ニュースレター

主宰:川津商事株式会社
名古屋の不動産何でも相談室がお送りする、不動産・ビジネスに関するニュースレター「名古屋ビジネス情報」へのご登録ありがとうございます。
不動産にとどまらず、名古屋のビジネス情報、街づくり話題、不動産経済、市場トレンドに関するニュース、物件情報など時代の変遷とともに広くお伝えしています。

特記事項 弊社ニュースレターは、弊社の関係者及びお得意様に限定して、不動産ビジネスを行う上で注目すべきテーマをタイムリーに取り上げ、問題点を共有する為の ワーキングペーパーであります。公的機関を含む他のセクターへの提言、請願、上奏、不特定多数への拡散を目的としたものではありません。転用を禁止します。 取り上げる内容については、成熟した定説を取り上げるのではなく、早熟なテーマを取り上げるため、後から検証すると拙速な結論になってしまっていることもあります。 そう言った事を十分にご理解したうえで、ご参考にしていただきますようお願い申し上げます。

OYO LIFE 新しい不動産ビジネスの可能性

〈2019年9月1日〉

ラブホテルがパチンコ業界などと同様絶滅危惧業種になっている。 需要減の背景は、自動車を使わない事と、若い男性の草食化とい われている。ラブホテルがビジネスホテルにコンバージョンしてい る。その一方で東京のビジネスホテルがデイユース(時間休憩)サ ービスを行い業績を上げているという。

しかしビジネスホテルがラブホテル化したわけではない。サラリー マンの昼寝需要にこたえたものらしい。サラリーマンが車に乗らな くなったので、それまで車の中で昼寝していたのができなくなった 代わりニーズに対応したビジネスということである。

又、カーシェアの車が、終電に乗り遅れた人が車を借りて、車の中 で朝まで寝る場所代わりに使う需要も増えているという。タクシー で帰る、ビジネスホテルに泊まる、より安く上がるらしい。借りた 車で帰宅るのではなく、一切走らずそこで仮眠をとるらしい。

社会が変化し、それに対応してビジネスモデルもどんどん変化している。

今話題のOYO LIFE(オヨライフ)を取り上げます。最近いろんな TVトレンド番組にも登場している新しい不動産ビジネスモデルで ある。母体は、インドの資本であるOYO Hotels である。このビジ ネスモデルは、ソフトバンクのビジョンファンドが投資をしている 世界客室数第2位のホテル運営会社である。いわゆる鳴り物入りで 日本に参入してきたビジネスモデルだ。

停滞していたホテル市場に民泊がやってきたように、いよいよ閉鎖 された日本の賃貸市場に黒船がやってきたことになる。今市場では 月極駐車場がめっきり減ってきて、あちらこちら中、コインパーキ ングだらけである。使用料をサブスクリプション方式でいただくビ ジネスモデル化が確実に進んでいる。

これが市場の変化である。しかし気が付かなくてはならないのは、 賃貸市場に変化をもたらす要因は、少子高齢化ではけしてない。既 存の賃貸ビジネスモデルのそもそもの、非効率、非生産性である。

オヨライフの不動産賃貸ビジネスを、まずオヨライフのHPで確認 していただきたい。まったくシンプルでわかりやすい。 https://www.oyolife.co.jp/

大家から、オヨライフが一括借り上げて短期間で賃貸するビジネス モデルである。そして使用料をサブスクリプション方式でいただく ビジネスンドエルである。HPを見ると必要な書類は住民票、免許 書、パスポートの類ですべてネットで完結できるようだ。

部屋は、家具などが装備され、もちろんWi-Fiも完備し、東京白金 で1Rで月額150,000円前後のようだ。期間は半月単位で借りられ るようだ。保証金、礼金、敷金の類が一切なく、原状回復的な制約 もないわけだ。

このビジネスモデルのニーズ背景は、まずは外国人ビジネスパース ンの日本滞在時の住居だ。期間が短期間であり、その間の礼金敷金 保証金をはじめ、借家借家法の制約、日本の賃貸市場独特のしきた り、制約が無いことである。長期滞在型ホテルと認識すると根本的 な市場ニーズを見間違う。

