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チャットロボ、自動運転・・・。

〈2019年9月15日〉

前回取り上げたオヨライフを話題の一つとして、来客者に紹介した ら、その場で全員が一斉にスマホを出してググり(Google)だし た。おい、おい、中高生ではないから人前でググるなと言ったら 「普通どこでも、会社でも当たり前にググりますよ」と言われてし まった。

マツコ会議を見ていても、いろんな人とのインタビューの最中に、 常にPCでググりながら番組が進行していく。スマホは社会人の介 助ツールと言ってもいいわけだ。

チャットボット“Chatbot”を紹介しよう。これはネット上のSNS のチャットとAIロボットを組み合わせた造語である。チャットは SNSのコミュニケーションツールであるが、リアルビジネスでは、 例えば衣料品のオンラインショッピングで、何か製品で知りたいと きその場でWEB上のチャットを開くと、ショップの待機してる担当 者が登場して、テキストによる会話サポートができるようになって いる。

この担当者がAIロボットに取って代わったのがChatbotである。 今海海外でベンチャービジネスとして様々なものが登場しようとし ている。

その代表がBabylon(バビロン)である。医療用コンサルティング ツールである。イメージとしては海外でよくあるテラピーの現場 で、相談者とテラピニストが対峙して精神的な悩み事を解決するシ ンがある。このテラピニストがAIロボットに変わったビジネスモ デルである。

日本では、まだWEB接客が中心であるが、人によるチャット会話に 比べても見劣りして、まだまだ信頼性は認知されていない状況だ。 しかしカスタマ対応が、フェイスtoフェイスのビジネスから、コ ールセンターに移行し、コールセンターの相手がAIロボットにな る流れは当たり前で、だれも止められないことは容易に想像でき る。

気になるのは、みな同じ答え、みな同じソリューションに向かって 動き出すということだ。ネット社会になって従来と大きく変わった ことは、巨大資本力だけで市場を支配することはできず、地方のマ イナーな商品でも市場でブレークできる可能性があったロングテー ル型の市場の登場である。

しかしこれは計算速度の低いAIが存在しなかった時代のもので、 計算速度がもっと高まり、ビックデータの処理が進むと、同じよう な答えに全員が一斉に向かって行動する、大収束時代がやってくる のではないだろうか?

AIがすべての個人情報を把握して、個性あるそれぞれのソリュー ションを提供してくれるなら、言われているようにそれぞれのアイ デンティティも尊重され、多様な社会が維持できるだろう。しか し、現状、個人情報問題はそれを許さず、それは幻想でしかない。 夢のような幻想をうみだしながら、技術的にそれに追いつけなけれ ばそれはストレスを生むだけだ。

もう一つ社会の大きな変化を見ていきたい。

大手企業で営業社用車の廃止が拡大している。従来は効用があると されてきた社用車がコスト的に非生産性の産物という考えがここへ きて急に浮上してきた。シェア経済の台頭ももちろんであるが、自 動車自体の代替的ビジネスモデルの登場も、大きく影響していると 言えよう。なんといっても自動運転のような幻想が、今の自動車社 会モデル自体を陳腐なものにしてしまっている。

そこで懸念されるのが、名古屋などのような自動車を前提とした都 市計画に基づく都市経済である。大手企業がそもそも自前の社用車 の効用が薄い東京で自前の廃止を打ち出す。当然東京本社では深く 何も考えず、本社が廃止するのだから当然地方営業所でも廃止…と いう方針が打ち出される。

昨年ほどではないと言えども、名古屋の真夏の街中を車なしで脆弱 な公共交通機関だけで移動し、商談にやってくる営業マンは、もう 暑さで溶けそうな姿である。ヘロヘロになってみててもかわいそう だ。「名古屋は車が無いと不便」が不満のはけ口となり、やがて反 響し「名古屋の都市は不便」「名古屋の都市は生産性が悪い」とい うレッテルは貼られてしまう。

名古屋の都市経済は名古屋駅を中心都市、三重県、三河、岐阜県、 長野県にまで広がっている。最近内外で、東京の一極集中の成功 は、都市構造上、周辺都市との都市間交通の精緻な利便性にあるこ とが指摘されている。広域に広がる名古屋経済圏も移動の生産性を 考えることはそもそも重要なことである。

そこで名古屋が考えなくてはならない都市戦略は?一つはアメリカ のロサンゼルスのような自動車戦略である。名古屋だけ自動車特区 にして自動車モビリティ社会をさらにガラパゴス化させる。もう一 つは東京に倣いコンパクトな公共移動インフラを整備することであ る。そしてもう一つが、行政的な折衷案である。

大きな潮流は、自動車を排除しようとしているのではない。自動車 を取り巻くビジネスモデルの変革を市場が要求しているのである。 既存の古いビジネスモデルはきっぱり壊しすて、新しいビジネスモ デルを革新的に生み出す意気込みが必要だろう。

ロサンゼルスでは、一律の割高のタクシーは姿を消し、ウーバ、リ ムジン、シティーカーなどのグレードに応じたビジネスモデルが開 花している。もちろん戦略的路上駐車などの便宜も図られている。 独特なバトラーという職業人もいる。これがLAのアイデンティテ ィとなり、全米で誰しもが認める都市の生産性を上げている。

自動運転により自動車は老若男女を問わず、どこへでも安全に移動 できるという幻想を作り上げてしまった。しかし現実には、日本中 道路から都市構造まで全て作り変えなくては、完全な自動運転はで きない。かつての高度経済成長のようなエネルギーが無ければ無理 という説もある

通常、予想より早い技術革新が市場にサプライズを生み出し新しい 市場も創造されてきた。しかし予想ではなく幻想であるとすると、 幻想よりはるかに遅い技術進化は、社会にサプライズではなく「い つになったらできるんだ?」「日本のメーカーは何をやっているん だ」というストレスを生むだけだ。

何もしなければ、このストレスの象徴が名古屋という都市になるか もしれない。以前商工会議所が打ち上げたような旗艦駅名古屋駅の 太閤口に都市高速道のインターをつなげると言った他の大都市では 絶対見られないような、ある意味破天荒な発想が必要になる。 必ず、出来ない理由をほじくりだしてサボタージュするセクターが 出てくるが。

以上

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