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主宰:川津商事株式会社
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「ユニー解体 やさしさのツケ」

〈2019年6月18日〉

Jフロントが、銀座で成功したGシックスのビジネスモデルを大阪 に持ち込もうとしている。Gシックスモデルは従来の百貨店ビジネ スとは明らかに違う不動産ビジネスだ。これが成功すれば次は名古 屋である。

松坂屋は既に栄の再開発に手を挙げている。松坂屋が東京資本と統 合して、新しいビジネスモデルをもって名古屋に戻ってこようとし ている。地元資本しか受け付けてこなかった栄地区の転換期となる かもしれない。

表題の件、久々に経済新聞の全国版に中部地方の話題が載った。経 済紙朝刊、記名写真入りのオピニオン欄である。表題の題名通りご 当地のトップ企業であったユニーの買収、企業体解体に関する意見 表明である。

ユニーについて、まず弊社なりの経緯解釈をしておく。ユニーはご 存知の通り名古屋市場を中心に、生活衣料食材のスーパーから成長 して、セブンアイHD、イオンに次ぐ第3位のGSM(ゼネラルマーチ ャンダイズストア)となり、東海中部地方の重要なリテールインフ ラとなっていた。

しかし、近年市場原理であるのナンバーワン企業以外すべてが敗者 となる激しい市場競争にさらされていた。しかしそれでも第三位の ポジションを維持できたのは、名古屋中部経済圏におけるナンバー ワンの位置を占めていたからである。

これは全体で第三位であっても中部経済圏でトップをとれば、全体 の市場でも通用するという、ある意味中部経済圏の強みを示す現象 としてとらえることができていた時代の象徴であった。

しかしそのユニーの経営が成り立たなくなったことは、市場のナン バーワン企業のみが勝者に君臨独占化が進むことにより、中部地方 の経済と言えども一地方の経済圏でしかなく、そのトップは何も意 味しなくなったことの象徴ととらえる出来事であった。

さてその中で、驚くのは伊藤忠が主導するファミマによる救済買収 が行われて2年足らずで、その成果の評価が全国紙に掲載されたこ とだ。掲載の内容はぜひ日本経済新聞(6月18日朝刊)を見てい ただきたいが、象徴的な言葉を二つ取り上げる。

まず、「確かに人のよいユニーをたらし込んだ巧みなディール(取 引)と思われても仕方がない。」「伊藤忠は計算ずくだったのか。」 とばかりに名前を挙げて痛烈に批判している点である。関係者の人 たちからすれば留飲を下げる思いかもしれない記載だ。

ユニーは旧名古屋財界の5摂家に次ぐプラスワンのポジションを持 っていた。旧五摂家の東海銀行、松坂屋も同じように大手資本に買 収、統合されている。しかし、これらの件についての表立っての検 証はまだなされていない。

それには、UFJと言へども、旧東海銀行の人材等をご当地で重宝し ており、中部地方での旧東海銀行の功績とそれに代わる立場を認知 していることが上げられる。

旧松坂屋においては、松坂屋と統合した大丸松坂屋百貨店が成功し て業績を上げており、名古屋エリアへの再投資が期待できるなど、 その成果を検証するにはまだ時期早々という感じがある。

この二つの案件に比べて、たった2年目でここまで痛烈な批判を表 明することは、専門家から見ても名古屋資本が食い物にされてしま う懸念があるからだろうか?我々もこの取引が将来地域経済にどの ような影響をもたらすか注視する必要がある。

もう一つは、「まさに20年近くのゆでがえる状態が今回の事態を招 いた」と批判している点だ。ゆでがえるとは中部経済圏という閉鎖 的な市場でその恩恵に胡坐をかき、他社との激しい競争を避け成長 をなおざりにしてきたという批判である。これは中部経済圏に企業 に対する批判である。

これも重たい含蓄を読み取るべきである。弊社もしばしば言い続け てきたが、名古屋の経済気質は時流に囚われず、むしろじっくり寝 かせて資本を蓄積(熟成)することを良しとすべきという考えがあ る。

蓄積してきたものを、タイミングよく一気に放出するととんでもな いエネルギーを放出する。それが三英傑である。これは作家城山三 郎氏が言っておられたことである。ご当地にトヨタがあることもあ る意味、非常に大きな東海地方のエネルギーの蓄積が背景にあった と言えるはずだ。

資本を蓄積し、熟成させ大きなエネルギーに転換するビジネスモデ ルこそが名古屋の特徴と考えるが、そのための長期間を維持するた めの排他的な体質を享受することを「ゆでがえる」と批判されてい る。

今のグローバルスタンダード、サプライチェーンでは中部圏だけ排 他的にすること、中部圏のトップステータスだけで競争優位になる ことは、通用しないということを言っているわけだ。

以上

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