊厳を包含して基本的人権となる。 *ホッブスの生存権考え方を引用。

このように基本的人権と主権の絶対化は両輪でなくてはならない。 しかし世界を見渡すと、必ずしもバランスは成り立たず、主権の絶 対化だけが突出しているケースは少なくはない。その最たる例は独 裁国家である。そして市場では絶対的な独占状態である。

では逆に基本的人権と、主権の絶対化が等しいセクターが幸せだろ うか。一般的に言われているのは、基本的人権に対するニーズが高 くなれば高くなると、主権の絶対化がますます強くなる。社会でも、 市場でも特定のニーズが高くなればなるほど、そのニーズに応える 主権の絶対化が進み、市場の独占が強くなる。そしてそれは容認さ れる。

戦争とか、隣国の侵略等の脅威があり、弱国であるゆえに自分の生 存権が脅かされるという脅威があればある程、生存権を守る主権に 求めるニーズは高くなり絶対化が進む。逆に平和が続き脅威が無く なると主権の絶対化に対するニーズはなくなり、はむしろ民主化が 求められる。主権の絶対化と生存権のニーズの強さの関係によるメ カニズムである。

経済が高いレベルで成長を維持し、所得が高く社会が安定している 国では、ある程度の主権の絶対化を経てそしてそれを維持している。 もっともこれらの国では絶対化と言わずに高度な主権が出来上がっ ていると言いえよう。

市場ニーズ 市場でも、絶対的な強いセクタ待望論或いは容認論がある。何らか の脅威があり、それに対するニーズが背景にあり、このニーズに応 えたものが、現在の益々独占巨大化するショッピングモールではな いだろうか?

では現在の市場の生存権にたする脅威とは何か?生活する上で必要 な効率の良い消費の受け皿(商業店舗)が姿を消し始めている事に 対する心配だろう。特に地方に行くと現実に商店街が衰退し、地元 資本の百貨店が無くなり、その後釜に誰も入ってこない状況である。 そんな中でショッピングモールが近くに登場すれば、その絶対化に ニーズを託す事はあれ、その肥大化を懸念する声は打ち消されてし まう。

都市形成論 社会の器である都市は、主権の象徴である。都市の形成はその主権 の形成に大きく関係する。市民革命を繰り返しているヨーロッパの 方が都市の町並みはきれいだ。市民の基本的人権のニーズが高く主 権も絶対化し、非常に強い規制の下に都市がつくられらたからだと 筆者は考える。

市民革命を経ずに、絶対王政から移行したアジアの多くは、一見王 政から移行した主権が強いように見られるが、戦争等の脅威にさら される等のケースがない限り、実際は非常に弱い。強くなる必要が なかったからだ。例えば日本の都市のまちなみは、ばらばらである。 ゾーニング制度あっても実際には住宅、商業、工業が混在している。 高さもばらばらで、ゾーニングの容積率も使われたり使わなかった りで規制自体が有効になっているとは言えない。

実は、イギリスのロンドンには容積率による制度規制がない。すべ て国の裁量権で決められる。これは規制緩和ではなく規制強化であ る。東京でも一部でこの容積率制度撤廃による規制強化の導入を以 前から唱えている人たちがいる。今の規制が乱開発を防止できず、 道路車線規制の為に斜めに削られた建物等美しくない街並みが出来 上がってしまった事による反省からである。

日本の都市計画の規制に対して裁量権を持たない自治体、変えよう としない首長の結果が日本の街並みである。しかしそれは人のニー ズの表れでもある。その結果が今の日本の都市である。人が集まっ て初めて都市となる。集まる人のニーズの高さが主権を絶対化しそ の象徴が都市形成をとなるわけだ。これは逆に言えば生存権を守る ニーズがないとも言える。

その一方で、経済セクターは大きくなりすぎる事に持続はない。や がて限界が来る。大きな調整、破綻がその先に待っている事はわれ われは経験済みである。常に新しい均衡を求めて市場は動き続ける。

新聞は今、円安をたたき始めている。「1ドル110円くらいの都合 の良いところで為替が安定してほしい。」これは机上論である。市場 経済のダイナミズムは円安と円高を行ったり来たりして新たな均衡 を探し続ける。経済学者シュームペーターは均衡に到達する事が停 滞であり、この均衡を打ち破る革新的破壊こそが新たな均衡に向か う成長であるとしている。

成長に対する考え方がぶれる事なく、常に新しい革新的ビジネスプ レーヤーが生まれる環境こそが望まれるはずだ。

いよいよリニアの整備工事が始まりました。日本の関心がオリンピ ックに集中する中で、名古屋としては、リニアに対する期待を益々 高めていかなくてはなりません。JR東海が一心に問題を担っていま す。革新的ビジネスプレーヤーです。

来年以降 名古屋駅前のプロジェクトが-2017年にずれ込む事で、どの様な影 響が出るのか?その後東京オリンピック開催まで5年のシナリオに 日本中がどの様に組み込まれるのか?東京での集中工事が2016年 ごろからはじまり、それが地方にどの様な停滞をもたらすのか?そ して東京オリンピック開催に伴うセキュリティー強化により、首都 東京の経済活動に制約が起きるのはいつ頃からか?バラ色の好景気 でオリンピックが開催されるシナリオを想定するには材料が少なす ぎる。

来年も皆様と楽しく議論ができる事を祈念し、今年も筆を置きたい と御存じます。ありがとうございました。

以上

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