更にアドレスホッパーとよばれる、短期間で居住を移しながら仕事 をする人たちが最近の日本でも急増している。新タイプの生活者 だ。例えば、リゾートホテルで働く人たちだ、夏は沖縄、冬は北海 道などである。又様々な請負業などで仕事の期間が区切られる人た ちである。

もっと言えば、今日本は新たに海外からの就労者の受け入れを開始 した。しかし彼らの居住システムは何ら改善されていない。今の借 地借家法を前提としたしきたり、制度では、どうしても外国人労働 者のレッテルが張られてしまい、なかなかいい環境の住居が見つか らない。

学生にしても、2年あるいは4年単位の下宿の家具などを買いそろ えるか、初めからサブスクリプション方式で使用するかの選択肢が 今あるわけだ。所有から使用貸借へのトレンド移行の社会背景が要 求した変化である。

以上が表題の新しいサブスクリプション方式の不動産賃貸ビジネス の紹介である。ここではさらにこのようなビジネスの社会的意義を 深堀したい。

まず前提のとなる社会のトレンドは、労働力の流動化である。適材 適所で最適な人事戦略を組むためにはどうしても、最適な人材の組 みなおしが求められる。この様なニーズに不動産賃貸ビジネスがど のような対応ができているか?という市場要求が突き付けられてい るわけだ。

もっと言えば、昭和40年代の戦時中に出兵した主人の留守宅の賃 貸借権を法的に保護しようとしてつくられ、それ以降日本の居住環 境を制約し続けてきた現借地借家法が、いかにこのような新しい社 会の進化の障害となってきているかという問題提示でもある。

現在の借地借家法が現代の社会の制約になっていることは、様々な 分野で言い尽くされてきている。タブー視されているが、この借地 借家法を利権とする特定の所得層のみによって、その改正が阻止され てきた。現在、大きな社会問題化している空き家の問題も借地借家 法による制約が原因となっていること、は周知の事実である。

オヨライフのビジネスに話を戻すと、筆者の理解が間違っていなけ れば、オヨライフがまず大家から賃貸マンションを借り上げる。つ まり借地借家法のリスク(制約)をオヨライフがすべて取り、オ ヨライフのお客にはサブスクリプション方式で使用料の契約とな り、借地借家法のリスクを一切排除していることになる。

極端な言い方をすれば、前時代的な借地借家法のリスクを、排除す るビジネスモデルともいえる。最近の例では、民泊も日本的なホテ ルビジネスの古い法規制に守られた業界から、そういった煩わし た、非効率性を利用者に代って肩代わりするビジネスモデルと言っ ても過言ではない。

さて皆さんは、新しいビジネスモデルが生産性を上げてくれるな ら、そのまま古いしきたりを放置してもいいと考えるか、時代にか なった新しい仕組みを作り直し、ビジネスの本質から生産性を上げ た方がいいと考えるかどちらでしょうか?

冒頭の月極駐車場がどんどんコインパーキングに代ってしまってい る。探しても月極駐車場が無い。にもかかわらず車の購入には車庫 証明がひつようであり、賃貸マンションの駐車場設置義務が残って いる。制度と現社会が一致していない。その一方で自動車が自動運 転更には空を飛ぶ時代になろうとしている。

社会の仕組み制度を変えなければ、黒船にいいとこ取りされるだけ である。民泊も新法施行後、一時は3000戸にまで数を減らした が、その一年後現在7200戸にまで増加している。規制しても社 会の変化は止まらない。

オヨライフ、オヨホテルズの代表者のセミナーが10月1日2日東 京で開催される。興味のある方は、綜合ユニコム主催のビジネスカ ンファレンス「レジャー&サービス産業展2019」にお問い合わせ を。

以上

オヨライフサブスクリプション借地借家法賃貸借名古屋ビジネス情報