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主宰:川津商事株式会社
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アップルウォッチがやってきた

〈2018年1月30日〉

先般、日経MJに初音ミクが登場して10年がたつという話題が1面 を飾っていた。いわゆる従来の大手資本に属するプロたちのプロデ ュースではなく、一般のそれまで素人と呼ばれていたクリエーター によるオープンソース型のアイドルである。

その後マーケティング学会のリーサーチプロジェクトにて、初音ミ ク追っかけの先生による報告がされたときは大盛況であった。マー ケティング学会は比較的クリエーター部門の人が多いが、それでも 大学関係者もおりブレザーにネクタイ姿も多い。

次の報告で某大学名有名な教授がわたくしもTシャツで報告したほ うがいいかなと言って笑いをとった。簡単に言えば、学会での上 着、ネクタイ姿と言うスタンダードを壊したのである。

初音ミクの登場は、日経MJの言葉を借りれば安室奈美恵の一曲の 作曲に通常誰か一人が作曲するのに、4人で作ると言ったようにそ れまでの常識を壊した。それまでの常識と言うのがその時のスタン ダードであり、市場がそれに収束する均衡である。つまり新しい革 新的なビジネスモデルの登場は、従来の均衡を破壊する事にその存 在意義がある。

日本のものづくりの大きな間違いは、良いものさえ作れば市場は評 価してくれると勘違いして改善し続けていることだ。もちろんそれ も戦略ではあるが、iPhoneは世界に君臨するソニーより品質が良 かったから、ウォークマンにとってかわったのではない。ソニーと 言う当時の市場スタンダード・均衡を破壊し新しいミュージックシ ーン、コミュニケーションシーンと言う均衡を作ったのである。

従来の均衡と新しい均衡の乖離こそが、ファイナンスで言うところ の裁定機会である。裁定取引をすることによって利益を上げること ができる。新しい均衡が出来なければ裁定機会も生じず、裁定取引 もできず儲けも上がられない。良いものを作っても利益が上がらず ガラパゴスと言われる風景である。

古い均衡を破壊した新しい均衡も古くなり、市場のスタンダード・ 常識になれば裁定機会も珍作成り儲けもなくなる。新聞報道によれ ばiPhoneの生産が減少している。この市場の低成長が意味すると ころは、新しい均衡を市場が要求しだしているのである。

そこで表題のアップルウォッチ(AW)を購入してみた。皆さんの AWに対する評価は「携帯があるのにあえて買う必要があるの か?」の程度だろう。私も同感です。

今回シリーズ3が登場し、セルラータイプがいよいよできた。これ は従来であれば、近くにペアリングしたiPhoneがあり、その機能 をウォッチ(腕)でやっていただけだ。「なんで携帯があるのにわ ざわざAWが要るのか?変な奴!」になる。今回携帯電話を持って いなくても直接電話、メールの受信ができるようになった。

ちょうどiPadのセルラータイプが出て一気に普及し始めた段階と 同じだろう。iPadも当初は、携帯電話とノートパソコンの中途半 端な中間にあり、こんなものと言わんばかりの批判があった。つま りそれまでの市場の常識的な風景が携帯電話+パソコンであった。

今ではパソコンの生産が減少しそれに代わり、携帯+タブレット orパソコンがその主流となりつつある。つまりiPadもパソコンと いう常識である市場均衡を破壊した革新的技術であったわけだ。

シリーズ3のAWは、思っていたより便利である。電話はともかく こんな小さな画面で文字の入力返信ができるかなと思っていたが、 入力はせずすべて言葉(Siri)で指示する。メールの返信がビジネ スメールであっても言葉で返信すると口語調になり、先方に対して ため口になってしまう点が不慣れな点である。

将来のデバイスへの指示入力は、キーボードではなく口語入力があ るべきだろう。若い人たちがやっている、ローマ字入力ではなく “あ行、か行、さ行・・・”入力はどう見ても滑稽だし、日本のガ ラパゴスの象徴であろう。

現況のAWの批判は、操作がAWで完結できない事。つまりペアリン グのiPhoneでしかできない事。カメラ機能がないこと等である。 操作性は今後言葉(Siri)のやり取りの進化でさらに改善可能であ ろう。問題はカメラである。

電話にカメラが付くという革新的商品は、既存の多くの市場の常識 を破壊してきた。社会のコミュニケーションのありようを根底から 覆し、ネットでのフェースブック、インスタ映えなどに変えてしま った。この既存の市場均衡を破壊し続けたインパクトは大きかっ た。

しかし今後どうだろうか?iPhoneの生産が減少してきたこと自体 ネットを通じた動画のやり取り、写真のやり取りの量は一段落した のではないだろうか。今後さらにFB、インスタなどのコミュニケ ーションツールがこれまで以上に爆発的に成長する段階ではなくな ってきたと考えるべきだろう。

つまり映像機能による市場均衡は、市場の安定的な既存の均衡にな りだしたわけだ。もっと大容量になるのか、あるいは映像を見知ら ぬ人と瞬時に交換するコミュニケーションの次のコミュニケーショ ン社会とはいったいどんな社会だろう?大きな期待である。市場が 次を要求し始めたと言えよう。

AWにカメラをつけられない理由を店員に聞いてみると、盗撮防止 だという。これも既成概念にとらわれ過ぎている。

一方端末デバイスに対するニーズは多様だ。例えば将来の高額医療 に対して、自分で医療的な管理予防策をしなくてはならなくなった 時、やはり体に接触したタイプのデバイスが必要になる。例えば糖 尿病の人が低血糖状態になる前にデバイスが察知して知らせてくれ るようになるとありがたい。

心筋梗塞、脳梗塞などの重病疾患を事前に察知してほしいというニ ーズは高く、あればまさに革新的進化である。もっと簡単な単なる 風邪の感染を察知してくれるかもしれない。個人それぞれの健康管 理のニーズは計り知れない。

言葉入力だけでなく、手の動作、体の変調、あるいは思っただけで 操作できるデバイスも今後大きな市場を期待させる。可能性として 今の携帯型から体接触型のAWが、現況の低成長になりだした市場 の均衡を破壊し、新しい市場の均衡を生み出すことを想定できるわ けだ。

初音ミクが登場して10年。iPodが登場したのが2001年17年間。 iPhoneが2007年登場して10年がたった。次の新しい均衡を市場 が要求するころである。

以上

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