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主筆:川津昌作
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情報コンテンツの大量生産大量消費時代の消費行動3

〈2025年2月10日〉

要約
1.生産年齢人口の減少が、そのまま国内生産の減少とならないために は、人口減少分のDXが進み、人の生産にとってかわるDXによる生産性 が向上し、国内生産の減少分を補うことが理想である。

2.DX化は情報・コンテンツの大量供給大量消費に拍車をかける。そして それは再生エネルギー需要をひっ迫させる。エネルギーを求めて国内地勢 が大きく変動することになる。

3.生産年齢人口減少によって衰退するセクターは何処か?

昨年より表題のテーマをシリーズで議論してきた。3回目の今回、は近い 将来に迫ってきた人口減少、特に生産年齢人口の急激な減少を視点に議論 したい。

以前、2040年までに東京都庁の役人が4-7割減ると言うリスクを想定し ていることを紹介し、前回、国内の生産年齢人口は1995年に8761万人 をピークに2030年には6800万人、2040年5900万人、2050年5200 万人、2060年には4700万人にまで減ると推計(総務省データ)されて いることを紹介してきた。

1995年を100人とすると2030年は77人、2040年は67人、2050年 59人、2060年53人と激減する。今から25年後2050年には生産年齢 人口が4割減ることになる。

総務省のテキスト資料によれば、この人口減少を様々なデジタル化、オー トメーション化、近代化を通じて生産性の効率を上げることによって補 う。としている。

総務省の資料では、このいわゆるDX化に伴い消費電力の大幅な増加が予 想されるとしている。消費電力の大幅な増加を、更に地球的温暖化問題に 対応した、再生エネルギーによる供給増加がなされる必要があるとしてい る。

この電力問題は、今後再生エネルギーの余裕のあるエリアに、生産性の高 い能力を持つセクターが進出することを示唆している。例ば九州である。 九州には台湾のハイテクメーカーTSMCが進出している。これはたまたま の選定ではなく、電力など様々な条件から起きるべくして起きた進出であ る。 

このように効率の良い再生エネルギー、つまり安い再生エネルギーが潤沢 にあるエリアに、DXの進んだ供給部門が多く進出することになる。日本 国内の地勢が大きく動き始めたことになる。

インフラ整備も大きく変わる必要がある。情報コンテンツの大量供給、大 量消費は単なる量的な増加の問題ではなく、情報・コンテンツのトラフィ ックのスピードも要求されることになる。

東京都心では、中高層住宅施設が、大量に築50年に差し掛かろうとして いる。これら物件には高速光通信設備が整備されていない。地方都市では 古い高層住宅は少なく、高速スピードの設備が施設されやすい。大きな都 心程老朽施設のネット高速化が遅れる傾向になっている。

言うまでもなく、テレワークの情報ニーズ、大学・高校・小中学でも家庭 での自宅学習に情報のダウンロードが必要となる。先ごろの共通テスト後 の大学受験申請では、申請用紙もダウンロードで入手する必要がある。

ダウンロードが集中したりして、ネットスピードによっては出願書類のダ ウンロードすらハラハラドキドキである。しかも大学受験の出願をネット で申請する場合クレジットカードで受験料を支払う。カードを持っている 受験生は少ないだろう。親のカードで決済することになる。

子供がすべて自分で決めて、受験の手続きを一人でやれる時代ではなくな ったし、受験生の能力以外で上質なネット環境と言うある意味所得格差に まで制約が広がることになる。

生産年齢人口の減少が、そのまま国内生産の減少となっては日本の国が消 滅してしまう。そうならないためには人口減少分を補うDXが進み、人の 生産にとってかわるDXによる生産性の向上が国内生産の減少を補うこと が理想である。

現在の日本の有識者の描く将来もこれが前提となっている。DX化は情 報・コンテンツの大量供給大量消費に拍車をかける。そしてそれは再生エ ネルギー需要をひっ迫させる。エネルギーを求めて国内地勢が大きく変動 することになる。

さて生産年齢人口減少では、どこのセクターが減り新しいDXにとってか われらるのだろうか?是非皆さんで考えてみてください。

私どもの考えは、すべてのセクターで2極化し下位の仕事がDXにより非 熟練労働化し、上位の仕事が益々熟練労働化していくと考えます。例え従 来熟練労働であった弁護士と言えども、システム的な訴訟、判例を調べる 程度の仕事は、AIが最適な法令チョイスを低価格でこなすようになる。

この程度の仕事しかしてこなかった弁護士は、単なる相談要因とか資格対 応要員でしかなくなる。一方、データーを使いこなし、さらに生産的な利 益をクライアントにもたらすことができる弁護士は、さらに上位の熟練労 働者として残ることになる。

これは税理士、司法書士、宅建士などいわゆる士業、行政の書類作成部署 はすべて同じことがいえよう。

日本の研究者も大きく減ることになろう。日本の研究のお家芸は、多くの 研究者が多くの試行錯誤を行い、ある日たまたま研究者が、散歩していた 最中に見つけた道端のコケからノーベル賞クラスの発見を見出す。

この成果には、非常に多くの陽の当らない試行錯誤を行う研究者が下層に 居て、初めて、崇高な頂点の研究が成果を得る構造だ。この下層の試行錯 誤がAIにとってかわれば、これらの研究者を減らすことができる。

ただしこのようなDX化には、膨大な投資資金を要する。東京都庁のよう な資金体力がある所はいいが、地方の役所になるとDX化が進まず従来の 人手による仕事となり人員確保が更に難しくなるのではないだろうか?

産業、業態で言えば、DX化による省力化が進まない体力のない脆弱な組 織は、市場から退場させられることになる。

AIによる社会の劇的な変化が、この10年で起きるのではないだろう か?特に、日本にとっては、AIを規制するのではなく、AI革命を起きな くてはならないだろう。

以上

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