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主宰:川津商事株式会社
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外国人労働者を考える

〈2018年12月5日〉

日本が直面している問題として一度は議論しなくてはならないだろ う。「外国人労働者」日本語としても必ずしもいい響きではない。 しかし日本の労働の現場では待ったなしで労働力不足が顕在化して しまっている。一日でも早く労働力を増やしてほしいというのが現 場の悲鳴となってしまっている。

急ごしらえの政策で、必ずしも全容が合意されているわけでもな く、かなり混乱している。がしかし、概ね「移民」ではなく、「短 期的な」労働であることが強調されて、滞在を認めるというスキー ムのようだ。

「移民」については当ペーパーでも何度も取り上げてきたが、もう 一度おさらいをしよう。移民は何世紀前の奴隷売買とは違う。あく まで本人の意思によって他の国に移住してくる。しかし現実には戦 争、あるいは産業革命に等により人手不足の国、繁栄している国が 労働力として受け入れることが前提となっている。

従来、移民の出し手は低成長、未開発国の人たちであり、祖国とは 全く違った移民先の文明、風習、制度、法律を甘んじてやってく る。見たこともない国旗に敬意を要求されるなど、当然そこには差 別・軋轢が生じるが、移民1世たちはそれを承知で高い賃金、安定 した生活の保証を見返りにやってくる。

その後その移民の2世、3世がその国に根づく。彼らは低成長の国 からやってきたのではなく、移民先で生まれた移民先のニューボー ン(新生人)になる人たちである。しかし社会は彼らを簡単に受け 入れることなく、移民1世とともに差別する。差別されても2世3 世はどこにも行くことができない。

いま世界で言われている「多様性」、「ダイバシティ―」の重要性 は、ヨーロッパの移民の子孫たちの文明の衝突を他民族の多様性の 寛容さで解決するために、最近重要視されてきた言葉といっても過 言ではない。

1世紀前にブラジルに渡った移民日本人の2世3世が、いま日本に やってくるケースが旧祖国への回帰である。通常はブラジルで2世 3世として活路を見出す。ところが単一民族国家である日本人は、 移民2世3世と文化価値観を共有し、ともに時代を築き上げる心構 え、知識がなく臆病なまで拒絶感がある。

こういった定義上の「移民」を否定し、あくまで「短期労働者」と しての受け入れを始めようという考えである。この短期的という考 えを非人道的と非難する声もあるが、そもそも歴史上では移民、短 期労働者は、自国の都合だけで受け入れ、移民都合のことなど考え ていない。用が済めばお払い箱、迫害の歴史であった。

一方今の日本は、短期的ではなく、明らかに長期的な労働力不足に なっている。そこで海外からの労働力を必要としているが、2世3 世の将来の負担を受け入れる度量はなく、かといって用が済めば首 を切って追い返す根性もない。

この様に全く第三者的議論でしかないが、そもそも根本的な問題 は、すでに以前より労働力不足になることはわかっていたが、それ に対して少子高齢化対策、女性活用を含めて全く対策をとってこな かったことにある。これから短期労働者の受け入れることにより発 生する問題は彼らに責任がある。

以上が前置きである。そして本題は、それでも外部から早急に労働 力を取り込まなくてはならない。そこでどうするかである。

外国人労働者の受け入れ問題で、明確にしなければならないこと は、何のために海外から労働力を招へいするのかである。低賃金労 働力を必要とするのか、純粋に不足する労働力を補うのかである。 この問題を混同が問題を複雑にしている。

移民であれ、短期労働であれ海外からの労働力は、生活福祉などイ ンビジブルなコストを考えると割高になる。それを負担する度量が 無ければ、そもそもないものねだりだ。

家族不帯同は何を意味するのか?3−5年にも及ぶ在日の期間、本 来家族が補う人としての生活欲望をすべて禁止するという意味であ る。日本で、単身赴任の転勤の間、一切家族との面会を禁じるとい うのと同じことである。相当の見返りを要求されても仕方がない。

弊社の考えは、海外からの労働者に相当な見返りを用意するという ものだ。なおかつ彼らが国内に滞留することなく、日本からの転出 をやりやすくする仕組みだ。

まず若い低熟練労働者を受け入れ、お金をかけて滞在期間中に学校 などにも行かせて、義務ではなく意思で何らかの語学・技能資格を 得られるなど熟練労働者に育て上げる。従来のような滞在規制のた めの資格ではなく、世界で通じる日本式のビジネススキルの習得に よる自らキャリアアップするのである。

その後そのキャリアを使い日本に熟練労働者として残るのも良し、 日本を出るのも良しとするべきである。日本での就学期間のアルバ イト、インターシップ、就学後労働力が期待できる。彼らが日本で 学ぶだけ学んでそのまま海外に転出してしまうことは、損ではな く、日本の遺伝子を世界へ配信する将来投資である。

かつて日本の戦後、地方から上京した集団就職の人たちは、東京に 来ていきなり、当時日本の先端の製造工場に就職できたのではな い。大半は周辺の八百屋などの店員である。しかし彼らは夜間学校 に通いキャリアアップして東京都心の企業に勤めた。八百屋は夜間 学校への就学を奨励したのである。

キャリアアップしたことにより、八百屋の店員という低熟練労働者 に滞留することなく、熟練労働者へ移転していった。彼らがその後 の日本の高度経済成長、バブル経済を支えた団塊の世代であった。

もし低熟練労働者市場に滞留していれば、日本は彼らの生活保障、 社会福祉に大変大きなコストを負担しなければならなかったはず だ。低熟練労働者市場からの出口戦略である。出口戦略が無けれ ば、景気停滞時における海外からの労働者の社会保障費は地方自治 体を食いつぶしてしまう。

彼らが海外に転出を希望すれば、それは国内での滞留にならずむし ろ社会コストの低減となる。海外からの労働者を低熟練市場に閉じ 込めればコストがかかる。彼らの出口を作ってやる必要がある。

従来は低賃金労働力に対する期待でしかなかった。今後はコストを かけて、ビジネススキルを育てて上げてあげ、その見返りの一部と して日本の熟練労働に貢献することを期待する仕組みだ。

重要なことは、それでも今現場では労働力は不足して、速やかに受 け入れなくてはならない。しかしそのコストのつけを将来の子供た ちに回してはならない。我々が享受するメリットは我々がコストを 負担すべきである。相変わらず極端な発想だったかもしれないが、 日本人誰しもが考えなくてはならない重要な問題である。

以上

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