ニュースレター

主宰:川津商事株式会社
名古屋の不動産何でも相談室がお送りする、不動産・ビジネスに関するニュースレター「名古屋ビジネス情報」へのご登録ありがとうございます。
不動産にとどまらず、名古屋のビジネス情報、街づくり話題、不動産経済に関するニュース、物件情報など時代の変遷とともに広くお伝えしています。

特記事項 弊社ニュースレターは、弊社の関係者及びお得意様に限定して不動産ビジネスを行う上で注目すべきテーマをタイムリーに取り上げ、問題点を共有する為の ワーキングペーパーであります。公的機関を含む他のセクターへの提言、請願、上奏、不特定多数への拡散を目的としたものではありません。転用を禁止します。 取り上げる内容については、成熟した定説を取り上げるのではなく、早熟なテーマを取り上げるため、後から検証すると拙速な結論になってしまっていることもあります。 そう言った事を十分にご理解したうえで、ご参考にしていただきますようお願い申し上げます。

ガソリンスタンド減少から見る高齢化の現実

〈2019年6月15日〉

最近の英字新聞(CNN)にドイツのスタートアップ企業Liliumが、 Fly taxis(飛ぶタクシ)の開発を2025年に目指すと紹介している。 リニアより早い6年先である。最近であればこのような話も驚かな いが、がしかし、不思議なのはこのようなステートアップ企業が日 本から出てこないことだ。日本は何が邪魔をしているのだろうか?

このLiliumは同じ自動車大国でありながらドイツの会社である。 five-seater electric air taxi prototype がこの度公開され た。スマートフォンアプリで手配でき300kmのスピードで都市の Pod間をネットワークする。
https://edition.cnn.com/2019/05/16/tech/lilium-flying-taxi-germany/index.html

以前、当ニュースレターの中でガソリンスタンド数のピークが5万 8千か所と記した。一部の方から間違いを指摘された。国内ガソリ ンスタンドは平成6年に6万か所超になりこれがピークであった。 お詫びするとともに、改めてガソリンスタンドの実態を調べてみ て、新たな高齢化の現実を知りえた。今回はそれを紹介したい。

末尾にデータを掲載したので参考にしてみていただきたい。今回4 つの変数@ABCを作成して分析をしてみた。データはすべて平成 29年である。使用データは内閣府統計局、資源エネルギー庁、一 般社団法人自動車検査登録協会などから引用。

@ピークの平成6年−平成29年の間のガソリンスタンドの減少 率。
これは東京64%、大阪59%、神奈川57%、愛知54%など大都市部 で大きく減り4大都市圏が減少トップ4となり、そのまま大都市部の都 市都心化とガソリンスタンド(GS)数の減少率が相関していると言 える。

ちなみに全国平均49%に対して、減少率が少ない県が沖縄25%富 山37%秋田40%、北海道、新潟、福島と続く。これは県別平均で ある故、各都市都心部では更に減少率は大きくなると考えられる。 名古屋でもどうだろう、都心ではGSの数は5分の1以上の減少感覚 だろうか。

Aガソリンスタンド数で県別全車種自動車登録台数を割った、GS がカバーする地域の登録自動車数である。
各ガソリンスタンドがカバーする自動車登録数である。平均が一か 所当たり2642台に対してトップ神奈川4611台から上位が東京、埼 玉、大阪、愛知3588台であり、最も少ない高知県1582台から順に 鹿児島、島根、徳島、秋田である。

Bガソリンスタンド数で県民人口を割ったGS一か所当たりのカバ ー人口。
GS一か所がカバーする人口数の平均が4160人に対し、トップ東京 12935人から順に、上位が神奈川、大阪、埼玉、京都・・・愛知 5187人であり、最も少ない県の鹿児島の1985人から順に高知、島 根、徳島、秋田となっている。

これらの三つの変数に、県別のC高齢化率を加えて相関分析をして見て みると次のような知見になる。ガソリンスタンドは確かにピークの

半分にまで減っている。しかしガソリンスタンドが減っているの は、都市部においてであり、地方に行けば減り方は鈍い。

地方に行けば行くほど、GS一か所当たりの人口、車台数が減りそ の経営も当然悪化していると考えられるが、一方で車に変わる交通 手段がなく、ガソリンスタンドを減らすことができない現状が明ら かになっている。

そしてこれに高齢化率を加えてその相関性分析をして見てみると、「高齢 化」と「GSの減少の程度」の関係は逆相関を示す。高齢化が進ま ない都心部では急激に減り、高齢化が急速に進む地方ではGS減り 方が緩やかである。

相関関係











さらに「県別の高齢化」とGS一か所当たりがカバーする県別の 「人口」、「車台数」の減少の程度は、非常に強い逆相関を示してい る。つまり高齢化が進む程、GSがカバーする人口、車が少ない。

結論は高齢化がまだ進まない都心部に行けば行くほどガソリンスタ ンドが姿を消している。本来高齢化が進み過疎化が進む地方に行け ば行くほど本来ガソリンスタンドの採算は合わなくなり、減少が激 しいはずだが、実際にはGSを減らすことができない状況が浮き彫 りとなった。

この知見から、最近の高齢者による重大な交通事故問題を考える必 要がある。マスコミ、TVワイドショーのとらえ方はステレオタイ プで「高齢者事故の増加」と「高齢者運転免許返納」をセットで映 像を垂れ流している。事故で幼い子の命が奪われるのは、高齢者の 悪行非道とばかりに。

タレントが免許返納をすることを是としてTVで流している。これ らの事故は主に都心で起きていると仮定すると、高齢になっても自 動車に頼らなければならない地方および都市周辺の人たちは、どの ような思いでこのTV映像を見ているのだろうか?

少子高齢化問題のツケが高齢者の重大な交通事故につながっている という発想を持つ必要がある。都市部と地方で一元的に高齢者運転 政策を考えるのであれば、都心部への集中投資政策をやめて地方へ の人の移動インフラ整備の配分を増やす必要がある。

高齢者が運転を行うのは暴走高齢者の行いではなく、運転せざるを 得ない理由があるかであり、高齢者から免許を取り上げる事では何 も問題を解決できないことは明らかである。

まず第一に、高齢者が安全に運転できる運転免許制度の在り方が求 められることになる。その次に、自動運転、緊急時回避解除システ ムの早期開発は、市場ニーズだけでなく社会ニーズとして市場・社 会が要求していることになる。この勢いでいくと、まだまだ10年 先と思われていた自動車の自動運転などの技術革新が、想定より早 くすぐ5年先のことかもしれない。冒頭のフライングタクシーに対 するニーズは現実となる。

自動運転の技術革新は、そのままモータリゼーションを起こし、都 市経済を大きく変え、社会構造をも大きく変えることになる。しか し、当面は自動運転はむしろ都市ではなく地方の過疎地域の生産性 を上げる新しいインフラとして大いに期待されるべきである。

ガソリンスタンドデータ1

























ガソリンスタンドデータ2

























以上

ガソリンスタンド高齢化地方都心自動運転名古屋ビジネス情報