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主宰:川津商事株式会社
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日本不動産金融工学学会会長 前川俊一先生

〈2017年 8月 20日〉

世界中の政策当局のオーソリティーが、世界の株価の高値に警鐘を 鳴らし続けている。リーマンショック以降、世界中で懸念された金 融危機対策のための過剰クレジットが、実際大変な塊となってグロ ーバル市場をうごめいていると言っていいだろう。

しかし一方で、この過剰クレジットの破たんの引き金を引くリスク が見当たらない。中国バブル、イギリスのEU離脱、アメリカのトラ ンプ政権の行方、パリ温暖化防止協定の米離脱そして北朝鮮の地勢 リスクなどが懸念されてきたが、現時点でどれも株価を冷やす決定 的なリスクとまでは至っていない。

いい意味でも悪い意味でも、リーマンショック、あるいはアジア通 貨危機などの苦渋が学習されてリスクマネージメント(通貨スワッ プ等)ができていると言えば聞こえはいいが、下手な生兵法による これ以上の肥大は、破たん時の痛みを増やすだけである。

弊社も、オリンピックまでには何らかの調整があるはずと連呼して きたが、しかしこれ以上バブルのリスクを言い続けると、単なる「オ オカミが来た」を連呼するオオカミ少年になってしまう。

さて表題の件、名古屋の不動産投資市場に朗報がある。昨年まで明 海大学で教鞭をとっておられた前川俊一先生が退官されて、名古屋 の椙山女学園大学現代マネジメント学部教授に着任された。先生は 日本で唯一不動産学部がある明海大学の看板教授である。

前川先生は、川口有一郎先生の後任として、今でもまだ日本不動産 金融工学会の会長をなされているが、それ以外でも不動産学会など で不動産経済学の特にマクロ経済の隆盛に深く貢献されてこられた 先生である。特に不動産鑑定士業界の理論的なサポートをなされて こられた方でもある。

この地の不動産鑑定士の方には、身近に理論的な人材を得て心強い ことになろう。鑑定ビジネスの理論的なビジネスモデルの構築、鑑 定理論の計量的な裏付け、あるいは法律法立案など様々な面で頼り になるはずである。もちろん不動産研究の領域に多くの人脈を持っ ておられる。

先ごろまで、CBREの名古屋支店に日本で最も老舗で信頼のあった不 動産インデックス、マクベスを開発された藤本氏が着任されておら れたが、このたび名古屋を離れることになった。この方は日本だけ でなく、アジア全体の不動産投資市場を俯瞰できる日本を代表する アナリストであった。なかなか有能な人材を使いきれないのが名古 屋の不動産投資市場の限界でもある。

名古屋は、最近鑑定士の方々のご努力により投資家意識調査をはじ め、アカデミックな動きがある。名古屋にも実は都市政策、交通シ ステムなど様々な分野で研究活躍されている方々が多くいる。ぜひ 人材を活用して成果を上げるべきである。

かつて、産官学連携と言う言葉があった。現実には日本の製造業の 現場が空洞化してしまい、地域経済の産官学連携に対するニーズは 限られている。トヨタなど大手企業の産官学はグローバル規模の知 識を要する。

そういった中で、不動産投資市場の産官学連携はまだまだ可能性が ある分野である。特に名古屋では欠けている部分である。

以上

前川俊一日本不動産金融工学会