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主宰:川津商事株式会社
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大丈夫か日本の自動車、大丈夫か名古屋?

〈2019年4月5日〉

4月に入り新しい元号に決まりいろんなことが変わり始めている。 金融機関の担当者がいきなり転職したり、知り合いが転職するとい う知らせに驚かされる。毎日楽しみしていた日経プラス1の小谷真 生子が降板してしまった。新しい人には申し訳ないが馴れるのに時 間がかかりそうだ。

前置きはさておいて、表題の件です。最近街を走るベンツがやたら 多くなっていると感じる。今後自動車輸入関税もどんどん低くなっ ていく。一時的なものとも思いたいが、一度逃げた魚程とらえるのは 難しい。大丈夫か日本車と思いたくなる。

ディーラの話を聞いていてもいろんな言い訳ができるようだ。目先 のプチ自動運転は追っかけないというものだ。かつてトヨタがハイ ブリッド自動車を出した時、市場は一斉に注目した。しかしドイツ 車、アメ車は中途半端な省エネ自動車で市場を欺いていると馬鹿に した。

しかし市場は、本格的な省エネ自動車を目指すと言ってなかなか市 場が要求する自動車を提供しなかったメーカーではなく、少しでも 省エネによさそうなハイブリッド車プリウスに関心が集まった。ト ヨタがマーケットをつかんだのである。

そして今は自動運転がマーケットの関心だ。この関心をドイツ車 がつかみかけている。ドイツ車がどれだけ自動運転の的を得ている かわ分からないが、中途半端な自動運転自動車を出さないとしてい る国産車ではなく、明らかに一歩でも市場ニーズにこたえようとして いるドイツ車が市場を席巻しつつある。ベンツがあふれている。大 丈夫か日本車。

中部経済産業局の指摘では、名古屋の若者(15-29才)世代が名古 屋から東京に流出しているとして警鐘を鳴らしている。愛知県は地 方ほど人口減少が数字上出ていないためそもそも転出問題が重要視 されていない。これが大きな問題である。若 者流出の理由は大学進学と就職である。特に就職はIT、情報、通 信関連の仕事を目指して東京に転出するとのことである。

名古屋はトヨタのものづくりの街である。しかし今の若者はネクタ イをして、都心の高層オフィスビルで、キーボードで仕事をする情 報、通信関連の仕事にあこがれているようだ。作業服を着て工場で スケールを片手に現場を駆け回り、物を作る仕事にあこがれないらし い。

東海地方は車等のものづくりの現場である。その優位の一方で通信 情報・サービス業は育っていない。本来は、三河のトヨタの現場の 収益の投資と消費の受け皿が隣接する都心の名古屋となり、モノづ くりを補完する三次産業であるIT、情報産業、サービス産業に投 資され育っていなければならなかったはずだ。

三河のものづくりの現場がこれだけ隆盛し大きな収益を上げていた 時に、名古屋の都心をつなぐ交通アクセスを作らず、収益の受け皿 の都市の整備をやってこなかったツケがここきて回ってきている。 三河と名古屋の都心は何本ものアクセスがあって往来できる太い動 脈が無くてはならなかった。

トヨタ本社、名古屋駅、中部セントレアがそれぞれ30分でアクセ スできるような、投資の受け皿となるための交通インフラである。 トヨタが利益を蓄積し始めた2000年-2010年に収益の受け皿となる アクセスシステムを整備し、都市圏の生産性を上げる必要があった。 大きなタイミングを逃してしまった。

「今からでも遅くない、トヨタをIT産業に変えれば、これからの 若者がまたトヨタに集まりだす。自動運転が正にターニングポイン トだ。」「三河がシリコンバレーになればいい。心配ない。」という 人がいる。本当にそうか?考えが甘すぎる。

アップルもかつてパソコンを作っていた。モノづくりの会社だ。し かし巨大なIT企業に進化した。これはどうやったか?ものづくり の現場を放棄したのである。モノづくりにしがみつかず中国、日本 に明け渡してしまった。その結果が今の進化したアップルである。

「IOTで物とネットがつながるモノづくりの現場」という人がい る。トヨタがIT産業に変身して成功する姿は、モノづくりの現場 の空洞化を意味する。想像したくない。本当にものづくりと情報 が隣接して共存できる都市という器を作れなかった。

消費者が自動運転を志向す るのも、若者が通信産業を志好するのも心移ろげなマーケティング の領域の話である。しかしそれが市場経済である。大丈夫か名古 屋?

以上

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