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====[2006-年末特別号]===============
  「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
        名古屋ビジネス情報
     主宰 川津商事株式会社
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  テーマ:2006年 年末特集号

いよいよ2006年も年末になってきました。今年の総決算と来年の展望を考えてみたい。

名古屋のビックイヤー2005年と、名古屋駅前のプロジェクトが完成しつつある2007年の端境期が2006年でありました。その意味でも2005年までのあわただしい社会情勢を冷静に振り返る事が来た年であり、その反省、成功体験を元により将来を展望したくなる年ではなかったでしょうか?

2005年までの今となってはあわただしい社会情勢とは、バブル崩壊から金融クライシスを経て失われた10年といわれた期間に、名古屋の独自のプロジェクトの準備にまい進してきた時期でもあった。

この期間を経て、日本全体では格差社会と言う言葉が生まれた。失われた10年という言葉は、ダイナッミクさをなくした停滞をしたイメージがある。しかし実際は1995年以降の10年はネット社会、構造改革、グローバル化、高齢化社会など激変した期間であったはずである。

停滞していたのは、本来このような激変に対応して変化しなくてはならなかった政策、或いは企業、日本人の社会システムであったのではなかろうかとさえ思う。社会が激動しているにもかかわらず、この間われわれが努力を怠りいわゆる湯で蛙になっていて、気がつけば、先端を進んでいくセクターと、何もやらないでいたセクターとの間に格差が当然のごとく生じてしまった。

名古屋が多少なりとも他の都市との比較において、元気があるというのは、正にいろんのプロジェクトを通じて前向きな投資をする事がで来たことに他ならない。

アジアの中の名古屋
先般の日経の不動産ファイナンスフェアーにおいて、川口有一郎先生が取り上げていた事が印象的である。いまやアジア圏で完全に一つの経済圏を形成するようになって来た。その一つとして、アジア圏の都市規模の序列が、ランクサイズルール(ジップの法則)に基づく対数分布になってきたとの事である。

難しい解釈はともかく、アジアが単なる地図上の国家の集まりではなく、統計的にも「圏」を形成するようになって来た。その中で名古屋は9番目に位置しているとの事であった。名古屋を日本の序列の中で停滞気味の大阪にチャレンジして元気であるというレベルの国内の話ではない。グローバル化の中で、アジア圏という概念で名古屋のポジションを考える事のできる人が今の名古屋にどれだけいるだろうか?

アジア圏の中で、このポジションにあって、今そして今後は何をしなければならないかという事を考えなくてはならない。ならば8番、7番目の都市はどこか?ランクを上げるためには(成長するためには)何が足りないのか?どうしたらいいのか?グローバルの中で考えなくてはならない。

都市間競争は、国内ではなくアジア圏にある。それは英語圏なのか、ハングルなのか、広東なのか、北京なのか、イスラム語圏なのか?国内だけを見ていても成長しないだろ。名古屋が成長しなければそれは結果的に日本の埋没につながる事はなんとなく理解できそうである。これが社会がグローバル化で大激変しているにもかかわらず、われわれだけが眠っていたと指摘する所以である。

注釈
弊社でwikipediaの資料を使いランクサイズを計算すると、確かに対数カーブを描くがランクが多少異なる。wikipediaによるアジア圏の都市圏人口順位

1.東京  2.ソウル 3.ムンバイ4.デリー 5.ジャカルタ
6.大阪  7.マニラ 8.テヘラン9.コルカタ10.上海
11.カラチ12.釜山  13.ダッカ14.北京15.バンコク
16.名古屋 17.香港 18.台北 19.重慶 20.バクダット
市場のトレンド
確かにいざなぎ景気越えといわれている現在の現在の景気成長にも、現場を見てみると確かに息切れを感じる。

名古屋のあるコンビニストアーの撤退の話である。契約期間を残して突然撤退した。理由は同じ市場にある敵対する他のコンビニが撤退しないことがはっきりしたから、撤退するというものだ。

コンビニ産業は1990年代に入り急成長してきた産業である。流通業界にあっても親会社を飛び越える成長をしてきた。1990年代に入って日本の流通業界を牽引してきたビジネスモデルである。

しかし現実には過当競争が進み、すでに名古屋の何処をとっても新規に出店の余地の有るところは殆んど無く、既存の出店店舗のエリアの奪い合いで何とか成長を支えているのがやっとだ。

前出の撤退の店舗の話もこうだ、もともと既存店があるエリアに隣接して出店するには採算がどうしても取れない。しかしそのようなエリアに新しく出店して、古くなった既存店が収益を悪くして撤退すればその市場をのっとる事ができると考えて出店したわけだ。

