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主宰:川津商事株式会社
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iPhone販売低迷は何の予兆?

〈2019年2月1日〉

携帯電話のiPhoneの販売低迷が、世界のサプライチェンの影を落 としているニュースが頻繁に新聞に登場している。このiPhoneの 販売低迷を単なる業績不振とみるか、グローバル経済の歪とみる か、何か他の大きなトレンドの予兆と見るか、皆さんはどうお考え だろうか?今回はこの予兆を議論してみたい。

しかし、名古屋のJR高島屋のチョコレートフェアはすごい。今や 24億円の売り上げと報道されている。通常1月末から2月は小売 業では一番の閑散期である。ここにビックビジネスを生み出したこ とは百貨店にとってはとんでもないヒットだ。

なぜ名古屋でヒットしたのか?「自分ご褒美」の得意な名古屋女性 商戦がヒットしたのか?いずれにしてもヒットさせた担当者は業界 に名を遺す人となるのではないか。以上前置き。

さて弊社が考えるiPhone低迷のトレンドは、結論から言えばパソ コンなどのIT末端のニーズ循環変化の延長にある考えだ。それは 何を意味するのか?

まず最初に、IBMの電子計算機の開発から話が始まる。1960年代に IBMがメインフレームと呼ばれる大型コンピューターを開発した。 ITの始まりである。コンピューターを必要とするユーザーはこの コンピューターに直接足を運んで使用した。そして市場ニーズに合 わせて、企業はこのコンピューターのスペックをどんどん大きくし ていかなければならなかった。つまりホストコンピューターのアッ プサイジングである。

しかし、市場ニーズは、企業が保有するこの大型コンピューターに 直接出向いてアクセスする事ではなく、気軽に手元で使用できる コンピューターを求めだした。これがパーソナルコンピューターい わゆるパソコンニーズである。このパソコンの利便性の向上ととも に、企業はホストコンピューターの大型化競争から解放されること になる。これがホストサイドのダウンサイジングである。

この最初のメインサーバーとクライアントサーバーであるパソコン のバランスの均衡時代をプラットフォーム1レベルとしよう。

メインフレームのような大型コンピューターがホストコンピュータ ー「メインサーバー」となり、端末の個人が使用するパソコンは 「クライアントサーバー」と呼ばれるようになる。これ以降ホスト サイドとクライアント(ユーザー)サイドのアップサイジングとダ ウンサイジングの綱引きがIT革命の原動力となっていく。

その後、クライアントサーバーに対するニーズがどんどん高まり、 高機能のパソコンが開発され、クライアント側のアップサイジング が始まることになる。ハイスペックパソコンで1台40万円を超え る機種が登場し、更に個々のパソコンにソフトをすべて入れるため にソフト代も考えると非常に高額になり、パソコン自体が非効率と なる。このクライアントサイドの市場ニーズを逸脱したアップサイ ジングが、パソコンに対するニーズを停滞させる。

パソコンが、市場のニーズと外れだすとともにスマートフォーン、 端末タブレットが登場しだす。これがアップルのiPhone時代の始 まりである。タブレット、スマートフォーンは当初3万円程度であ った。このスマートフォーンの登場が、まさにクライアントサイド のダウンサイジングニーズに応えたビジネスモデルであった。

このスマートフォーンによる末端のダウンサイジングを可能にさせ たのが、ホスト側のアップサイジングであった。それまでのパソコ ンが、多くのソフトが開発され使い勝手がよくなると同時に、ソ フトコストがかさみクライアントのニーズを逸脱した。 それに対して、サンマイクロシステムの開発によるJAVAプログラ ムなど言語のプラットフォーム化が開発され始める。アプリケーシ ョンソフトを各パソコンにすべて入れるのではなく、ホストコンピ ューターに入れてネットワークを構築して、そのうえでクライアン ト側がそのソフトをオペレートする仕組みが始まる。

さらにソフトだけでなく、ますます大容量を必要とする記憶容量を ユーザーが各自でまかなう非効率性から、ホストコンピューターサ イドで大記憶容量を確保する考え方が始まる。これがクラウドであ る。天の雲の中にすべて記録をあげてしまいネットワークを構築す る。この大容量、基本ソフト、ネットワークがプラットフォームを 構成して行く。

このクラウド、JAVAプログラム、ネットワークなどの一連のトレ ンドはまさにホストコンピューターサイドのアップサイジングであ った。ホストサイドのアップサイジングはかつてのようなメインフ レームの大型コンピューターの開発ではなく、プラットフォームの アップサイジング開発へと進化していく。

