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東京リスク

〈2017年 5月 25日〉

イギリスのマンチェスターがテロに狙われた。マンチェスターはも ともとも行政規模はイギリス9番目の小さな行政区であるが、グレ ートマンチェスター政策により現在ロンドンに次ぐイギリス第二の 都市と言われている。規模で言えばバーミンガムが第二都市である。

グローバル都市ロンドンに対して、カルチャー、国内金融、教育、 国内産業の中心になりつつある都市である。ロンドンオリンピック などで首都機能が停止したときのバックアップ都市ともなったとこ ろである。イギリスがEU離脱を行った背景となる経済の力強さが このような都市経済にもあったわけだ。

日本もこのようなグローバル都市東京に対して国内のよりどころと なるバックアップ都市が必要である。しかしこのような都市が狙わ れてしまったことは残念である。

ロンドンと同様に、グローバル都市東京が日本全体の経済をけん引 していると言っても誰も否定しないだろう。日本全国から東京に資 本・人・権力を集中して、効率よく経済活動し、その成果を日本中 に再配分する。実際それに応えるように大きな成果を出している。

経済では、リスクの大小は変動幅の大小を意味する。経済は大きく 成長すればする程その調整も大きい。この成長と調整との幅が小さ ければリスクはほとんどない。あえてリスクとも言わない。この変 動幅が大きければ大きいほどリスクとなる。

経済が成長し続けることはあり得ない。成長が大きければ大きいほ どリスクは大きくなる。ファンダメンタルズの成長であればよいが、 バブルともなるとその調整は非常に大きくなる。

今東京はオリンピックなど様々な巨大投資を受け入れて長期的な成 長を実現している。東京にけん引される日本経済も順調である。先 般、アベノミクス景気が戦後第三番目の好景気に突入したという報 道があった。

「いざなぎ景気(1965-70の57か月)」を超えた小泉政権下の「平 成のいざなぎ景気越え(2002-08の73か月)」に迫る勢いである。 今後、オリンピック開催まで継続すれば、おそらくこれらを抜くこ とも十分あり得る。

では、リスクが現実化するとどうなるだろうか?例えば東京都の財 政破綻。日本は、円を刷ればどれだけでもお金を供給することがで きるが、東京はそうゆうわけにはいかない。資金がショートするも ありうる。

オリンピックで財政が悪化し、更に築地市場移転問題など資金にお かまいない効率の悪い行政システムは、通常の自治体であればとっ くに破たんしている。よほどお金が有り余っているのだろう。

もし破たんすると、都の都市経済が行き詰まる。都内の経済活動が 効率を悪くすれば、東京によってけん引されていた日本全体が東京 リスクに引きずり込まれる。東京リスクが日本経済の引き金になり うることもある。俗に言われる日本国債の暴落に引き金となる。し かしそうなるだろうか?

そもそも、今の日本経済の好調な要因は為替と日本経済のリスクヘ ッジにある。日本の何らかのリスクトリガーが生じれば、円安にな り金利が上がる。しかし円安になると貿易が好調になり外貨準備が 膨れ上がる。経常収支が黒字になれば円高になり、金利が低くなる。

日本経済に何かリスクが起き円安になれば、価格競争力をつけ、ト ヨタが自動車輸出を増やし、東芝が半導体を輸出し、パナソニック がテレビを輸出し、ソニーがセンサーの輸出を増やす。

そしてまた円高になり輸出が抑えられることになる。この円高と円 安の為替が日本経済をリスクヘッジして、1ドル100円から130円 の間で行ったり来たりしているのが、バブル経済破たん以降の日本 のファンダメンタルズである。そしてそれこそが日本経済の力強さ の源である。

では次に、この為替によるリスクヘッジが機能しなくなるリスクは 何か?円安になっても輸出産業が機能せず経常収支が黒字にならな いことである。つまりトヨタ、東芝、パナソニック、ソニーが陳腐 化するか、あるいは保護貿易になることである。グローバリゼーシ ョンが停止することである。

日本はやはりグローバル企業を優遇しグローバリゼーションの旗手 とならざるを得ないわけだ。鳥取県や島根県では両県で統合されて 初めて選挙区が成立するが、東京では区だけで何人もの国会議員が 存在するという格差があろうとも。

しかし東京リスクは起きてはならないことである。東京は地方の資 本、ビジネス機会をすべて投入して今の姿があるわけだ。地方から 聞くと「都民ファースト」と言う言葉は、グローバルスタンダード ではなくトランプのアメリカンファーストと同じ響きがする。

以上

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