しかしその既存店は、そのグループにお弁当を納入している下請け業者にFCとしてその店を任すことにした。下請けの業者は、コンビにチェーンに食材を買ってもらわなくてはならない。言われるままに経営権を買い取る。食材を買ってくれる限りFC経営し続ける。

しかもその業者は業界でも大手の下請け業者で手ごわい。これはなかなか撤退しない。であれば採算が取れないところで、何時までも泥仕合をしても仕方が無いから撤退をするというものだ。

そこで、ではこちらも同じように下請け業者に任したらどうか?と質問したところ、かつて同じようにそうやっていたが、いくつも任せると下請け業者がつぶれてしまったとの事である。コンビニ店はまず最近オーナー店になる人手が居ない。では手っ取り早く言う事の聞く下請けの納入業者に経営をやらす。

下請け納入業者は、納入を止められる事を心配して、言われるままに店舗を引き受ける。しかし現実には収益はそれ程上げられない。しかし食材の納入をする限り上からの無理難題を聞かなくてはならない。

納入を止められて他社に変えられてつぶれるのがいいか、無理難題を聞いてつぶれるまで続けるのがいいかの選択になっているわけだ。これは正に経済学のゲームの理論である。

ゲームの理論と言うのは、有名なのが「囚人のジレンマ」である。二人の共犯者が居るとする。共犯者どちらかが罪を先に自白すると、自白した方は刑が少し軽くなる。他方は刑が重たく成る。しかし自白すると刑が確定する。両者が罪を認めないと裁判で勝つ可能性もある。負けると同じ量刑で裁かれる。共犯者を裏切って先に自白するか?共犯者を信じて黙秘し続けるか?どの様な選択肢が自分にとって最も有利かという理論である。

このゲームの理論は、アメリカなどの重要な外交政策決定などの貢献したものであり、近年ノーベル経済学賞を取得した概念である。これを題材にしたビューティフルマインドというラッセルクロー主演によるすばらしい映画も、もちろんアカデミー賞を受賞している。

ゲームの理論のメリットは、限られた選択肢の中でどの様な選択が、リスクを最小にして、利益をもたらすかという一つのソリューションの提案である。1990年台前半のようなコンビニが市場をどんどん拡大している時の戦略と違い、限られた市場でパイを奪い合う戦略である。

つまりバブル崩壊後新しく登場したビジネスモデルですら、既に成熟したオールドタイプのビジネスモデルになってしまっているということである。失われた10年、ポストデフレ経済と言う概念を越えて、新しいビジネスモデルでなくては成長が出来ない事を市場が語っているわけだ。

高齢者の中には、成長しなくてもいいじゃないか今のままでという人も居るだろう。今のままというのはすなわち後退を意味する。これが市場原理である。

投資市場の潮流
弊社のニュースレターを読んでいただいている方々なら、リスクマネーと間接金融マネーの違いはわかってくださるだろう。リスクマネー市場が世界規模で急速に成長している。名古屋駅前エリアにファンドマネーが参入してきたと大騒ぎしているが、これは世界中で起きている。

日本のように成熟した国家で、経済成長が鈍化した国の資金がより成長のある投資を求めてリスクを取りに向かい始めた。これがリスクマネー市場の拡大である。高い成長が見込まれるエリア、セクタを目指してグローバルに移動し始めている。

これに対して、世界各国で新しい都市の再開発が始まっている。中国の各都市、中東の新興国などのようなエマージング市場だけではない。東京の品川、六本木、名古屋駅前、博多駅前、札幌・・・・等等である。魅力があるところにはリスクマネーが集まる。

都市の生産性を上げる事が、地域経済の活性につながり大きな国家戦略になる事は、新興国家だけでなく、既存の国家でも重要な成長戦略となっている。このような市場のファイナンスニーズとリスクマネーの思惑が一致しているわけだ。

その成果がREIT市場である。日本でも今や時価総額5兆円の規模になりつつある。弊社のニュースレターを呼んでいただいている方は理解していただけると思うが、筆者は、今の日本経済の回復をさせたのは、不動産の証券化、REIT等の資産市場の技術革新に他ならないと真剣に考えている。

5年前世界で3カ国しかなかったREIT市場は、来年には20カ国に迄広がる勢いだ。これらの多くが都市の再開発物件に向かっている。東証の株式時価総額の成長からREITの貢献を引いたら果たして成長していただろうか?と思うくらいである。

実際日本のREIT産業の成功を見て、The sun also rise.日は又昇るという評価が用意されているようだ。英語であるからもちろん海外からの評価である。

リスクマネーの望む要件にスピードが有る。時間をかけて再開をするようなところは避けて通る。最近の政治でも単なる改革ではなくそのスピードをアッピールする事を良く見かける。スピードが非常に重要な概念となってきている。

名古屋駅前の再開発は、これらの要件に合致したゆえ、エリアの再開発にこぞって資金が流入しているのではないだろうか?では栄はどうなっているのだろうか?

