ニュースレター

主宰:川津商事株式会社
名古屋の不動産何でも相談室がお送りする、不動産・ビジネスに関するニュースレター「名古屋ビジネス情報」へのご登録ありがとうございます。
不動産にとどまらず、名古屋のビジネス情報、街づくり話題、不動産経済に関するニュース、物件情報など時代の変遷とともに広くお伝えしています。

特記事項 弊社ニュースレターは、弊社の関係者及びお得意様に限定して不動産ビジネスを行う上で注目すべきテーマをタイムリーに取り上げ、問題点を共有する為の ワーキングペーパーであります。公的機関を含む他のセクターへの提言、請願、上奏、不特定多数への拡散を目的としたものではありません。転用を禁止します。 取り上げる内容については、成熟した定説を取り上げるのではなく、早熟なテーマを取り上げるため、後から検証すると拙速な結論になってしまっていることもあります。 そう言った事を十分にご理解したうえで、ご参考にしていただきますようお願い申し上げます。

金利上昇シグナル

〈2018年7月25日〉

日銀が市場にシグナルを送り始めた。先週から比べて長期金利が一 気に上昇し0.08%まで上昇した。現在長期金利は日銀の政策下に あり政策金利となっている。これは市場に対して金利が上がるぞと いうシグナルであり、日銀も市場の反応を試していることになる。

これを受けてREIT指数が大幅に下落し、円高になり、株価が下げ ている。金相場が揺れ、市場が一斉に反応しだした。これはあくま で政策的な短期的なものと考えられるが、今後のトレンドそして政 策の探りを入れていると考えるべきである。

高金利リスクというのは誰でも理解できるはずであるが、最も重要 なことは有利子負債者、そして市場がどれくらい金利リスクに耐性 力があるか?という点である。まず言えることが20年以上にわた る低金利で若い実務者が高金利自体を知らない市場である。

知らない者がどれくらい耐えられるか?高金利を知らず35年ロー ンで相続対策のアパートを建てしまった人がどれだけ高金利に耐え られるのか?

そもそも金利上昇に備える術があるか?通常、リアルに変動金利か ら固定金利に切り替えるのが術であるが、それだけでは、20年間 作り続けた過剰にまでクレジットが膨らんだ市場全体をヘッジする ことはできないだろう。

先物金利予約などのヘッジ商品が必要になるが、従来のキャップな どの金融商品は、銀行が高額の手数料を要求して商品としての実効 性はない。それだけではない、金融機関自体も保有する債権管理の 戦略から複雑な金融システムになってしまっており、顧客の固定金 利への変換ニーズ、将来の金利変動へのヘッジニーズに応えられな いケースも出てこよう。

金利上昇に対する多岐なヘッジ手段が市場で機能しなければ、市場 の金利上昇耐性力は一気に下がる。今の市場の30年間以上創り続 けた過剰なクレジットの中身は、失われた20年のデフレ対策、ア ベノミクスの異次元のクレジット、東京オリンピック向けの身の丈 を超えた過剰投資である。これらが一気に金利リスクにさらされる のである。

グローバル市場を敵に回して日本だけが金融緩和をし続けることに は限界がある。日本の財政収支にも限界がある。そうすると日本の 金利を上昇させるきっかけとなるものは何か?

日銀の政策で緩やかな対応(ソフトランディング)ができればいい が、外生的なトリガーによって急激なコントロール外の金利上昇が もし起きるのであれば、今の日本には全く金利上昇の耐性力がな い。

実は、過日の西日本集中豪雨の被害のニュースが新聞紙面を席巻し ている中で、小さく、このまま今の好景気が2025年まで続いても 基礎的財政収支が赤字になるという予測が報道された。(日経7/10 朝刊紙面5ページ)

誰でもが分かりやすい経済理論は、不景気で税金を使って景気対策 をし、好景気にその税金を回収することによって財政規律ができる はずだ。1990年バブル破たん時には多くの財政黒字があった。そ れが30年にわたり多くを使いきり、更に足りなくなり税金を使い 借金がかさみそれが回収できていない状況だ。それが高金利リスク にさらされるわけだ。

これは経済理論を使えない政治システムであることの証明だ。この 30年間には政権交代もあったし歴代多くの首相がかかわってき た。政治ニーズと経済理論との間に大きなギャップができてしまっ ている。

私どもは、1980年代の高金利を経験したものである。今の若い 方々と違い高金利に過剰反応する。金利に動きが出るたびにオオカ ミが来ると大騒ぎをする。オオカミ襲来に対してあなたは、オオカ ミ少年VS三匹の子豚 どのポジションになるか?

以上

金利上昇円高インフレ金利上昇ヘッジ