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主宰:川津商事株式会社
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コントロールできない都市化

〈2018年4月25日〉

ようやく、花粉のシーズンが終わり温かな初夏を思わせるように気 になりました。新年度も落ち着きはじめ明るい話題も出そろい始め た。陽気につられて今回も暴走気味のレターです。

まず取りあげるべきは大丸松坂屋の栄での新たな新店舗開発のニュ ースである。Jフロントリテーリングという呼称を使わずに大丸松 坂屋と言うブランドを前面に押し出した戦略が見て取れる。規模は 大きくないが、タイミングいと良いインパクトのある話題だ。

Jフロントリテーリングが銀座シックスを立ち上げ、その成功は銀 座をも変えたと言われる誰しもが認めるところである。しかし残念 ながら森ビルなどの共同出資から大丸松坂屋のブランドを使用して いない。今回の名古屋では大丸松坂屋のブランドを前面に押し出し ている。

知人の研究者に、Gシックスの成功の原因を大丸のノウハウか、松 坂屋のノウハウか、もしくは両者の化学反応か?と愚問をしてしま った。その答えは「市場環境の変化を的確に読み新しいフォーマッ トを作り上げた結果だと。」指摘されてしまった。

料簡の狭い筆者は、大丸と松坂屋の統合は名古屋資本の流出として 残念な思いがあり、今回はその逆流と考えていたが、そもそもそん なノスタルジックな料簡こそ市場の変化のついていけない遺物だっ たのかもしれない。今の大丸松坂屋のは市場がよく見えているのだ ろう。

栄は、一言で言えば、今のどが渇いている。名古屋駅前の華やかさ を横目に、新たなビジネスチャンスに飢えている。絶好のチャンス である。百貨店業界になかでも2頭の統合成果を焦りすぎている伊 勢丹三越に対して、大丸主導のJフロントは経営が安定していると 言えよう。

社会・市場は、今非常に大きく変化している。その中で強いヘゲモ ニーで、この変化に対処できている姿が市場も認めだしている。

グローバル市場を見ると、北朝鮮の核問題、一連のトランプ問題、 中国の周政権の長期化、イギリスのEU離脱など様々な問題が生じ ているにもかかわらず、実はグローバル市場の株価が依然として堅 調に推移している。もちろん金余りの要因もあるが。

国内を見てみると、5年以上の戦後最長の好景気を生み出し、更に TPP、EUとのEPAもゴールが見えてきた。米との新たなEP Aは確かに懸念ではあるが、長期政権の一貫した強い経済政策が成 果を出始めている。プーチン、習、トランプ相手に目まぐるしく変 わるヨーロッパの国首では対処できない。

暴走的私見ではあるが、ポストトランプで米景気が低迷すると、T TPは非常に重要な政策カードのなるのではないかと考える。

さて表題の「コントロールできない都市化」である。日本では「限 界都市」概念がもっぱら都市政策の主流である。しかし海外では以 前より「エンドレスシティ」「メガシティー」など人口爆発の巨大 化する都市群という考えが主流である。今回の言葉も“Is urbanization out of control?”という英字新聞の記事の引用であ る。

コントロールできない都市化の都市として、インドのバンガロー ル、コンゴのキンシャサ、中国の貴陽市、メキシコシティー、ルワ ンダのキガリ、ボリビアのエルアルトが挙げられていた。必ずしも 日本で広く認知されている都市ばかりではないが現在人口が爆発し ている都市だ。

そもそも爆発的に拡大しているということ自体が、コントロール外 の自由なプラットフォームにあるからこそ生じる現象だろう。この ことは最近のフェースブック問題など、爆発的に拡大する情報量社 会などにも同じことが言える。

古いものが滞り、新しい概念が登場しそれが爆発的に成長しようと しているときに、経験則による細かい管理は通用しない。中国はそ れまでの共産党の集団指導体制を放棄し国家主席による独裁の道を 選択した。大きく変わろうとする社会で集団衆愚政治は効率が悪す ぎるという判断だろうか?

政治的議論ではなく、もちろん独裁を容認するものではない。しか し市場の変化を客観視すれば、「頭のいいオバマは何も結果を残せ なかった。トランプはとにかく実績主義者だ。」という大統領の出 現も社会が要求した現象かもしれない。

フェースブックの情報漏洩問題はケンブリッジ研究所が情報を抜き 取り、米大統領選の投票行動のデータ分析に充てということであ る。結果的にトランプ反対者のデータがトランプ当選に利用された なら確かに怒り心頭だろう。

しかし管理できない情報の化け物が生み出した大統領がトランプで あるなら、トランプもまた変わろうとする社会が求めた結果であろ う。

ちなみに“Is urbanization out of control?”という記事掲載の 新聞の一面は“A crisis in the natural world”である。自然界 の危機もまさに管理が全くできていない。英字新聞ではグローバル 規模の環境問題が頻繁に登場する。

今回の新聞記事の「自然界の危機」の内容は、2050年までに世界 中のあちらこちらで水不足が深刻になり、それがまた気候変動の引 き金になるというものだ。環境問題こそまさに国際会議の議論が衆 愚化、ゲーム化してしてしまい決定的な結論は見いだせていない。 環境問題の強権的管理者が求められているのかもしれない。

以上

都市化大丸松坂屋