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主宰:川津商事株式会社
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ロサンゼルスの車社会

〈2018年7月10日〉

午後3時のロサンゼルス(LA)市内から郊外都市のアナハイムに向 かうフリーウエー。飛行機の上からも確認できるLA名物の激しい 渋滞だ。アメリカの中でも有数の自動車社会だから?もあるが、実 はそれだけではない。

午後3時には既にロサンゼルス(LA)中心から郊外住宅都市に向か うプレ帰宅者ラッシュアワーが始まっている。LAはアメリカ東部 のニューヨーク(NY)と3時間の時差がある。3時間早くNYでは 仕事が始まっている。LAでも金融を中心にNY時間で仕事が一斉に 始まる。

つまり朝の6時には既に仕事が始まっており、午後3時には仕事が 終わっている。LAの午後3時には帰宅ラッシュが始まっているわ けだ。アナハイムとは、現在にMLBで活躍中の大谷選手が在籍する ロザンゼルス・エンゼルスがあるLA郊外の住宅街だ。

このLAからアナハイムに向かう片道数車線の大きな自動車専用道 路がパンク状態で、現在更に片側3車線以上の拡幅工事を行ってい る。その一部区間がすでに整地され走行可能な状態に完成している ところがある。しかも日本のような工事中の規制柵など一切ない。 走ろうと思えばだれでも走れる。

しかし渋滞の列から飛び出して、抜け駆け走行する車は一台もいな い。日本だと渋滞すると、すぐに路肩を走る輩が必ずいる。法治国 家の考え方の違いだ。違反走行するとすぐに常に監視しているパト カーがやってきて、御用となるらしい。

御用も半端でない。おかしな行動をとり抵抗すれば、すぐに銃を向 けられて、手錠をかけられる。実際のカーチェイスもよくテレビ中 継されて、LAの風物詩らしい。もしそこに人種差別が生じる と・・・。というぐあいに厳しいペナルティーがある。

日本の法治国家の考え方とは根本的に考え方が違う。法はあっても なかなか適用がされにくくペナルティーもあいまいで、平気で高速 道路の路肩を走る輩がいる日本。性善説に隠れてうまくやったもの 勝ちだ。アメリカでは性悪説の厳しいペナルティーに裏付けられた 法治社会との比較は意味がないが、文化の違いは確かにある。

VALET(バレィ)をご存じだろうか?バレィとは配車係である。日本 でもホテルの入り口には通常ドアボーイがいる。お客のために駐車 場を案内したり、ドアを開けたり、荷物を運んだりいろんな従者仕 事をしてくれる。LAでは一部のタクシー利用者以外、ほとんどが 自家用車でホテルなどに乗り付ける。バレィはそのままキーを受け 取り駐車場までお客に代わり車を運んでくれる配車係だ。

そのお客が、用をすましてホテルの入り口に戻ってくると、この配 車係がすぐに駐車場に車を取りに行きホテルの入り口で、キーを渡 す。これは時々映画などで見られる高級ホテルのサービス風景だ。

このバレィはLAでは高級なホテルだけでなく、普通のホテル、ち ょっとした商業施設、有名なレストラン等には当然にある機能だ。 もちろんホテルなどで、タクシー、リムジンなどを使った様々な観 光、トランスファーのアレンジメントもしてくれる。

ちなみにLAのビバリーヒルズにあるエルメスなどの高級ブランド ショップにも、バレィがいる。通常ビバリーヒルズの通りの裏側に 駐車場がありバレィがいる。ハリウッドの金持ちは、その駐車場に 高級車を乗りいれ、バレィにキーを預けて駐車場側からブティック に入ってくることが多い。歩行で店舗正面入り口から入ってくる客 は観光客だ。

これがLAの車社会の実態だ。LAでは車がなければ生活できない。 日本人がLAでよくやる失敗が、googleマップを見て2-3ブロック 先だから歩けばとお思い歩いてしまうと、グロックが大きすぎて何 時間もかかってしまう。もちろん他の歩行者がいないため、そんな ところを観光者が歩いていると、様々なリスクも生じるわけだ。

