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主宰:川津商事株式会社
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今年の「名古屋不動産投資市場に関する調査」報告

〈2019年4月10日〉

中東の大いなる野望を持つ小国「イスラエルが月面ロケットを打ち 上げる。これが成功するとアメリカ、ロシア、中国の宇宙クラブに 入ることになる。」という記事が英字新聞にあった。日本はそれな りに宇宙開発をしているがそれに対する評価は低い。単独で月面ロ ケットを打ち上げることが評価の対象となるようだ。少なくとも 「宇宙クラブ」の対象となるようだ。

今年も3月の開催された「名古屋不動産投資市場に関する調査」の 報告が届いた。今年は報告会に出張が重なり行けなかったが、待ち に待った報告書が届いた。今回も名古屋という不動産投資市場のパ ブリックオピニオンとして高い評価が得られるに値する内容だ。

毎年「名古屋都市再開発促進協議会」による調査の報告会である。 事務局が商工会議所で協力が愛知県鑑定士協会である。

毎年回を重ねるごとに質の高いオピニオンが寄せられている。通常 主催者サイドの何らかの制度的なバイアスが感じられるがそれがな い。内外の不動産ビジネスの関係者が利用しやすい。最近のある勉 強会、AI・ビックデータ関連のデータ処理の専門家の話を聞く機会 があった。彼は地価経済にも精通しているのだが、鑑定価格はデー タではなく鑑定士の意見書であって使えないと言ってのけた。

最近のグローバルスタンダードの住宅価格情報のトレンドからする とそうかもしれないが、では最近のヘドニック法による住宅価格指 数が市場で実効性があるかと言えばない。確かにAIによるデータ 集積及びその処理による地価情報が将来の方向性であっても市場で の実効性が無ければ使えない。今回のような生の意見書に勝るデー タ処理はまだしばらく現れないだろう。

この報告書の特徴は名古屋在住のプレーヤー意識調査と東京大阪の プレーヤーの意識調査の比較にもある。商業施設、オフィスへの投 資は名古屋地元が強気であるのに在外東京組は弱気である。逆にレ ジに関しては地元名古屋が弱気で東京在外組の方が強気の結果にな っていると読み取った。

生の意見では、名古屋組が「特に懸念される材料が見当たらな い。」という、踊り場状態にある意見が弊社の関心を誘った。栄に 対する意識調査は名古屋組も東京組も商業、エンターテイメント、 ホテルに対する期待が明確となっている。明確な方向性が出来つつ ある。

あくまで要約の紹介で止めておくが、内外にこの報告書の普及をし て、更に上質な情報が集まり完成度の高い市場調査書になることを 期待する。

以下は報告書を読んで弊社の所感である。どう見ても名古屋での建 物の新しい再開発に大きな壁が感じる。それは地元過小資本では再 開発ができない。東京の過剰資本でない限り大きな再開発ができな い。あるいは地元資本はまだ門を出る勇気がない感じだ。

おりしも、三鬼商事の2019年度版名古屋オフィスレポートが届い た。このレポートも毎年役に立つ。2018年12月時点で名古屋ビジ ネス地区の平均空室率が2.72%となっている。2%台は驚異的な数 字だ。

「空室率が下がれば需給が逼迫して賃料が上がる」と、市場参加者 の多くが間違える点であるが、空室率が極端に下がり始めると、オ フィスの移動、借り換え需要に制限がでて、賃料フレキシビリティ ーが硬直化してしまう。東京資本の再開発に次ぐ地元資本の再開発 で、周辺に再開発が波及しなければ、かえって景気動向にブレ−キ がかかることになる。

不動産へ市場で観測される名目上の需要だけで判断すのではなく、既 存の建物の陳腐度、潜在的な革新 的なスペースニーズを加味した新規供給が無ければ市 場は停滞してしまう。

地元資本の中でも中日ビルの再開発は異例だろう。又栄でようやく Jフロントリテーリングが再開発に乗り出す。もっと東京資本他に よる再開発に栄は門戸を開放して、地元過小資本をその気にさせる インセンティブが働く必要がある。

もう一つ懸念は、現在久屋大通り公園の広小路通り以南は現在綺麗 なスカイライン(屋根線)を保持している。銀座のように建物の高 さが比較的同じレベルで維持され、人の目線からは、公園の緑。そ の上にある建物の上層部、更にその上に明るい青空が広がっている。

今回の中日ビルはじめNTTなどの再開発はいずれも高層ビルとなっ ている。中日ビルなどはある程度のシンボリックがあっても良いと 考えるのが普通だが、そのまま追随を放置すればガタガタのカオス状態になりかねない。本来 は銀座であったように、どこを高くしてどこを制限するかという街 並み景観の議論がなされるべきだろう。

中日ビルは特別だ、NTTも特別だと言っている間に都市景観は崩れ てしまう。今の美しい景観を生かすのであれば、都市景観「規制」を議論 する必要があるだろう。

「規制」をよく誤解する人がいるが、規制は利権の保護であって育 成のためにするものである。規制緩和は保護を開放することで、無 秩序な成長を容認することである。

以上

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