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主宰:川津商事株式会社
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“TOKYO DAWN”「東京の夜明け」

〈2019年7月15日〉

先ごろ、或る英字新聞に“TOKYO DAWN”(筆者訳「東京の夜明け」) という特集が組まれた。いつもながら日本から見ると天邪鬼にも思 えるが、海外が、今の日本そして東京をどのように見ているかがわ かる特集である。内容はGUARDIANの“TOKYO DAWN“
https://www.theguardian.com/cities/2019/jun/10/tokyo-big-year-is-the-impenetrable-city-finally-opening-up
で確認してほしい。筆者が注目する箇所を取り上げてみる。

Tokyo Dawn:is the impenetrable city finally opening up? 不可解で神秘な都市東京がついに解き放たれるか?だろうか。 この記事の要約をすれば、G20、ラグビーワールドカップ、そして 東京オリンピックと立て続けに、世界的なビックショーが日本で開 催されること。

多くの観光客がやってきて、多くの情報が発信される。同時に外国 人労働者の正式な受け入れが決まったこと。などを取り上げて、入 り込めない不可思議な存在の東京が夜明けを迎えるか?というスト ーリーだ。尚これに「原発事故と日本」関連の記事が抱き合わせで 書かれてある。

まず話の前提となっていることが、TOKYOを「世界で最も大きいメ ガロポリス」としていることだ。これは筆者も事あることに言って いることであるが、東京都市は実に1960年代から、ぶっちぎりの 世界最大人口規模の都市であり続けている。そこら辺のアジアの一 都市のありさまとは違う位置づけだ。

国連はじめ、世界のシンクタンクはTOKYOの人口を概ね3500万人 前後としている。日本では東京と言えば1200万人である。前者は 東京都市圏の人口であり概ね東京、神奈川、埼玉、千葉の人口に相 当する。後者は日本の東京都の行政区の人口である。

日本では、東京一極集中批判を避けたいのか、常に1200万人と表 記されるが、これは世界のスタンダードで表記する東京メガロポリ スと大いにかけ離れている。この半世紀以上にわたって世界最大の ビック都市が本当に開かれるのか“The great opening up”?とい う書き出しである。「世界が驚く世界で最も大きな都市」という見 方である。

もう一つ特筆すべき点が、“diverse(多様性)“がないことを言っ ている。最近日本でも急に言われているダイバーシティである。し かしこのダーバーシティーの考え方が、日本の考え方と違うわけ だ。

実は弊社のニュースレターでは「アクセサビリティ」という言葉を 頻繁に使う。都市の回遊性を議論するときに、特に日本では「バリ アフリー」で解決することが求められる。バリアフリーは建築上の 問題解決でしかなく、社会科学で人の交流促進をバリアフリーとい う概念で説明されるのは日本くらいである。

その反対に日本で「アクセサビリティ」という言葉が使われること はほとんどない。私の知る限り日本の研究論文ですらアクセサビリ ティを使っている論文は見たことがなし、著名な学者ですら使って いるところを見たことがない。

アクセサビリティとは老人・子供、障害者・健常者、・マイノリテ ィー、貧困・富裕、に関係なく誰でもがアクセスできる事を言う。 そのためのには当然バリアフリーも必要になる。しかしバリアフリ ーは最終目的ではなく、アクセサビリティの一つの手段でしかな い。

日本のバリアフリーの概念には、障害者に優しい器づくりを標榜す るが、本音としては低所得者、悪ガキ、高齢者など都市の生産性に 貢献しない輩には来てほしくないという、市場が好むインビジブル なバリアを生じさせない努力は含まれていない。

マンハッタンのバッテリーパーク内に設けられたプロムナードは、 バリアフリーの目的を、障害者ではなく、自転車、スケボーなどあ らゆる者のアクセスが可能な手段として設けられた。日本ではバリ アフリーを作っても制御がしにくい属性は排除することが前提とな っている。自転車、スケボーの乗り入れはどこでも禁止する。

余談であるが、昔々、名古屋駅の構内を自転車で往来する人が多く いた。素晴らしいアクセサビリティであった。

障害者だけ、自転車だけ、スケボーだけはダイバシティではない。 差別なくあらゆる人がアクセス出来て共生できて、始めてダイバシ ティが創成されるのである。LGBT・海外からの人を受け入れること だけがダイバシティではない。

記事では「TOKYOはinaccessible(アクセスできない) cityのイ メージがあるが、実は公共交通機関がすごい発達している」という 驚きを記している。網の目のような緻密な交通機関を、驚きをもっ て評価している。 

冒頭のimpenetrable(入り込めない)city、そして上述の inaccessible cityが、世界がイメージする東京の姿である。それ がいよいよ The Graet opening upするかもしれないという主張で ある。

すし飯のことを英語で何というでしょうか?“vinegared rice”で ある。日本固有の「“シャリ”は“シャリ”だろう」も、けだし名 言かもしれないが、日本のことが書いてあるだけに、英語の勉強には もってこいの記事である。

英字新聞というと嫌われるが、日本のことを日本語で考えるのと、 違った言語で考えるのでは全く違ってくる。辞書を片手でもいいか らぜひ読んでみてください。相手が考えている東京、あるいは疑問 が分かって初めてコミュニケーションが成り立つ。今の若い方は、 英語のレベルが高い。しかし日本語で考える日本文化と、英語で考 える日本文化は違う。

以上

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