プラットフォームの進化は、上記単なる大記憶容量、ソフト、アク セスネットワークの利便性だけでなく、SNSなど様々な社会コミュ ニケーション、Eビジネスの土台を開発しだした。いわゆるGoogle であったり、Facebookであったり、更に小売販売のププラットフ ォームとなるAmazonであったりする。

GAFAと言われるプラトフォームの革新的進化は、ホストサイドの アップサイジング革命に他ならない。このアップサイジングにより 一気にクライアントサイドのダウンサイジングが可能となった。つ まりスマートフォーン、タブレットの普及である。それは同時にパ ソコンの市場からの撤退であった。

アップルは従来のパソコンシ−ンを破壊するイノベーションを引き 起こした。このスマートフォーンによるクライアントサーバーとク ラウドによるホストサイドのサーバーの均衡がプラットフォーム2 レベルとなる。

プラットフォームのアップサイジング、クライアント末端のダウン サイジングによって、社会は一気にIT革命を享受することになる が、その利便性がよくなればよくなるほど、次のクライアントサイ ドの末端の高機能化がニーズとして顕在化していく。このニーズは スマートフォーン、タブレットのアップサイジング化させていくこ とになる。

このアップサイジングにより、iPhoneのスペックが革新的に向上 し、今や10万円に届こうとし始め、既にタブレットの高機種は10 万円を超えてしまった。これが現状である。そしてこのアップサイ ジングは、明らかの市場ニーズを逸脱し始めた。それが現在の iPhoneの販売低迷と弊社は考える。

この弊社の「クライアント−ホストサイズバランス進化論」の考え が正しいとするならば、今後クライアントとプラットフォームの関 係はどうなるか?当然市場ニーズはクライアントサイドのダウンサ イジングを要求する。そしてそれにはホスト側のアップサイジング が必要となる。

やがて市場ニーズを逸脱しだしたスマートフォーン、タブレット は、かつてのパソコンのように凋落することは明らかだ。それに取 って代わるのは、Apple watchのようなウエアラブルであろう。こ れらの端末は、現在4万円前後である。このパラダイムチェンジを 認めずApple watch等の新しい端末を否定する世代は、明らかに時 代遅れである。

Apple watchは電話通話にイヤフォンが要るし不便と言われる。し かし若い世代を見れば、すでに日常的にワイヤレスイヤフォンを身 に着けている。高齢者市場ではいま補聴器の売れ行きが非常に伸び ている。風景を見る限りイヤフォンをつける障害はこの先全くな い。

むしろ医療、スポーツ市場を新しい内需の柱としたい日本は、率先 してこの分野に進出しなくてはならないはずだ。

現在クライアントサイドのiPhone、タブレットの末端のアップサ イジングをさせている要素は、膨大な写真、ビデオ、音楽データの 増加である。これがGAFAもしくはそれに代わるプラットフォーム つまりホストサイドのアップサイジングでカバーできれば、クライ アント側のダウンサイジングは簡単にできる。

Amazonのミュジックデータ供給、Facebookの映像写真管理、イン スタグラムの写真管理などは現在まだ多くの問題を抱えるが、これ らが更に進化して、ホストサイドにこれらのスペックを委ねること ができれば、クライアントサイドのダウンサイジングは可能とな る。そうするとウエアラブル端末機の市場は一気に成長するのでは ないだろうか?これが今進行しているプラットフォーム3レベルだ。

ホストサイドのアップサイジングはさらに進化する。例えば都市中 の監視カメラが確実に生態認証をすることができれば、人は、そも そもキャッシュ決済などのパーソナル末端を持つことから解放さ れ、何も持つ必要がなくなる。究極のクライアントサイドのダウン サイジングである。この場合ホストは都市となり都市のアップサイ ジングである。

都市をプラットフォームとして考える発想はまだ浸透していない。 しかしそもそも都市空間は、生活のプラットフォームである。プラ ットフォームがアップサイジングすればクライアントサイドの負担 は少なくなる。少なくなれば魅力が増し人は集まる。究極の都市戦 略である。まさにこの時代が将来のプラットフォーム4レベルとな る。

都市と言いうプラットフォームのアップサイジングとは何だろう か?前述の生態認識監視センサーをインフラとして整備することも その一つだろう。こう考えると都市戦略そのものが変わってくる。

しかしその一連のトレンド転換の本質は、ホストサイドとクライア ントサイドのサイズのアップサイジングとダウンサイジングのバ ランスである。このバランスの変化ニーズが常に新しい技術革新を 要求してきた。これが「クライアント−ホストサイズバランス進化 論」の考えである。

iPhoneの販売の低迷を、トランプのせいにすることは可能であ る。しかしその背景にある本質的なことを見誤ってはならない。そ して都市がプラットフォームになるという考えは、都市インフラ、 社会システムの効率性に競争優位が求められることである。

以上

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