高齢化社会になり、人口減の国家では、人口の集中と離散が明確な格差となる。名古屋が離散のエリアになるか?集中の都市になるか?は都市の生産性が今後どれだけ改善されて、アジアの中で魅力のある都市となるかによるのではないだろうか?

マクロ経済の話になり恐縮であるが、国民総生産を人口で割った国民一人当たりの生活水準は、労働者の生産性と労働参加率によって決まる。高齢化社会で労働者が少なくなる事は参加率が下がることになる。その分生産性を上げなくては生活水準を維持できない。

労働者一人あたりの生産性を上げるためには資本装備率を上げなくてはならない。つまり労働者一人にパソコン、車、或いはシャベルを一台余分に持たせて、今までの倍の仕事できるようにするわけだ。

つまり設備投資、社会資本投資の拡大が必要になる。しかも過剰にならないように効率よくなされなくてはならない。今の都市の生産性を上げるニーズは正にここからきている。名古屋は、名古屋駅前、金山などのエリアの都市の生産性が上がっているだろう。その分本家本元の栄の生産性に対する関心があまりにもなおざりになっている。

ファイナンス
名古屋圏の都市の生産性を向上するために必要な資金(リスクマネー)を提供するセクターが名古屋にあるのか?今後の企業の成長を下支えするファイナンスを提供する金融機関はどこか?新しいビジネスモデルの開発の関与できるファイナンスセクターはどこか?

名古屋駅前の地価を押し上げ、一気に再開発の機運を拡大させたリスクマネーは、ご存知の通り東京のリスクマネーいわゆるファンドである。外資はトレンドがターンアラウンドすると直ぐに引いてしまう。有る意味で身勝手なファイナンスセクターである。

大手のメガバンクでも、名古屋をもてあましていると聞く。そもそも国策によるメガバンクの創設はもっと高いレベルの金融商品供給などあらゆる国際競争に打ち勝つための目的であり、地域の細かいリテールを包括的にすることではないはずである。

メガバンクが、地域経済の細かいところまでリスクを引き受けるマネーを供給できるのであればそれに越した事はないが、現実に富裕層の資金運用にしか感心が行かないようだとこれに変るセクターを欲することになる。それが市場のニーズではないだろうか?

現在のところ既存の地方銀行では、地域のリスクは取れていない。そこの外資であるファンドがつけ込んで行儀のわるい事を行なっている。空室のままほったらかしにされているマンションを作り続けている。

いずれまとめてバルクにされる状況もでるかもしれない。当然そのときは名古屋の不良債権ではなく、外資の不良債権といえよう。しかし破綻する物件を尻目に多くの再開発物件が成功する事になろう。その成果はすべて名古屋に還元されず持っていかれてしまう事になろう。

名古屋の地価動向
名古屋の地価は2005年から明確に上昇しだした。2005年、2006年と名古屋の商業地が、日本全国でトップ10位の多くを独占してきた。前のバブル経済の地価の2桁上昇期間を見てみるとほぼ5年の期間である。

しかし中心部の上昇期間は3−4年であった。名古屋の中心地は現在2年連続して上昇している。今後5年以上更に上昇し続けると考える事はできない。では今後近い将来に調整が入るのか?しかし中心地周辺では調整が入るというほどまだ上がっていないことは明らかである。

結論から言えば、調整が入っても中心部の事であり、調整といえどもそれは微妙な横ばいではないだろうかと考える。名古屋のファンダメンタルズの成長を見ると、2007年以降に名古屋駅前の再開発がいよいよ本格的に始動し始める。輸送関連産業の業績は依然として好調を続けている。名古屋経済圏の成長は底堅い。

かりに多少の調整がはいってもさらに息の長い成長につながるものと考える。

2007年
2007年は正に鳴り物入りのミッドランドスクエアアーがオープンする。良くも悪くも名古屋駅前が渋滞する。非常に大きな期待がそこにはある。バブルと言う人もあるが、バブルの悪いところはその処理に誤った場合である。新しいものが登場して、投資環境がよく、期待が大きく持てる時代はそうない。明るい良い時代を素直に楽しみたいと考えます。

参考
ESPによるファーキャスト調査
2007年度予測
対ドル円相場 平均106.9円 
       上位8予測112.1円 下位8予測99.9円
株価     平均17.637円
       上位8予測1万8447円 下位8予測1万6653円
以上



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