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主宰:川津商事株式会社
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縮小する社会で生じている問題

〈2018年9月10日〉

民主主義の最大のメリットは、成長の成果を民意による合理的な配 分ができるところにある。グローバリゼーションによりAmazon、 Google、Apple、FB、Netflix以外すべての既存ビジネスモデルが 敗者となり、競争する余地がなくなれば、配分する成果もなくな る。

競争する余地が少なくなり、低成長になると、民主主義のメリット が薄れてしまう。グローバリゼーションを見直すか?従来の民主主 義を進化させるか?を考えなくてはいけないだろう。でなければ社 会主義になってしまう。余剰が生じない計画経済で、独裁政権が平 に分配するのが社会主義である。

民主主義と社会主義の違いの一つが、意思決定が民意によるもの か、一部の独裁者・独裁政権によるものかがある。民意による決定 は、考えが集約せず拡散してしまうと時間がかかり停滞してしま う。又は余剰の獲得に暴走してしまうと、地球温暖化などの環境 破壊を生み出してしまう。一方独裁政権は不公平の疑心暗鬼を生 み、汚職などがはびこり生産性が上がりにくい。

日本の場合2015年から統計上の人口減少が明確になりだした。人 口の縮小に対し社会の器・ポストが旧時代の大きいままに放置され 始める。ポストが余剰にある状況では、あえて厳しい競争をして疲 弊しなくても、誰かの言うことを聞けば簡単にポストが手に入る道 を選択しがちになる。

大学受験者が減り、全員合格時代となる。労働者人口が減り社会で ポストが余りだした。大学受験生が、大学の数より圧倒的に多い時 代は、受験戦争時代と呼ばれた。入試、受験に対する厳しいニーズ があれば、当然受験の試験の合格基準にも厳しい関心が向けられ る。受験社会に自ずと受験に対してガバナンスが求められる。

しかし人口減少で受験者数が減り、大学学生ポストが余りだすとい ろんなチャネルで学生の獲得競争が始まる。AO入試などがその一 つである。効率よく大学が望む学生を集めることができるなら、厳 格な入学基準よりも、都合の良い他の評価基準、推薦基準が受け入 れられるようになる。

組織内は本来明確な評価基準があり、入学、進級、入社、昇進、の ガバナンスが機能しなければならない。これがポスト余剰時代にな ると評価基準の厳格な運用より、組織サイドも効率よくポストに人 を集める手法が必要になる。結果的に従来の様な公明正大・厳格な 組織ガバナンスには関心がいかなくなる。

民間会社ならともかく、本来、公的な大学入試で、独自の都合で女 性受験者に偏向差別したり、更に暴走して必要悪として裏口入学が 登場しだす。組織ガバナンスが効かなくなっている証である。

その背景には、入試に対する組織ガバナンスより、効率よく組織を 維持するのに役立つ手法・人の発言が強くなり、彼らに組織をゆだ ねる現実が蔓延してきている状況がある。

大学のあるべきガバナンスより、大学の評価を効率よく上げるのに 役に立つ仕組み、それに尽力する人が重宝される。しかし気が付く と、いつの間にか彼らの独裁組織が生まれている。

スポーツの世界のチャンプになるポストも、その傘下に非常に多く のポスト(選考基準となる大会)がある。昔のように限られた者だ けでなく多くの参加者がそのポストにありつけるようになると、ガ バナンス以外の手法を、有力者の許容裁量を容認しだす。

競争が効率よく成長を生み出す時代は、自ずとその社会のガバナン スにも関心が高くなる。競争が大きな成果を生まなく、競争が成長 ではなく無駄な疲弊を生む状況では、厳格なガバナンスより個々の 参加者に都合がいい手法、権限者を重宝しだす。

グローバリゼーションの進化が究極の競争段階に入り、ほんの一部 の勝者と他の大多数の敗者を生んでしまった。その状況では、他の 多くの敗者が競争しても疲弊するだけで多くの配分を得ることをで きない。そうすると競争により成果の配分を求めるのでなく他の方 法に社会的ニーズが向く。それが組織内の独裁者である。

今、日本だけでなく世界中で、グローバリゼーションの頂点に立つ セクター、その下にありまだグローバリゼーションを信奉するセク ター、競争する余裕がなくなり独裁者的配分手法に期待するセ クター、この三者がせめぎあっている状況だ。

今の日本で、民主主義と社会主義とどちらを選ぶかと問えば、それ が愚問でしかない。しかしすでに現実として民主主義に必要な明確 なガバナンスを捨ててしまっている状況がある。いろんな組織にお いて社会主義的な独裁者が登場し始めている。大学、スポーツ、エ ンターテイメント、地域コミュニティ・・・・。

現実に、民主主義の罠にはまってしまい、分断を繰り返す欧米先進 諸国より、中国などのほうが効率の良い社会システムに見えてしま うところがある。アジア、アフリカの登場国が、中国の援助を先を 争って受け入れる状況がそうだろう。又、民主主義の経済的齟齬か ら社会主義、全体主義、独裁者の登場は、歴史的にも見られるケー スである。

そもそも、大した対価を払わずに民主主義は自由になんでも自分た ちの意のままになる。という考えにこそ油断が生じてしまう。民主 主義が成り立つために必要となるガバナンスは、人まかせではなく 参加者の日ごろから監視するという努力を要する。

ネット市場にはまがい品、なりすましが跋扈し、市場がいつ破壊し てもおかしくない状況だ。やはりいったんグローバリゼーションの 勝ち組お暴走にブレーキをかけて、民主主義の立て直しを図るべき だはないだろうか?

以上

民主主義競争原理グローバリゼーション社会主義組織ガバナンス独裁者