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主宰:川津商事株式会社
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ユニーのドンキ化から考える都市戦略

〈2017年 11月 25日〉

ユニーの店舗がドンキに、まるでオセロゲームで白が黒にひっくり 返るように変わっていく。前を向いて新しい融合の展開を期待する。 名古屋資本の松坂屋に続いて、ユニーが成り立たなくなることから 見えるものは何か?

ユニーにしても、松坂屋にしても日本市場のトップ企業ではない。 3−4位下手をすると5位−6位であった。現在の市場競争では市場 占有率トップ企業かそれに肉薄する2位企業以外は敗者である。し かしその一方で特定の地域でナンバーワンになっていた企業は、1 位、2位でなくてもそれなりのポジションを維持する事ができた。

それが閉鎖的と言われても、かたくなに名古屋市場内でポジション を堅持することによって、生き残れた名古屋の企業の特徴であった。 つまり名古屋の市場がそれなりの規模があったことを意味する。し かしそれが通用しなくなったわけだ。いくら名古屋市場を押さえて も、市場全体で5位前後は敗者でしかない。

このことから学ぶことがある。世界市場で5位前後であっても日本 と言う市場で独占的なポジションを堅持すれば生き残ることができ る。これが今までの日本の企業の戦略であった。しかし日本市場の 独占が意味をなさなくなると、あっという間に現在世界ランクで何 とか上位にいる企業であっても、Google、アリババ、apple・・ある いはケイマン諸島に本社を置くファンドに、吸収され色が変わって しまうかもしれない。

そして日本でコツコツと蓄積してきた資本が流出する。

中国のような他に比類のない巨大な国内市場を持ち、そのトップに 君臨する企業であれば、グローバル市場でトップでなくても生き残 れるかもしれない。もしトランプがグローバル市場のトップは無理 だから、アメリカ市場のトップとしてアメリカ企業の生き残りを模 索しているのであればとんでもない戦略家だ。少なくともアメリカ の市場はそれなりの力があろう。

さて、名古屋の市場規模、更にはその次の日本の市場規模が威力を 示さなくなるのであれば、その次の戦略を考えなくてならない。最 悪になる前に前もって、どこと合従連衡を模索するかも重要になる。 名古屋資本がこれまで選択してきたいろんな資本的提携戦略からも 学び取らなくてはならない。過去の反省をタブー視してはいられな い。

今の資本主義では、トップ企業が絶対的で、2位はチャレンジャー ではなくニッチーとして存在するに過ぎない。2位以下の弱者が徒 党を組むのが合従で、トップに吸収されるのが連衡である。日本の 市場を独占することで今の地位を築いている東京が、今後も世界市 場で生き残れる確約はない。東京がだめなら日本もダメになる。

そこで視点変えて、日本が君臨できる可能性を探してみよう。まず 2014年の国連の都市人口に関する報告書(World Urbanization Prospects 2014)から、世界の都市化のトレンドを見てみると、世 界中の都市化人口が1950年に世界人口の約3分の1であり、非都 市の人口が3分の2占めていた。2007年に都市人口が非都市人口を 逆転し、2014年には都市化人口が54%にまで増加し、2050年には 3分の2にまで増加することが予想されている。

2014年で、都市化人口が80%以上である国が59か国あったのに対 して、2050年までに89か国に増えると予測されている。2014年で 世界中の都市人口のうち半分が、中国、インド、アメリカ、ブラジ ル、インドネシア、日本、ロシアの8か国で占められている。世界 の都市人口構造の潮流として、これらの国の都市への集中は避けら れないものであるわけだ。むしろこれを逆手に取ろう。

もう一つ、国連のシンクタンクの一つであるハビタット(UN-Habitat 国際連合人間居住計画)が2010年にすでに都市化の「エンドレスシ ティ現象」を報告している。エンドレスシティ現象とは、既存の大 都市(mega-cities)がいくつも吸収されて、メガリージョン(mega- regions)が形成されていく。しかもそれが止めることができない現 象であるとしている。

エンドレスシティは、地球上の人を集め、富を独占し、向こう50年 における開発、人の居住空間、そして経済成長の重要な要素となる だろうとしている。逆に言えば将来世界をけん引する原動力がメガ リージョンに求められるということである。

この報告が言っていることは、既存の大都市が次々とメガリージョ ンに「吸収」されていくと言う点である。そして報告書の中でも指 摘されているエンドレスシティの象徴が、中国の香港-深?-広州(1 億2千万人)である。

それに続く規模のものとして日本の東京-名古屋-大阪-京都-神戸に 住む6千万人のエリアがあり、その他ではブラジルのサンパウロ- リオディジャネイロ(4千3百万人)などが挙げられている。つま り世界に冠たる経済基軸を作り上げるのも戦略である。中国の一帯 一路もまさにそれを目指した経済基軸の再構築と独占戦略である。

日本も世界をけん引するメガリージョンを構築すること。これが日 本がとるべき戦略の一つだ。東京から大阪に至る太平洋メガロポリ スを再構築して、名古屋もそれにいいポジションで参加することこ れが名古屋の都市戦略になろう。

地方分権VS東京一極集中論議はもう古い。限られた資源で日本に 生産性の高い、効率の良いメガリージョンを作り上げる事。これが 新しいグランドデザインとなるべきだ。これは東京と大阪を繋ぐた めに中心に位置する名古屋が声を上げるべきである。

以上

ユニードンキ―太平洋メガロポリスメガリージョンエンドレスシティ東京名古屋