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主宰:川津商事株式会社
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前回の名古屋飛ばし論の反響

〈2017年 6月 25日〉

或る英字新聞に、実はインドが中国の人口をすでに抜いていると主 張する学者がいると報じていた。話は変わるが、こそっと読者にお 聞きしたい。「都民ファーストとアメリカファーストの違いはどこに あるのか?」。

都知事は都民ファーストとオリンピック開催のオールジャパンを連 呼している。お金は税金を使いオールジャパンで準備し、あくまで 都民のためになるように開催するというのか。どなたか教えてほし い。今回は少々東京に反抗してみました。

改めて名古屋飛ばしの議論を蒸し返すつもりはないが、前回の名古 屋飛ばし関連のニュースレターにお寄せいただいた反響は、すべか らく東京からのものでしたが「名古屋飛ばしは当たり前だろう。必 要があるのか?」「名古屋を飛ばしても別に名古屋が困るわけではな いだろう。関東一円から東京に来ることと同じではないか」「名古屋 に需要があるのか?」と言ったところだ。

いずれもごもっともだ。最近また東京に国際金融都市化と言う言葉 を見かけるようになった。あわせて円をASEAN諸国の資本流出危機 時のバックアップマネーとして国際化を目指そうという動きもある。 エンドレスシティ東京のグローバル化は止まらない状況だ。

よくよく考えてみれば、そんな重要で過密なで東京でコンサートを 開かなくてはならない理由も明確ではない。以前マンハッタンで、 東京から金土日の弾丸トリップでマジソンスクエアガーデンのビリ ージョエルのコンサートにやってきたという強者に会った。実は JFK近くに、日本人がやっている安いホテルがあるんだよと教えて くれた。

当時二十何か月連続マジソンスクエア─ガーデン・ソウルドアウト を続けているビリージョエルのコンサートは、ロッドスチュアート が飛び入りで参加するなど、その盛り上がり方は日本開催の盛り上 がりの比ではない。それを知っている強者たちはマンハッタンにま で行くわけだ。

彼らは、NY便がそれまで成田からしかなかったが、羽田便になった ことが極めて重要なことらしい。東京市場の人は決して権威と既得 権益だけで東京開催に固執しているわけではない。便益を冷静に判 断して認めればNYであっても出かけるクールな市場だ。

彼らが一様に言うことは、名古屋は空港が近くにあって便利が良い という点だ。一言に東京開催と言っても埼玉、横浜アリーナなど関 東一円で1時間−2時間以上かかることは当たり前の巨大商圏だ。 原宿のブティックの商圏も、2時間を想定しているという話がある。 もちろん名古屋も含まれる

例え便益があっても、東京の人たちが名古屋に来るかと言うことに は現実的にまずないが、市場原理によりクールな評価を得られる実 効性があるイベント会場があれば、市場は作れるわけだ。

我々不動産ビジネスでも、最近のソリューションビジネスつまり再 生ビジネス、証券化ビジネスは、例え大阪、名古屋あるいは地方の 案件であってもすべて東京で処理される。この理由は東京に使い勝 手のいいアレンジャー、ファイナンス、へッジャー、ビークル、リ ーガル機関があるからだ。東京有木はあくまで使い勝手がいいこと。 つまり実効性があることが大前提だ。

市場原理は厳しい。絶対東京でしかだめだという市場原理はあり得 ない。使い勝手が良ければ大阪でも名古屋でも関係ないわけだ。イ ギリスではオリンピック開催などを経て、ロンドン以外に第二の都 市バーミンガムではなく、マンチェスターがカルチャーの一大拠点 となってきた。それは先般テロと言う悲しい現実に狙われた所以で ある。

リニアにより日本市場における名古屋都市圏の生産性が上がるので あれば、そこに使い勝手がいいイベント器があれば名古屋でも開催 の魅力があるはずだ。名古屋都市経済も名古屋駅前のオフィスビル だけでなく、様々な名古屋開催のイベントビジネスにもっと目を向 ける必要がある。

今後モノ消費からコト消費時代に行くのであれば、コト・ニーズに 合う器が必要にあるのは筆致である。名古屋駅に隣接した開発可能 なエリアは実はたくさんある。露橋のナゴヤ球場もその一つだ。

JR・名鉄の鉄道に接し、もしデッキ等で直接アクセスできれば、最 近人気のテニス、卓球、フットサル、スケートリンク・・・等最新 のアリーナだけでなく、ミニイベント会場としては空港からも名古 屋駅からも、至便の拠点だ。

名駅南から港にかけ倉庫工場跡地はいくらでもある。最近できた、 笹島ライブにあるゼップナゴヤは新しいながらいつも長蛇の列がで きている。駅から離れた不便な器でなく、日本スタンダードにあっ た、かつマーケティング可能な器(イベント会場)である。2時間以 内の商圏をターゲットにできる器だ。

リニア関連の名古屋都市経済圏の生産性を上げるということは、単 に名古屋駅前のオフィスビルによる再開発で終わらすのではなく、 時代を先取りするビジネスにつなげる必要がある。もちろん良いも のを作るためには、既存の非生産的なものを排除する必要もある。 リスクにチャレンジできないものが居座っていてはだめだ。

需要がないから供給もないではなく、新しい実効性ある供給による 需要を喚起していないのである。市場は選ぶものではなく創るもの だ。これがドラッカーの理屈だ。

そしてもっと重要なことは、躊躇して手をこまねいていると、他の リニアも何も関係ない普通の地方都市にもかかわらず、地域おこし で使い勝手の良いスポーツ会場をどんどん作ってしまうことだ。こ れだけいい条件があるにも関わらず置いてきぼりにされることだ。

様々なイベント開催に必要なのはスポンサーである。スポンサーと はわかりやすく言えば企業協賛である。名古屋経済は有数の企業群 である反面、企業協賛に消極的なエリアであることも事実だ。名古 屋の都市経済を考えるうえでも、いろいろチャレンジしなくてはな ないことがある。

今回、東京の読者の皆さんごめんなさい。名古屋に喝を入れるため に、東京をネガティブに取り上げました。決して悪気はありません。 大きなおせっかいではあるが、中日新聞は中日ビル、ナゴヤ球場な ど将来性のある資産がいくつもある。上場企業なら株価が跳ね上が っていたのではないか?

以上

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