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主筆:川津昌作
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2025年地価公示の考察/h3>

〈2025年3月25日〉

最近使い慣れ重たくなってしまったパソコンをリセットしてすべてを消し 去った。非常に軽くなりまた一から作り直している。ある意味の断捨離だ と思う。

トランプの盟友イーロンマスクの政府効率化省の問答無用の解雇も、はた で見ている限り気持ちがいい。しかし新手の無政府主義にもつながる蛮行 だろう。重たくなった民主主義をどうしたらいいだろうか?

要約
*四大都市圏東京、大阪、福岡に対して名古屋の商業地の上昇が見劣りす る。
*名古屋で適切な社会・商業投資がなされているか?
*鑑定制度が正しく評価機能を果たしているか?

今年の地価公示が公表された。新聞報道を引用すれば、結論は「東京23 区、大阪市、京都の商業地で10%以上上昇。名古屋市は5%上昇。」につ きる。都心の不動産市場としては、確かにインバウンド効果からも後れを 取り名古屋市の商業地は明らかに後れを取った。

東京の市況を見てみると、商業投資効果はもちろんのこと、交通の便利が いい駅近が、商業地においても住宅地においても上昇ししている。大阪、 福岡はインバウンド商業と設備投資による商業の上昇要因があるようだ。 九州のハイテク投資の恩恵を福岡が得ており、大阪はインバウンド及び万 博関連の商業インフラ投資が上昇要因となっている。

議論をする前に、弊社の不動産哲学を確認しておく。 「社会では、様々な人たちが様々な商いをスペースである場の上でおこな う。あらゆる商業が成り立つのが商いが集う市である。この市と場が結合 して市場が成り立つ。市場ではあらゆる属性の商いの利益が商業利益とし て生まれ、この様々な属性の利益を普遍化したものが不動産経済の地代経 済となる。」

様々な属性の商業利益を普遍化したものが不動産経済の地代である。地価 はこの地代を根拠に算出される。地価は商業利益を説明できなくてはなら ないし、商業利益は不動産などの資本財のコストを説明できなくてはなら ない。

東京、大阪、福岡などでインバウンド投資、商業投資による地価上昇はも っともなことであり、交通の利便性が良いところで地価が上昇することは 極めて必然性がある。地価経済が正常に機能しているといえよう。

名古屋の商業地の地価が見劣りするのは、それなりの理由があるはずだ。 インバウンドを含めた商業投資が東京、大阪、福岡に比べて少ない。交通 の利便性が向上していない。等々が指摘できる。

ただし、少なからず名古屋でも、特に栄エリアなどで、中日ビルの再開発 など商業投資が進んでいる。にぎやかなエリアが登場してきている。これ らが地価公示などの鑑定価格に反映されてるかどうか?不動産経済の経済 効果がどのようになっており、それが正しく評価されているかどうかの検 証を要する。

例えば、中日ビル界隈。中日ビルの再開発は一過性のものではなく、長期 にわたり安定した社会資本となり、長期にわたり信頼性の高い収益性を示 す場所となった。或いは錦三丁目のドンキ周辺も、一過性のものではな く、長期に安定した高い収益を確立しつつある。

地価が上がらない名古屋と言えども、新しい商業エリアが再生或いは創造 されてきている。これらの商業トレンドが鑑定評価にただしく評価されて いるかどう検証を要する。

真逆に、今や名古屋駅前の高島屋、栄の松坂屋百貨店の後塵を拝する栄三 越百貨店の前の地価公示ポイントが、いまだに栄エリアの地価のトップと なり続けている。確かに、かつて名古屋地区の百貨店市場をけん引し、名 古屋の中心市街地の核となったポイントではあったが。

しかしいまだに、ほんとに栄エリアを代表し、将来にわたり質の高い収益 が評価されるポイントであれば、更なる有効利用を求めて建て替え再開発 など、スペースの拡張性に関連する話題が誘発されるはずである。

しばらく、三越の百貨店の再開発の話題は、地主サイドの構想として報道 されていたが、テナントサイドの後ろ向きな発言が続き、残念してしまっ た。生産性の向上に関するインセンティブが何も働かず、低利用のまま将 来性の何ら計画が無いにもかかわらず、いつまでも栄エリアのトップに君 臨することは果たして正しく評価されてるいるのだろうか?

東京の地価経済の記事は、必ず地価を使い都市と言う器で起きている市場 の動向を取り上げ説明する。名古屋の公的地価に関連する地価経済記事 は、公表された地価の数字を羅列するだけである。経済ジャーナリズムの 公的地価評価の検証のレベルが違っている。

地価経済が正常に機能し、過去からの地勢的序列、変動率の整合性にとら われることなく正しく市場性が鑑定評価されれば、好立地にも拘らず長期 にわたり大きな再投資もなされず放置され、なかなか名古屋経済の中でも 百貨店売上ランクの上昇も期待できない状態に何らかの刺激がもたらさ れ、必要な再開発を誘発することができるのでないか?

今回の商業の地価の上昇率において名古屋が、東京、大阪、福岡に後れを 取っていることは、名古屋経済の都市経済の生産性を上げるのに必要な、 新たな都市インフラの投資の見劣りを市場が指摘していると考える。

名古屋経済圏の生産性を向上する社会投資がなされているか?地価を上げ るだけの有効な商業投資、都市インフラの投資が滞っているのか?地価評 価自体にバイアスはないか?マスコミ・論壇の健全な検証が求められるの ではないだろうか?

過日、ガイアの夜明けで和食うどん業界の熾烈な争いが取り上げられてい た。テレビを見た感想は、数あるうどんチェーン店、はなまる、讃岐うど ん等などのうどん麺の戦いではなく、資本力の店舗展開の戦いでしかない ような有様だ。

独断と偏見で恐縮ですが、名古屋のどんどん庵のカツ丼をぜひ推薦した い。どんどん庵は名古屋の企業であるサガミチェーンである。サガミの中 でも、どんどん庵は歴史があるブランドポートフォリオである。

筆者の独断で拡張すれば、昔のサガミの味噌煮込みうどんのファンであっ た。名古屋の代名詞となっている固めんの味噌煮込みではなく、真逆いく 柔らかい味噌煮込みである。味噌だしに溶け込むような麺がおいしかった (過去形)。

どんどん庵のカツ丼は、和食めん処サガミらしい、うまみの出し汁を使っ たカツ丼である。620円。セルフうどん店にしては注文頻度の多いメニ ューだ。名古屋のめん処企業の更なる発展を祈念します。

追記 弊社はどんどん庵、サガミとは一切利益関係はありません。

以上

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