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主宰:川津商事株式会社
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Amazonの勢いが止まらない

〈2017年 9月 15日〉

クールビズに反対します。クールビズの風景は、中年サラリーマン がウールの春夏合物の分厚い上着を着ながら、ワイシャツを着崩す という非常にみっともない。クールビズをやめて新素材開発に力を 入れるべきだ。特に名古屋のアパレル産業が新素材を開発して市場 を作るチャンスだ。ユニクロなど成功しているアパレル産業は皆、 新素材の開発で成功している。

改めて言うまでもなく、Amazonはじめネット通販の勢いが止まらな い。しばらく前の話題では、宅配便のヤマトはじめ物流の制約をも ぶち破り、周辺業態までをも巻き込み既存ビジネスの限界を破壊し 続けている。今やAmazonの企業としての時価総額が50億ドルにも なり、トヨタの20億ドルをはるかに超越した存在になっている。

「すごいけど、所詮Amazon。」なんて侮ってはいられない状況だ。 さて、そのAmazonがこれも新聞報道されていることであるが、最近 アメリカの高級自然食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」を 買収した。ネット通販で弱いとされてきた生鮮食料品を傘下に収め たわけだ。

更にAmazonはアメリカで、プライム会員に対して試着をしてもら い、気に入らない商品はすべて返送してもらい、手元に残した商品 だけを代金請求するビジネスモデルに着手し始めている。ネットビ ジネスの限界としてきた実装ビジネスにも先手を打ち始めたわけだ。

リアル店舗では人件費、地代が発生するが、ネット店舗ではそれが かなりの部分で削減できる。「このコストの差額を戦略的に商品価格、 顧客サービスに反映されたら、リアル小売店舗が太刀打ちできなく なるのは明らかだ」と流通業者の関係者が嘆いている。

今こそAmazonのプライム会員は一律であるが、そのうちにプライ ム会員にも優劣が付き、上位の会員にはお試食食料品が届き、それ を消費した分、あるいは新たに注文した会員がさらに上位の会員に なり、更に特典が付けば、皆こぞって上位を争いだすかもしれない。 クレジットカードのゴールド、ブラックグレードの違いみたいなも のだ。

生産者がそのコストを負担するのではなく、Amazonが負担するお試 し着、試食、限られた会員だけに届く限定品等々、使えば使うほど 有利な何でもありネットビジネス時代がやがてやってくるかもしれ ない。

遠い先の話ではなく、リアル店舗を核とした流通業界が、現実にそ の存在が脅かされている。ネットビジネスの「ドアtoドア」と、消 費者が選好する「ハンドtoハンド」の割合が今後どのように変わる のか?まさに戦々恐々である。

一番悩んでいるのは、物の生産者である。小売流通業とのこれまで の付き合いをないがしろにはできないが、ネットビジネスの流通チ ャネルに乗り遅れることはあってはならない。物販を考える時どの チャネルに乗らなくてはならないか?きわめて戦略的な決定になる。

誰にもわからないが、それなりに予測するならば、既存の流通小売 業態は、一度は立ち行かなくなるのだろう。しかしネットビジネス が完全に流通業の主役となった時点で、それと差別化する意味で小 売店の復活が出てくるのではないだろうか?ただしそれは既存の店 舗の生き残りではなく、あくまで新規の小売流通業になるのではな いだろうか?

そうなると当然考えなくてはならないのが、既存の中心市街地の核 となる商業集積スペース、郊外型の薄利多売のスーパービジネスの スペースと言った、不動産地代ビジネスも既存の収益モデルが、一 旦破壊されてしまうことも想定しておく必要があるわけだ。

今まで中心市街地の衰退は考えられたが、中心市街地の消滅はなか なか想定できない。しかし、交通の要所でもないリアルな小売店舗 だけの商業施設を核とした、中心市街地が消滅することもありうる わけだ。遠い将来の事のように思われるが、不動産ビジネスの大き な顧客である流通業界の収益構造が大きく揺らぎ始めている。

不動産は市場のベースとなる「場」である。場の上に「市」が集積 して、あらゆる商いが成り立って市場が成立する。その市の収益構 造が大きく変わろうとしている。それはこの場がリアル空間からネ ット空間に移行するとどうなるのか?古い収益構造に頼らない新し い収益モデル(市)を「場」は作らなくてはならない

以上

Amazon百貨店中心市街地市場流通業