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主宰:川津商事株式会社
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スポーツビジネスの可能性

〈2018年5月10日〉

最近感じるのは、サブカルチャーに明るい人は社会の動きがよく見 えている。サブカルチャーは現実の生活である。そして都市経済は サブカルチャーの上に成り立っているからだ。

日本は新しい経済の柱として農業、観光、スポーツ市場の育成が必 要となる。これが弊社の考えである。農業は世界的な食糧需要に対 する外貨獲得のための柱となる。しかしそのためには既存の農産業 の構造的システムだけでなく、ほかに多くの障壁を超えなくてはな らない。

例えば、お米は当然主力商品となると考えられるが、一方で今の日 本のお米は高価、高品質のガラパゴス商品の象徴であり、高カロリ ーが健康市場に受け入れられるかどうか?も指摘されている。グロ ーバル市場で外貨獲得のための農業を産業の柱とするには、もう一 度ゼロから市場デザイン、商品戦略を作りおさなくてはならないと 考える。

観光についてはインバウンドが起爆となり成長しつつあるが、イン バウンド一つとっても学習しなくてはならない点はいくらでもあ る。例えば、ポルトガルのリスボンは観光産業がメインの都市であ る。もちろん他の産業もあるが、メインは観光産業である。リスボ ンの観光産業の最重要インフラが、世界周遊フェリーが何隻も接岸 できるテージョ川の港施設である。

リスボンでは港に大型フェリーが何隻入港しているかが、観光景気 のバロメーターとなっている。明日フェリーが何隻はいるという情 報をもとに、一斉に観光ガイドの携帯が鳴りガイド、通訳の確保が 始まる。常に観光産業界がフェリーの入港状況を気にしているわけ だ。

世界的な観光都市ベネチアでも同じ光景があった。「最近大型フェ リーが減っている。」という世間話が景気のバロメーターであっ た。フェリー観光はドアtoドアで消費施設に直結していなくては ならない。特に名古屋はインバンドの入り口戦略をセントレアにし かおいていない傾向がある。フェリーの観光客は寄港都市で体験す ることを志好し、他へ移動はしない。

さてスポーツ産業も、医療・健康ケア市場、体験消費市場を具現化 する新たな国内産業の柱になるべきである。改めて言うまでもな く、各都市で催されるシティーマラソンが活況を呈している。かつ ては10万人を超えるスポーツイベントはFIだけで、それに次ぐの が正月の国立のラグビーぐらいであった。

今では様々なスポーツイベントがビジネス市場として大きく成長し ている。アパレルもスポーツファッションに力を入れ、医療の分野 からも大きく期待されている。マーケティング学会においても、ス ポーツマーケティングが台頭してきている。

スポーツイベントビジネスの隆盛とともに、スポーツ選手にあこが れる若者がスポーツ関連の学校への進学が増えている。しかし現実 にはこの卒業生が、従来のブルーカラー・ホワイトカラーと比較し て、市場で十分な対価を得るまでには至っていない。

人手不足の現在では、彼らの多くが製造業、飲食ホテルなどのサー ビス業へ転職しているのが現実である。しかしその一方で、トレー ニングジムでのパーソナルトレーナーなど、成功している高付加価 値ビジネスが確実に成長している。

2015年日本不動産学会の秋季大会シンポジウムの「オリンピック と不動産」では、従来の商業施設等の都市インフラではなく、スポ ーツをする人を中心とした使い勝手の良い街づくりという考え方が しめされた。

今までの都市経済は、コアとなる商業施設を中心に開発されてき た。しかしネット利用など消費経済システムの構造的変化などで、 従来型の商業施設をコアとする都市経済は収縮し、商業施設自体が 交通拠点などに依存せざるを得ない状況になってきている。従来の もの消費が都市経済のコアとなりえない状況だ。

都市経済も新しいコアを必要としている。コアとなる高規格の都市 型アリーナ、高度に集積したスポーツトレーニング施設。しかし市 場の成長を考えるとそれだけでなく、地域の公園にミニスポーツゲ ーム場、バスケットゲージ、テニスの壁打ち、地域のジョギングコ ースを整備する等、市場の末端の整備から都市のコアとなる施設ま でヒエラルキーを作りあげることが本当の意味での市場の創造とな る。

以上

農業観光スポーツ