街並みも自動車仕様だ。店舗などが密集して歩行回遊できるところ は、観光地のロデオドライブ、ビバリーヒルズの高級ブランド街か ハリウッドハイランドぐらいだ。リカーショップ、グロッサリー、 レストラン、ハンバーガースタンド、ホットドッグスタンドそして ナイトクラブ、ミュージアムも集積せず、大通りの所々にポツンと 点在している。

歩行で客が来ることなくすべてが車で来るからだ。歩ける距離では なく、歩いている人もいない。MLBの球場、大きなコンサートホー ルでは、ネットでチケットを買うと同時に併設の有料駐車場を予約 する。若干であるがタクシーも待機しているが、せいぜい10台程 度で期待できない。しかも会場案内にはタクシースタンドとはな く、ウーバーポイントとあるところでタクシーが乗降する。

ご存知の通りLAでは、通りで手を挙げてタクシーを捕まえること はできない。タクシースタンドはハリウッドハイランドで見たが、 他では見たことがない。どこか、ホテルでバレィに頼むしかない。 このバレィは必ずしもホテル客でなくても頼める。

結果的に、バレィがいないグロッサリー、フードスタンド、ショッ プは自家用車が無くてはいけない。タクシーで行っても帰りがな い。どうしても行くなら1時間何十ドルという車を手配してホット ドックを食べに行くことになる。LAではタクシーは高く、普通に スマホでウーバーを使う。

歩行者ための街並みではなく、歩行者がそもそもいないため、夜に なると治安も必然的に様変わりする。かくの如くLAの車社会は車 がなければ住みにくい。しかし住みにくいのはそれを知らない外部 の人であって、LAの人にとってはそれが当たり前で、特に問題は ない。アメリカ人が渋谷スクランブルを珍しがる理由もそこら辺に ある。

これと同じ問題が、東京の人が名古屋で感じるストレス問題であ る。もちろん名古屋にはバレィは必要なく、LAのような極端な車 社会ではなく、LAで感じるような車がないと生活ができない息苦 しさを名古屋の人が感じていることはまずない。

しかし東京の人が名古屋にやってくると、LAで感じるのと同じく らい車がないと全く行動ができない不便さを感じるのである。これ を理解する必要がある。東京は5分、10分も歩けば次の地下鉄の 駅に行ける。都心のどんなところへでも地下鉄でいけ、高度に密集 しているため歩けば何とかなる。歩行者目線の街並みである。つま りコンパクトな街並みになっている。

銀座、新橋、八重洲口、日本橋間歩ける街並だ。渋滞するタクシー よりも効率がいいかもしれない。その東京人が名古屋にビジネスで やってくると、レンタカーかタクシーに乗らなくてはならず、高く つき不平満載だ。訪問先で帰りのタクシーを呼んでもらうことはよ ほどでなくければ言いにくい。帰り迷子になる。大なり小なり前出 のLAと同じ状況だ。

東京と名古屋では街並みが明らかに違うと言われる。東京では大型 スーパー・百貨店以外に普通に小売店舗、物販店舗、飲食店、喫茶 店が通りにある。名古屋は桜通りを見ればわかるように自動車の往 来の激しい通りでは、1階店舗は成り立たない。歩行者がいないか らだ。おまけにすべて駐車禁止である。もちろんバレィもいない。 店舗が成り立つ必然性が無い。

筆者も不動産屋である。交通手段に関係なくいろんなところへ行き 土地を見る必要がある。昔は今のようにコインパーキングがどこに もあるわけではない。街中で車を駐車してよく駐車違反になった。 「駐車違反は出来る不動産業者の勲章である。」と胸を張って言っ ていた。

かといって、名古屋が東京のようにカオスのような地下鉄網を整備 出来る道理はない。する必要もない。むしろ東京が異常だろう。し かし名古屋の街の立ち位置を知ることは大事だ。そのうえで東京お よびそれ以外の都市からの来訪者の不満を克服する知恵を出す必要 がある。

こういった問題点のソリューションが、コンパクトシティー論にも りこまれるべきである。そうすれば都市型ライトレールなどの導入 も必要性が出てくる。何度も紹介するが、車社会が破たんしたアメ リカのデトロイトでは、ライトレールで歩行者回遊を取り戻すこと で都市の再生を計画している。

以上

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