名古屋の不動産 何でも相談室

Apple watch（3）, iPhoneXを使って分かったことは、最近のハイ テク新商品は、仕事の合理化、若い人のトレンドではなく、むしろ シニアの行動補助の色合いが強い。ヘルスケアを意識してくれる し、携帯を忘れても常に腕にあるし、リマインダーで指示してくれ るし、メッセージ入力や電話へのアクセスはほとんどSiriがやっ てくれる。一度使うとシニアには欠かせられないものになってしま う。

iPhoneXは顔認証だ。いつか、顔を認証しながら「今日は元気そう ですねとか」、「今日は体調悪そうですね、気負つけてね」と話しか けてくれるアプリが早晩出てくるような気がする。これも体調管理 だね。

桜通りの新しいビルの一階店舗に空きが目立ちだした。いずれも 2000年以降に建てられた比較的新しいビルの店舗が埋まらなくな ってきている。危険な状況だと考える。

弊社は、不動産の重要な理論である「実効性がある市場では新しい 供給が新規需要を生み出す。」を大前提としている。新しい供給が 需要を開拓しなくなってきたということは、実効性が無い市場にな りつつあることを意味する。不動産の精通者でなくとも市場理論の 精通者であればこの問題の重大性は理解できよう。

桜通りでの都市型店舗市場のシュリンクだ。名古屋の都市構造が変 化なのか、都市経済そのものが衰退している兆候なのか？

まず考えられるのが、ネットに代表されるリテール市場の構造変化 化から従来型の路面店が成り立たなくなってきた。名古屋駅前の隆 盛・納屋橋エリアの隆盛に伴い周辺の実効性の弱いエリアにストロ ー現象が生まれた可能性も考えられる。そして自動車によるモータ リゼーションの変化か？かもしれない。

理由はどうあれ、桜通りには丸の内エリアのフロントでもある。名 古屋駅前エリアと、栄エリアの中間エリアが衰退すると、両エリア の交流を隔絶する障害となる。かつて千種のビジネスエリアが衰退 したことによって、栄エリアが千種から東山に至るバックヤード市 場を失い栄の市場自体がシュリンクした状況と同じだ。

桜通りも、錦、広小路通りと同様名古屋の基幹エリアである。桜通 りおよび、丸の内を名古屋城に隣接する観光エリアにするのか、新 しい都市型居住空間、あるいは従来の都市型店舗を再興するのかに するのか、都市戦略が喫緊に求められる。

先ごろ住民基本台帳の人口移動報告（2017）が公表された。今回の 特徴は転入、転出の傾向がゼロサムゲームになってきたことであ る。自然人口増が期待できない以上、転出の抑制・転入超過政策に よって都市を活性化するよりしょうがない。他所・近隣からとって くるわけだ。

今回の報告書はその傾向が明らかに出ている。転入超過で人口を増 やしている都市は、すぐ隣接する都市から転入を増やしている。九 州、東北の地方から三大都市に向かって大きな転入を稼いでいる日 本全体の人口動態ダイナミズムではなく、近郊エリア間でのエリア 間・都市間競争が人口動態の主戦場になっているわけだ。

川崎市が隣接する横浜から、大阪市が隣接する都市から大きな転入 を獲得している。大阪圏は転出超過ではあるが昨年から非常に大き く改善されている。大阪府も注入超過つまり人口増になっている。 一方愛知県・名古屋都市圏人口では転出超過である。つまり社会人 口動態減である。しかし名古屋市はかろうじて転入超過である。

ファンダメンタルによる都市政策はもうありえなくなっている。都 市政策、街づくりが功を奏するエリアが勝利する。無作為な都市・ エリアが敗者となる。桜通り丸の内エリアは名古屋市内の中心でか なめの一つでもある。戦略的な政策が必要になろう。

桜通りの店舗空き家増について、もう少し知見を広めて考えよう。 少し前に自動車産業の聖地で財政破綻・都市経済の破綻した自動車 都市デトロイトの街づくりの再建案として、車道に都市型ライトレ ールの整備が挙げられた。

この整備の本質は、自動車目線の街構造から歩行者目線の街づくり への変換である。自動車目線では店舗はいらない。したがって店舗 は衰退し、歩行者が少なくなり、治安が悪くなり、街は空洞化する と言うデトロイトの都市政策の失敗から再生が目的である。

東京からも同じことが最近指摘されている。弊社の読者からの反響 で「名古屋と都内の大きな差は、クルマ移動をメインとするか？電 車移動をメインとするか？ではなかろうか？パチンコやドラッグシ ョップ・本屋・カフェ・スーパーで、名古屋ではほぼ壊滅した小規 模店舗が普通に生きています。商店街も同様です。ちょっとした郊 外でも「バス」で移動するのが都内です。」とある。

タクシーで名古屋駅前から移動しようとすると一番早いのが桜通り である。つまり桜通りはタクシーの聖地である。バスとか電車で移 動すると、必ず歩行者が行動できる街並み・環境が求められる。桜 通り、あるいは名古屋の車道にはその要素が疎んじられている点が ある。

かつて広小路の車道をつぶしてライトレールをと言った市長がい た。その効果は、本質的は間違っていない。

以上