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主宰:川津商事株式会社
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ビックデータ、人そしてAI、そして女性

〈2018年10月25日〉

議会の議員数の3分の1を男性、3分の1を女性、残り3分の1を 自由枠に決めてしまえばどうか?「役に立たないおっさんたち」、 「責任を取ろうとしないおばさんたち」の問題をひとくくりにして 強攻策をとってみてはどうか?

これを持ち出すと必ず返ってくるのは「小選挙区でこそ2大政 党・・・」「中選挙区こそが日本式民主主義・・・」「比例選挙 区・・・」「お前は政治の仕組みを知らないのか。」だ。

政治の仕組みを守るために社会を停滞させても平気な感覚こそ異常 だ。「女性は家庭で子どもを生むべき・・」「男が今の日本を作って きた・・」論と含めて、もし革新的な未来を望むのなら、すべて破 壊する必要がある。

ボールゲームが最終シーズンに入ってきた。日本のクライマックス シリーズ、アメリカのポストシーズンである。野球では以前からデ ータによるゲーム戦略、スポーツ技術の採用が話題になってきた。 スポーツとデータ融合の先駆的な実例でもある。

今年のアメリカMBLのアメリカンリーグ優勝の決定戦はアストロズ とレッドソックスの戦いであった。昨年優勝のアストロズを率いる のがヒンチ監督。以前その監督のもとでベンチコーチであったコー ラが今年監督に就任して率いるレッドソックス戦であった。

それまで弱小チームのアストロズを一変させたのが、やはりデータ 革命であった。元マッキンゼー・コンサルタントのルーナウがGM に就任して、エンジニア、データ解析、物理学者などを駆使して新 たなデータ分析を野球のゲーム戦略に持ち込んだ。ビックデータ時 代のある意味べたな話でもある。このデータ革命の同門同士の戦い であった。

そのデータ戦略、例えばフライ理論はすぐに日本野球にも取り入れ られて、成果を上げている選手がいる。フライ理論とは、従来の考 えではフライを打ち上げてしまうとそれでおしまいという否定的な 考えであったが、ある一定の「打球速度」と「打球角度」が確保さ れるとホームランになる確率が高いというものだ。

ここでは「打球速度」、「打球角度」という従来ではなかったデータ が、入手でき分析できるようになって、登場した理論である。つま り今後ビックデータ社会になると、新たなデータがどんどん登場す る。それが従来の考えをどんどん破壊していくことを示唆している わけだ。

従来の古い概念を壊してこそ初めて新しい概念が実効性を持ち始め る。政治の古い概念を守れば新しい仕組みは議論だけで、実効性を 持ってこない。冒頭の女性登用の話しかりだ。

そしてこのビックデータの解析を人に代ってAIが行うようになる というのが、市場のステレオ大音響となっている。しかし今言われ ているAI人工頭脳のレベルは、通常のアルゴリズムのレベルの域 をでないものだ。

例えば、最近日本の基礎研究者がノーベル賞を取る光景を追い出し てほしい。この栄えある基礎研究の場では、誰も思いつきもしなか った名もない微生物の機能などを、日頃の様々な試行錯誤努力を繰 り返し発見したという後日談が披露されている。

この試行錯誤は多くの研究者が繰り返し行っているが、その中のほ んの一握りの人だけが新しい発見にありつくことができる。この地 道な報われる保証のない試行錯誤がある意味日本式ともいわれてい る。「基礎研究にもっと予算を」を言う言葉は、ある意味ノーベル 受賞者のステレオタイプの言葉だ。報われない多くの人がいて初め て成果が出る、非効率な手法という批判がここにあるわけだ。

これに対してAIは、この人が無作為にやる試行錯誤をもっと効率 よくアルゴリズムで繰り返し計算して、もっと早く何か有意義な特 徴を見つけるという期待がされている。上記の「報われる保証のな い試行錯誤(献身的な努力」」VS「機械的に不平を言わないアルゴ リズム(戦略的な効率優先)」という構図だ。

もちろんこのAIに対する期待を否定することはしない。「効率的 に」という形容詞はともかく、AIのアルゴリズムも試行錯誤を繰 り返すことには違いなわわけだから、何かを発見できる可能性を否 定する理由はない。しばらくは「人間のひらめき」VS「AIの学習 能力の進化」の戦いが続き、その競争がまた新たな発見を呼ぶこと になると期待する。

さてMLBの野球の話に戻ろう。今年アメリカに渡った大谷も打席に 入る前の必ずタブレットでデータを確認する姿がTVで頻繁に見か けた。ビックデータ時代つまりデータを取得するセンサーの進化に より今までなかった新しいデータが次から次へと登場してくる。ボ ールの回転数、軌道、初速スピード、中間スピード、最終スピー ド、角度、ポジション・・・。

ビックデータで重要なことは、特定の主力のボール起動ではなく、 すべてのボール起動・属性を解析しそれに対する戦略を求めること である。

しかしこのデータ革命の舞台となったボールゲームの最も重要なこ とは、アストロズのヒンチ監督、当時ベンチコーチのコーラ現レッ ドソックス監督の存在だ。彼らのビックデータから得た理論を、も しくは彼らの理論をでーたで裏付けて、選手に対してデータで説明 して納得させ実行させて、結果を出したのである。

ビックデータはデータでしかない。そしての解析の結果、何らかの 利用できる相関性、特徴を発見することができたかもしれないが、 それも結局データでしかない。誰でもがそれを利用できるわけでは ない。

データを理解し戦略を立てる人、あるいは野球をするのは人であ る。データを実行可能な状態に理解する「熟練労働者」がそこは必 要となる。AIが人にとってかわる。AIが登場すると熟練労働者す らとって変わられるというステレオタイプの大音響は、フェイクニ ュースだ。単なるノイズでしかない。

ビックデータ、AIが機能すればするほど熟練労働者が必要にな る。ただし、熟練労働者にも新たな変化が要求されている。つまり 彼らの非凡な能力をデータで説明できなくてはならないというもの だ。ビックデータ時代、一子相伝の熟練技術の見様見真似だけの伝 承は、グローバル市場のモジュール化社会では通じなくなる野も現 実だろう。

ビックデータ時代になると、新しいデータが登場しそれが過去のも のを破壊していく。これが革新と呼ばれる状況を生む。そのために はそのデータを使いこなせる熟練労働者という「人」がますます必 要となる。これは逆に言えば熟練労働者は、データでその技術の優 位性を説明できなくてはならないということでもある。

新しい熟練労働者を市場が求めだした。古い経験にしがみつく必要 もない。男性を3分の一に、女性を3分の一のする枠組みもやって みる価値はあると考える。

以上

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