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主宰:川津商事株式会社
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インバウンド戦略

〈2018年7月30日〉

とにかく相手の悪口を言いだして関係をいきなり壊す。突然喧嘩を 売られた相手は、どうしてだろうかと戸惑う。冷静に考え、お互い の関係を悪くすれば双方に利益はないはずなのにと、恐る恐る説得 を繰り返す。それでも収まらず関係を悪くしそうになる。

それに輪をかけて、周りの知りえた人たちが、喧嘩は双方にとって 一利の得もない自分の知識を振りかざす。周りが評論すれば評論す るほど、穏健的な関係改善派はプレッシャーを受ける。そうなる と、とりあえず、相手がそこまで言うのであればと一歩引きさがる ことを考える。

そこで交渉が始まってしまう。思うつぼである。トランプの喧嘩を 売り続けるやり方は、恥ずかしながら不動産業に身を置くものとし ては、見慣れた光景だ。とにかくケチをつける。壊し屋と言われる 手法である。

壊し屋の習性は、そもそもが、ダメもとである。なおかつこの手の 輩の厄介なことは、駄目の場合のくち上手な責任転嫁を常に用意し ていることだ。しかしこれが成り立つのは、いさかいを避けて収め ようとする相手があってのことだ。

トランプだけでなくいつの世にも、どんな世界にもこの手の輩は多 くいる。日本にだっている。しかし受け入れられるのは初めだけ だ。やがて周りも気が付き始め、だれにも相手にされなくなる。ト ランプは確かに交渉上手で、度胸がある最高のビジネスマンだ。そ れを一番理解しているのが・・・・だろう。以上長い前置き。

日本経済は、現在の先端エレクトロ工業品の輸出ビジネスに加え、 新たに内需として健康ヘルススポーツ産業、外需として食料ビジネ ス・観光産業の3つが柱となり支えていかなくてはならないと考え る。

今回は、観光産業の重要な要素であるインバウンドの愛知県の問題 点を議論したい。愛知県も現状では、それなりにインバウンド効果 の恩恵を得ているというのが概ねの解釈である。

愛知県のインバウンド効果のポイントは陸路のゴールデンルートに あるというものだ。東京−大阪京都神戸の中間に位置し、北アルプ スから北陸への自然観光の起点にもなり、LCC便も受け入れている セントレアなどの空港インフラが充実しているというものである。

しかしインバウンド効果の恩恵としては、博多を中心とする九州エ リア、関西エリアそして東京エリアの後塵を拝しているのも事実で あり、それを否定することもなく自然に受け入れてしまっている。

この九州エリア、関西、東京と比較してさらに海外のインバンド産 業拠点、いわゆるインバウンド観光都市に比べて足りないものが、 クルーズ船の受け入れ実績である。

そもそもパリ、ロンドン、NY、上海、東京などのメガ観光都市以外 で、インバウンド効果を上げている都市の主要なインフラがクルー ズ船入港可能な港である。香港、ベニス、リスボン、地中海沿岸都 市、バンクーバー、カリブ海、シンガポール等等すべてクルーズ船 によるインバウンド効果である。

最近飛行機の市場の細分化いわゆるLCCなどの進化により内陸都市 にもインバウンド効果が出てきているが、やはり飛行機でやってく る海外観光客は、短期的な滞在でしかなく通過的なスタイルになり がちとみられている。

日本のインバウンド効果の著しい観光エリアを見ても、外国船クル ーズの寄港が伸びているエリア沖縄、博多、長崎、神戸、横浜がそ のまま君臨していると言えよう。名古屋が訪日客の通過地点と揶揄 される理由も、やはりクールズ船の受け入れ問題が障害となってい ると考えるべきだろう。

今年の実績および予定を名古屋港管理組合のHPを覗いてみると、 1000人以上の海外クルーズは年間寄港数42隻中12隻である。他 は国内フェリーである。 http://www.port-of-nagoya.jp/kanko/senpaku/cruise_schedule/1000775.html 内訳をHPで確認していただきたいが、この12隻も主に台湾からの クルーズ船コスタ ネオロマンチカで台湾、沖縄、名古屋、東京の ルートをとっているのが3回、同じく台湾からで東京、横浜、名古 屋、大阪と日本を縦断するダイアモンドプリンセス船が4回。その 他上海、釜山などからのクルーズ船となっている。

結論から言えば、台湾からの訪日船が数隻名古屋に寄港するだけが 現状である。

外国人訪日全体のクルーザー使用の現状は、2017年で253万人で ある。これを2020年までの500万人にしようとしている。あと2 年で2倍にする目的であるが、これを新たな港を作って達成しよう とすると大変な資金を要するが、名古屋などのキャパシティの余剰 の施設を使えば簡単に達成できるというのが弊社の素人考えであ る。

というのは、日本で外国籍クルーズ船が寄港した実績のある港の数 は130港である。更に2-4千人規模のクルーザー寄港回数は806回 (速報値)である。そのうち上記の通り名古屋港は12回である。 名合屋に任せなさい!!と言いたくなるわけだ。 引用:http://www.mlit.go.jp/common/001237899.pdf

名古屋港のクルーズ船の寄港接岸場所は、名古屋港水族館近くのガ ーデン埠頭である。地下鉄の名古屋港駅まで徒歩で5分くらいだろ うか、便利のいいところだと思う。しかし現実にはこの利便性を生 かし切れていない。工夫が足りないと言われても仕方がない。

リスボン、ベネチアなどでも大型クルーザーが寄港するたびにお祭 り騒ぎのように人があふれ、活気が生まれてくる。大型クルーザは 観光都市の活況指数になっている。ガーデンふ頭には駐車場などの バックヤードがある。

これらを有効に使いそれこそおもてなし横丁でも作ったらどうか? いろんなノウハウまだまだ必要になる。今港周辺では様々な商業施 設が計画整備されつつある。三井不動産のララポート名港などであ る。これら民間との連携も重要になる。

クルーズ船の受け入れ戦略で必ず出てくるのが、セントレアの空港 島に直接クルーズ船を接岸する構想である。飛行機とクルーズ船の 連結は一見素通りに見えるが、そこに何らかの魅力があれば滞在に 結び付けることも可能だろう。セントレアには常滑に愛知県企業庁 の大きなバックヤードを有している。まだまだこれからだ。

だがこの発想は、絶対に構想に域を出ない。それは所轄官庁のセク ショナリズムがあり、利権構造も違うからである。港と空港、船と 飛行機は監督行政が違い、利権構造が全く違う。地元地方自治の首 長ですら、さばけない問題だろう。例えば、愛知県はセントレア重 視を先行していまさらクルーズ船とは言えない立場にある。

確かに日本中みても空港島と桟橋が同居している姿は見慣れない。 しかし神戸、横浜、福岡を後追いしてもランクは変わらない。伊勢 湾はバルチック港と呼ばれるスペックの高い多様性のある港群だ。 様々な可能性があるだろう。

横浜、大阪・神戸、福岡は見事にクルーズ船によるインバンド効果 を成功させた。名古屋・愛知がクルーズ船寄港誘致に後れを取って いるのが事実である。いろんな問題を乗り越えて何かいい知恵を出 す時である。インバウンド戦略はクルーズ戦略でもある。この認識 が重要である。

以上

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