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主宰:川津商事株式会社
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仮想通貨から暗号資産へ−ビットコイン等

〈2018年11月1日〉

G20で「仮想通貨」が「暗号資産」に呼称(規定)が変更になっ た。通貨とは本来様々な対価の決済手段として使われるものであ る。仮想通貨も最初は決済手段としての道を歩んでいたが、現在は ほとんどが投機の対象資産となりその価値が大きく変動している。

データを添付できないのが残念であるが、ビットコインの直近5年 間の価値の変動は1980年以降30年間の日本の地価の変動と見違え るほど同じようなグラフを示している。いずれにしても本来の決済 機能を大きく逸脱して投機資産となっている状況を受け、通貨とい う概念から資産に格下げさせられた。

資産ということは、極端なことを言えば「切手」や「古コイン」、 はたまた昔のオランダのチューリップバブル等のように、その価値 が信任されて愛好家の間でそのプレミアムが取引される価値変動と 同じ考え方になる。

また最近様々これら暗号資産の不正事件が多発しており、それが拍 車をかけてその資産価値大きく変動する状況が生まれている。そも そも仮想通貨は、ブロックチェーンという革新的な記録手法に担保 された絶対的信任できる通貨として登場した。それがなぜ不正事件 になるのか?ブロックチェーンに対する信頼性の問題ではないとこ ろに問題を生じている。

仮想通貨とドル・円などの通貨の違いは、所管の中央銀行がないこ とである。円・ドルは中央銀行が自由に発行を決める。過剰に発行 すれば価値が下がり、引き絞れば価値が上がる。インフレとデフレ をこれで調整する。

しかし本来の仮想通貨は発行量が決まっている。一般に通貨は何か の労働あるいは資産の対価として交換されるが、仮想通貨は、最初 金鉱で採掘(マイニング)するように新しく発行される。この発行 される量に限界がありそれ以上は発行されない。無限ではなく有限 の金鉱石となる。

ネットでは、ビットコインは最大2100万枚発行可能で2017年時点 で既に1600万枚発行済みとなっている。通常このビットコインを 入手するためには、新たな通貨の発行となるマイニングという作業 が必要になる。ネット上ではこのマイニングの仕方がこれ見ようが しにいっぱい登場している。

マイニングの本格的な解説は他に譲るとして、要は高度な膨大なハ ッシュレートの高い計算作業が要求されて、一般人には本来向かな い。仮想通貨を開発した“サトシ”の意図も一般人にそれをさせる ためのものではないとされている。

したがってこの特殊なマイニング作業を行いブロックチェーンに記 載された新たなビットコインなどの仮想通貨を入手した玄人の業者 (?)から、購入するという作業が一般的な素人の入手方法とな る。業者からの購入段階以降が脆弱な市場システムになっているわ けだ。

ちなみに、皆が欲しがる信認の高い仮想通貨は、多くの人がマイニ ングを行うためにハッシュレートが高くなる。このハッシュレート が高いつまり高度な計算が要求される仮想通貨こそが、信用が置け る仮想通貨で、そうでない仮想通貨も多くあるのが現状である。

この玄人筋の業者が、特に今までは玉石混合の人たちであり、不透 明な業務で信用を損なう行為、もしくはセキュリティーの脆弱なシ ステム下で業務が行われ、他からのハッカーで顧客の預かり資産を 棄損してしまう事件が相次いだ。

コインチェックという業者が、預かっていたNEMという仮想通貨 580億円の流出事件を起こした。そのコインチェックも今、他の金 融機関によって再生をしようとしており、日本の金融庁も登録制で よりレベルの低い業者の排除に乗り出している。

登録の厳格化で、今後は国内においては信頼が置けない業者が淘 汰されると期待されている。日本の金融庁も、「育成」と「規制」 のバランスを要求されて難しいかじ取りをしている。

ちなみに、コインチェックが580億円の損失を出したが、それを自 己資産で補てんをしたと報道されている。銀行でもないのにそんな 簡単に補てんができるのか不思議な方も多いだろう。NEMがどのよ うな財源を持っていたかは、本稿の目的ではないが、別の観点から 仮想通貨の仕組みを考えてみよう。

仮想通貨の発行は、財物の対価ではなく金鉱と同じで掘りだせば新 しく増える資産である。暗号資産はすべて、最初はある程度のイニ シャルメンバーで山分けされた。その資産が暴騰すれば、かなりの 資産が積みあがることになる。

何度も言うが、仮想通貨はその構造上有限の資産である。それは通 貨決済用として開発された。したがってそれ自体は価値を持たず流 通さえるのが目的であった。

しかしその資産を欲しい人が過熱して群がれば有限資産である故当 然暴騰する。もちろんその下落の激しいものとなる。きわめてボラ ティリティーの高いリスク資産である。それを承知で取り扱う必要 がある。

以上が暗号資産の大体のアウトラインである。さて本題の入ろう。 この様に仮想通貨が暗号資産になって事で、一番安心しているのが とりあえず、円・ドル・ユーロ・元である。

ご存知のように、元はその世界的な決済通貨のシェアを築くために 中国が威信をかけている。それが仮想通貨によって横取りされてし まってはかなわない。その結果中国国内では禁止されている。

日本では、大手メガバンクが独自の仮想通貨の創生に乗り出してい る。これはあくまで決済ビジネスの革新的ビジネスモデルの開発が 目的である。日銀も新たな仮想通貨の発行が可能というアナウンス メントがなされている。

G20が仮想通貨を暗号資産に規定しなおしたことで、この動きは多 少緩まると考えられる。学会でも暗号資産という規定を議論してい る。しかしなぜか日本のマスコミは相変わらず投機資産と、新たな 決済新通貨との区別をつけず「仮想通貨」の言葉を使い続けてい る。今の段階まだ育成が必要で投機市場を煽らないことが重要だ。

円・ドル・ユーロ・元などのイシュタブリッシュな通貨が今後どう なるかを案じさせるインパクトは確かにあった。次々に生まれる仮 想通貨が円などの通貨の決済機能にとってかわれば、これらのイス タブリッシュ通貨の未来はなかった。10年後姿を消していたかも しれない。

学会の著名な先生は、通貨同士が自由な競争すれば良貨が残ると言 う理論を紹介されているが、実務ではどうしても悪貨が良貨を駆逐 するインパクトが強すぎる。

金融フィンテックは、まだこれから始まったばかりである。ビック データ社会は従来にない様々な新しい「変数」を登場させてくる。 この変数が時に仕組みの基準指標となり、またある時は新たな投資 対象となり、従来の仕組み、資産を破壊していく。まだまだ世の中 はガラッと変わる。

以上

仮想通貨暗号資産バブルマイニング