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主宰:川津商事株式会社
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破壊のアメリカ文化VS変革の日本文化

〈2018年8月10日〉

つい最近まで英字新聞に多く登場していた問題が地球温暖化問題で あった。もちろん地球温暖化の文字は引き続き多く見かけるが、こ こへきて上水道水のプラスティック汚染に関する話題が急上昇して いる。

おそらく想像以上に早くペットボトルなどプラスティック製品が、 市場から姿を消すのではないでしょうか?サーモスの株価でも見よ うかと思ったが、サーモスは非上場でした。以上短い前置き。

日本に比べてアメリカでなぜ多くの技術革新・イノベーションが生 まれるのか?ある有識者と議論したことがある。これはよく見かけ る質問でもある。一般的なそして多くの有識者・研究者の見解は、 まず出てくるのが潤沢な研究費。優れた研究施設。人材育成、研究 者の待遇など挙げられる。皆さんはどうお考えでしょうか?弊社の 考えを問題提起したい。

ご存知かもしれないが、アメリカは、他国の文化・文明のありとあ らゆるものをフリートレードで自国に持ち込んで、それをすべて壊 してしまう。これこそまさにザ・アメリカである。わかりやすいカ ルチャーを例にとろう。

最近では、邦画映画の最高峰“ゴジラ“である。ハリウッドに持ち 込んだ時点でめちゃくちゃに壊してしまった。その壊しっぷりは、 呆気にとられて全く何も言えない。将来のライバルとなる映画を今 のうちに壊しておこうという戦略かと思うほどの壊しっぷりであっ た。

実はハリウッドはリメイクが大好きである。古くは黒澤明の「7人 の侍」のリメイクである「荒野の七人」。最近でもスエーデンの推 理小説「ミレミアム」の第一部、スエーデン映画「ドラゴンタトゥ ーの女」をその後ハリウッド映画として世界中に配信した。

このリメイクの仕方も半端ではない、「荒野の七人」ではユルブリ ンナー、スティーブマックイン、チャールズブロンソンなど当代一 流の俳優を投入して渾身の大作に仕上げる。「ドラゴンタトゥーの 女」でもダニエル・クレイグを起用している。圧倒的に原作を超え る資金力・配役で原作を壊してしまう。

カルチャーで、アメリカがなんでも壊してしまうもう一つの事例が 料理である。フランス料理、イタリア料理、中国料理、ドイツビー ルなんでも取り入れるが、それをまた一方的に壊してしまうことは 有名な話だ。中でも日本料理は最たる例だ。寿司等日本のシンプル なネタだけの江戸前握り寿司はアメリカではまず見かけない。

カリフォルニアロールのような、アボガドなどを巻きずしにしてさ らにそれにマスターソースなどを振りかけた異様な食べ物に化けて しまった。似ているのは寿司の酢飯だけだ。今又、日本式ラーメン がブームになっているが、やがてどんなものに破壊していくか、乞 うご期待というところだ。

和食はアメリカだけでなく今や世界中でブームである。和食の様々 な食材が特にフランス料理に取り入れられはじめている。かつおだ し、コブしめ、わさび、山椒、生姜、麹みそ、酢味噌、酢、梅肉 等々。フランスが熟成文化を持っている事も幸いしているかもしれ ない。

最近のヨーロッパのミシュランのトップクラスのレストランにおい て、最初のオードブルから魚、肉料理のお皿のようなワンツースリ ーの組み立てはなくなりつつある。シェフの物語(ストーリー)が コース料理となっている。料理の給仕人による説明も、「サプライ ズをお楽しみください。」である。 和洋混合のテーストだ。食事の後、シェフの挨拶を受けて料理の感 想を述べるときは、だいたい“very complexity”ばかりだ。複雑 で素晴らしい(複雑すぎてすぎてわからない。)。

