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主宰:川津商事株式会社
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大阪のダブル選挙(大阪都構想)を考える

〈2019年4月15日〉

前置きである。ブレキジットが原因ではないとしながらも、ホンダ が生産拠点をイギリスから離脱することを決めた。これに関連して イギリスの新聞の論評がちょっと日本とは違っている。

「1980年代、サッチャー政権で単一欧州議定書、シエンゲン協定 が成立し現在のEUが生まれた時に、イギリスは土地と制度支援で 本の自動車業界にヨーロッパ進出のチャンスを与えた。これをきっ かけに日本車が大きく成長したはずだ。それがイギリスのホンダ だ。にもかかわらず礼儀知らずだ。」という辛辣な憎まれ口の論調 がみられた。

その後イギリスのサンダーランドでも激しい反対運動が起きている そうだ。日本でも、タイミングが悪すぎる。やり方が下手。という 見方が出始めている。配慮がないやり方だったのだろうか?フラン スの日産問題、イギリスのホンダ問題とヨーロッパとの親密さに油 断が生じてなければいいが。

アベノミクスは戦後最長の持続性ある好景気となった。これは反面 教師経済成長2%以下のぬるま湯であった。イギリスがブレキジッ トを選択した経済状況も同じなだらかな長期好景気下でみんなが言 いたい事言い出した結果である。そこには我慢とか精進はなかっ た。大丈夫か?日本。

大阪のダブル選挙は、全国では大阪都構想が選挙の争点として報道 され、その結果GOサインが出たという報道でもあるが、必ずでも そうではない。選挙の争点は万博に向け方向性など多くが争点とな っており、即都構想の白紙委任状が出たものではないと考えるべきだろう。

いい機会であるので、都構想を議論してみたい。都構想を推進する 概念は大きく分けて「二重行政の弊害排除」「グレーター都市構 想」などがある。二重行政とは大阪府と政令指定都市大阪の行政手 システムの屋上屋の問題である。

現在政令指定都市は20都市ある。しかし1956年スタートしたのは 大阪、名古屋、横浜、京都、神戸の五都市である。当時首長は自治 官僚、建設官僚、あるいは県、市の生え抜きの行政官が選挙を通じ て就任すること多く、関係所管との行政的手法による調整機能が働 き、県と政令指定都市も大きな軋轢を顕在化させることなく自治運 営されてきた。

しかし2000年以降、純正の政治家あるいは人気タレントなどが、 時に疾風となる風に乗って首長に就くケースが出てきた。特に大都 市でその傾向が高まった。彼らは必然的に自己アピールをしなけれ ばならず、様々な政策構想を打ち上げるが、従来のような県、政令 都市、あるいは他県にまたがる広域エリアの調整機能は極めて弱く 機能しないケースが顕著になってきた。

一方、また本来、他県にまたがる行政案件は国が所管するものであ るが、国の関心が東京一極に集中するなかで、地方のアイデンティ ティーで主張しなくてはならなくなってきている。

現実に、経済規模の拡大に伴い、従来の行政区のサイズが住民の生 活エリア、経済の活動エリアを担保することができなくなってきて いる。更に市場主義では大資本が大きな力を持つように、自治にお いても弱小自治体では社会の趨勢にかなわず、自治サイズの拡大も 市場ニーズとして顕在化してきた。

世界では、メガリージョン(5千-1億人規模の都市連合エリア)が トレンドの先端となっている。中国のシンセンエリア、日本の東京-大 阪エリアなどが高い市場評価を得ている。

政治、行政、民意、経済活動様々な理由で、ほぼ一世紀前の行政自 治サイズの概念が時代に合わなくなって来たのも事実である。愛知 県、名古屋市、東海三県の関係もしかりである。中で当然二重行政 の弊害ニーズ、グレーター都市ニーズが出てくることに必然性もあ るわけだ。

一方、これまでの大阪で観察できる都構想の反対意見は「本当に必 要ならば調整機能は協議会の設定でできるはずだ。」というもの だ。確かにそうだ。協議調整機能強化のニーズであれば、それは行 政サイドの努力問題である。その努力を怠り住民の文化・アイデン ティティーの象徴である生活区域の改編までして、一方的に余分な ストレスを住民に強いるのは、いかがなものかということになる。

政治は民意の代表である。政治、行政の調整能力不足問題を棚に上 げて、住民にストレスを強いるのは本末転倒の話である。一緒にな りたい、なりたくない。あるいは自分たちで自治をしたいという 様々なニーズの葛藤は、今のEU状況を見るまでもない。

弊社の考え方は、以下である。二重行政問題の排除、グレーター都 市政策は都市政策の「戦略」であって政治イデオロギーではない。 政治家間、政党間の調整をせずに単なる絵に描いた餅として都市戦 略を見せるのではなく、様々な都市政策は行政的、政治的にコンセ ンサスを得てから最終的に住民に提示して民意を図るのがまず美し い姿であろう。

行政的、政治的に対話をしてコインセンサスを作り上げる努力をせ ず、選挙で民意に諮ることは、単に賛成・反対を煽り、民主主義の 破壊につながる分断を生むだけである。イギリスのブレキジットを 見ても非常に重大な失政である。

都構想を支持すればリベラルである。反対すれば保守である。A案 なら右だ、左だ、あるいは宗教系だと色分けされては、自由な選択 肢に制限をかけることになる。

今のイギリスのブレキジットでは、様々な移民による多民族が存在 して既に対話に限界が生じていた。対話ができない状況では従来の 民主主義は機能しなくなる。にもかかわらず相いれない二つの選択 肢を従来型の選挙で安易に解決を急いでしまったことにある。

今、日本の民主主義で最も怖いのはトランプでも、中国でも北朝鮮 でもなく、社会の対話能力の欠如であろう。現在のヨーロッパの歴 史ある民主主義諸国の多くが、一党による過半数を保持する政治体 制はあまりない。多くが連立与党である。国の大小に関係なくいく つもの政党が泡沫のごとく連立を組み、その集合体がEUである。 多様性を是とする限り連立となる。

連立の現場では、常に駆け引きが行われているが、錦の御旗が正に 「対話」である。日本でも多様性が是とされている。しかし多様性 が求める対話能力は極めて低いと言えよう。対話が無ければ分断が 生じ、民主主義は破たんする。

日本の野党を見れば政治の対話連立能力は極めて稚拙である。行政 も二重問題が存在することは、その対話能力が低いとしなければな らない。しかしそれは何といっても住民の反面教師に他ならない。 単一民族だからという理由だけで解り合える時代ではなくなった。

以上

大阪都構想対話民主主義分断