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主宰:川津商事株式会社
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ポストオリンピックの楽観シナリオ

〈2018年5月15日〉

地球の裏側、穀物大国アルゼンチンで、突然、大地が割れて川が出 現したと英字新聞が報じている。雨が降って川ができたわけではな く台地が割れて水がわいたような様子が報じられている。原因は明 確ではないが、気候変動によるものとされている。 When nature says “Enough!:the river that appeared overnight in Argentina https://www.theguardian.com/world/2018/apr/01/argentina-new-river-soya-beans 気候変動による想定不可能な自然事変は、新たな農業のゲームチェ ンジを引き起こす可能性がある。

前回のスポーツビジネスに続いて日本の農業問題につて言及してお く。今年、知り合いの農家が今年お米を作るのをやめてしまった。 やめた最終的なきっかけはコンバインが壊れたとのこと。コンバイ ンは機種・大きさによって価格差はあるが、この農家のコンバイン は300万円くらいするらしい。

お米を作るためには最低3つの大きな農機具が必要になる。田を耕 すトラクター、田植え機、そして稲を刈るコンバインである。この 農家クラスでは3機械をそろえると大体1000万円かかるらしい。 これを兼業農家が買い変えるのは至難の業らしい。

建設建機であれば、中古市場、リース市場がいくらでもあり、極め て流動性がある。こういった効率的なシステムがあるからこそ、建 設土木業界は新規参入が多く開かれた業界ともなっている。農業が 産業としていかに参入障壁が高いかを物語っている。

聞けば、日本で中古の農機具を購入するのはアジアの特定の大国の 人ばかりだという。もちろん彼らは買って本国にもっていってしま う。もちろんグループ農家でシェア買いするシステムもある。しか しグループとして認めてもらわなくてはならない。効率が悪いこと に変わりはない。日本の農業がグローバル市場に 打って出るにはまだまだ高いハードルがある。

さて表題の件である。先般東京で不動産の有識者とランチをし、今 後の不動産市場の景気論議をした。私共が、「東京の観光、再開発 などの様子を見ているとこのままオリンピックまで景気が一気に行 くのではないか?」と言ったのに対して、有識者(氏)いわく「オ リンピックまでにかならず調整が来てもらわないと困る。来てもら わないとオリンピック後非常に大きなバブル破綻になりかねな い。」とのことである。

オリンピックまでに景気調整が来ることは、実は、弊社も以前から 展開していた持論でもある。それを筆者自らが覆したことになる。 したがって氏の言い分も理解できる。いずれにしても後2年であ る。

国内外で日本企業が大型M&Aを展開している。これは明らかに金 余りバブルの末期症状だ。しかし弊社が考える、景気の持続の一番 の要素は海外の外勢要因である。グローバル市場でそのレベルが危 険水域にあると懸念されながら、株価が高値で安定している。

中東と、東アジアの地勢リスクに違いは、武力優先の解決か、経済 覇権優先の解決かである。本来朝鮮半島の南北問題は冷戦の象徴で ある。かつてソ連対米の冷戦構造は中東に見られるように即武力に よる解決しか選択肢がない。これに対して東アジアは軍事覇権より 経済的覇権争いが選択される。

近年の中国の台頭により、東アジアにおけるプレゼンスがソ連から 中国に変わって、武力を優先した解決ではなく経済優先の延長線上 にある冷戦構造となった。ソ連は、ロシアになっても相変わらず軍 事による武力侵攻によって地域問題を解決する手法である。ソ連時 代からそもそも資源産業以外新しい産業振興は見られない。

中国は、もちろん軍事プレゼンスもあるが経済的覇権が地域問題の 最優先事項となっている。中国が所得を倍増している要因は、かな らずしも軍事プレゼンスによるものではなく、産業の隆盛にある。 そしてグローバル市場の経済の極である中国の軍事覇権より経済覇 権の志向の評価の表れが今の株高につながっていると考える。

次に、アメリカの金利が上昇しており、アジア新興国からの資本流 出が懸念されるが、これも以前の危機から学習され通り、通貨スワ ップなどのネットワークなどの通貨バッファーが一部諸国を除いて できている。

更に、トランプは相変わらず蛮行を行っていると報道されている が、トランプはグローバリズムによる比較優位による競争で、優位 ある産業に特化して競争力のない国内産業を切り捨て、その代りグ ローバリズムの富を効率よくアメリカへ誘導するという従来の考え に一貫して反対している。

逆に、グローバル市場で競争力をなくしたが、国内の自分を支持す る産業(ラストベルト地帯)を救済して、そのためにグローバリゼ ーションにおけるアメリカの既得権(自由貿易の恩恵)を放棄して もいい。その分は二国間再協議で補てんしてもらうという考えにブ レはない。

外勢要因は混とんとしているようであるが、主義主張の良い悪いは 別にしても、それぞれのプレーヤーにおいて実はブレがなく、規律 が保たれており、その結果がグローバル市場の株価の高値安定につ ながっているように思える。

日本も、このままオリンピックまで景気を維持し、その後外貨獲得 新産業としての観光、農業、内需新産業のスポーツヘルスケア消費 という三本柱で新しい日本経済の構築を目指せば、大きな調整も乗 り切れるのではないだろうか?これがポストオリンピックの弊社の 楽観的シナリオである。

もっとポストオリンピックの事を議論しよう。



以上

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