いろんな国で食される料理はその国の食文化に、あわなくてはなら ない。だから日本人の私が食してまずいからダメでは通じない。20 年も前、イタリアミラノで初めてミシュランをとったマルケージの オーベルジュでフリットを食べた。しかしそのソースが梅肉エキス であった。

日本人が外国地で旅につかれ天ぷらを食すれば、条件反射的に天つ ゆを体はほっしがる。梅肉エキスはまさにフェイントである。だか らと言ってダメなわけではない。イタリア人の口にはむしろ天つゆ は向かないのだろう。これを壊したとは言えない。

しかしアメリカは違う。明らかに破壊する。カリフォルニア巻きは 巻きずしの形はしているが、ネタ、ソースは明らかに違う。寿司か ら進化、派生、変革したという域を明らかに超えてしまっている。 破壊だ。

LAの著名は某レストランである。もちろん予約の取りにくい人気 のレストランだ。日本人のスタッフもいて、日本のテーストも使わ れているのが感じる。しかし一番驚いたのは、次々の運ばれてくる 料理の中に、シガーケースが出てきた。その中身が小ぶりな1本の は巻煙草型の料理だ。 給仕人の説明はまさにサプライズだろうとばかりにどや顔で、シガ ーをイメージした料理だという説明であった。確かにどう見てもシ ガーだ。しかし食べるのには躊躇した。禁煙者には料理にシガーは 合わない。

言われるまま、乾燥野菜で巻かれた中指程の大きさのものを、指で つかんで驚きながら食べてみるが、もう味が分からない。口の中が たばこのヤニを連想してしまっている。最悪はそれ以降の料理はす べて、口の中にニコチンが連想されてしまう、全く料理が分からな い。周りのテーブルでもどや顔の給仕人と戸惑いがちのお客とのや り取りの光景を見かけた。これは料理の明確な破壊だ。

自由奔放になんでもできる。思ついたまま、とことん破壊してもい い文化が正にアメリカである。アメリカで生まれたイノベーション は創造的破壊である。創造は形容詞で、主体が破壊である。まさに アメリカにもってこいの言葉である。

過去があり、温故知新で、古き良き昔の伝統を重んじ、技術の積み 重ねた変革こそが新しい革新を生む日本とは全く違う。アップルの 企業戦略は従来のスタンダードの製品を更に良くしようとか、何ら かの派生によって革新的なものを作るのではなく、従来の破壊から 始まった。

日本で、マーケティングでの破壊を持ち出すとまず受け入れられな い。企業ではすべからく破壊ではなく変革が求められる。自社の既 存・過去の破壊は有ってはならない。変革は過去の伝承の改善であ る。アメリカは過去がなかった国である。その結果、過去にとらわ れず、同業他社の破壊から全く革新的な商品を生み出す。これがイ ノベーションの日本とアメリカの違いである。

過去の製品を正当化しようとしているアメリカの伝統的な大手自動 車メーカーからは、ハイブリッドなど新しい技術は生まれていな い。日本では伝統、伝承の延長にイノベーションが位置づけられ た。それがハイブリットである。しかし現実には改善、派生、変化 が限界だろう。

イギリスの産業革命の担い手は紡織機の修理工が担い手であった。 既存の機械、道具の修理・改善の延長とみるか、既存の機械の限界 に直面して破壊した結果が産業革命であったのか、見解の相違があ るが、生じた過程には決定的な違うがある。

その中でも日本のソニーのウオークマンは、伝承ではなく破壊から 生まれたものと見るべきだろう。そこが日本の中でもソニーという 別格なポジションを作り出したのではないか?アップルの企業文化 も、伝承ではなく破壊がその源にあったとみるべきだろう。

しかし最近のアップルは、自社内に多くのパテント・技術が蓄積さ れ始めた。それを頼りだし、伝承に舵を切り始めた途端、業績を悪 くしだした。

歴史のある国は変革である。中国には産業遺産がないからおそらく 伝承ではないだろう。中国は破壊か他国の取り込みか?

以上

イノベーション創造的破壊伝承破壊