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主宰:川津商事株式会社
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最近の都市戦略のダイナミズム 回遊性の確保

〈2018年10月20日〉

少し前まで、金利上昇が話題になっていた。「一度騒げばそれでよ し」が、市中のマスコミのスタイルだ。今なお確実に上がりつづけ ている。長期国債発行レートが既に1.5%になっている。いずれ 2%にもなろう。短期金利はまだ低金利にへばりついているが、何 かの契機に一気に上がり始めるリスクを想定する必要がある。先般 のアメリカの株価大幅下落調整も金利上昇の延長線上で起きた。

ニューヨークの中心地、タイムズスクエア―は昔から7番街とブロ ードウエーの交差点であり、どちらもマンハッタンを代表するメイ ンストリートであり、もちろん自動車の通行量も多く、時にあふれ る観光客との間で大渋滞を引き起こす名所である。

以前マンハッタンのタイムズスクエアを訪れて驚かされた。タイム ズスクエアでブロードウエーの車道が封鎖されて自動車の通行がで きなくなっていたのである。そしてその道路上にテーブルなどがお かれ、文字通り広場になっていた。(実施は2008年)

あのブロードウエーを止めてしまったのである。観光客の回遊性が 増加し、夕方になると車の往来を妨げてしまう。そのような状況で 人の回遊性を規制するのではなく、車を止めてしまった。

商業理論に「フローを止める効果」というのがある。従来街づくり は空間デザインの領域であり、いかにフロー(車・人の流れ)を効 率よく流すかが大命題であったが、街の概念に商業理論が適用され るようになってきた証拠である。

今、日本の京都の四条通でも道路車線を狭めてしまった。昨年の暮 れからである。京都は今海外からの観光客で人の大混雑である。こ の観光者流量の受け皿として四条通の車道を一車線歩道に拡幅して しまった。

同じく大阪の御堂筋が今、側道一車線を自転車と歩行者専用とする 社会実験を始めようとしている。全国主要なメインストリートで人 の回遊性を担保するために、車道を狭めだしたわけだ。

回遊性の研究で道路の広さ、透過性が回遊性に与える効果は、研究 段階の初歩のレベルの領域である。むしろそれは古典的な考えであ る。いま都市の概念がこのような空間デザインの考えより、商業理 論によるアプローチが重きをなしてきたわけだ。

商業的思考からフローを阻止する現象が今のトレンドとなりつつあ る。単純に名古屋で考えると候補はどこ?となるとやはり栄の南大 津通が対象となろう。以前広小路通りを狭めると言いだした市長が いた。

栄の大津通は昔ながらのメイン通りで、新しくできた隣接する久屋 大通に比べると、歩道が狭く回遊性が窮屈になる。都市管理者の立 場から言えば隣接する久屋大通に十分な歩道を確保してあり栄の回 遊性の受け皿はできているとして、改めて余分な仕事をする必要は ないというところかもしれない。

しかし経済効果はむつかしいもので、初めから余裕があるところで はそれなりの需要しか生まれないが、窮屈な狭い領域になるほど逆 に欲するものが大きくなる。つまり歩道が狭い大津通だからこそ人 が密集し新たな潜在需要が生まれ、それを緩和する効果も大きくな る。

「実効性ある市場に規制緩和をすると、生産性が上がる。」という 不動産経済の金字塔の法則がある。東京で様々な容積率の緩和が行 われる政策の理論的裏付けとなった考えである。窮屈なところを規 制緩和をする効果が一番大きいということだ。

そもそも久屋大通の回遊性と南大津通の回遊性は属性が違い、補完 代替できるものではない。空間デザインの専門家が陥りやすい間違 いだ。この「属性」という考えも従来の空間デザインの考えにはな い考えである。

属性とは消費者としての特性つまり年齢、所属、世代、職歴、所得 レベルなどであり、空間デザインの領域のように人の行動としてと らえるのではなく、これらの属性による違った行動が消費者行動と なる。消費者行動こそが商業的アプローチの対象となる。

都市の概念に新たな「商業理論的アプローチ」のニーズが顕在化し てきた。これがいま都市で起きている変化の本質である。

以上

回遊性空間デザイン商業的アプローチ斜線削減