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主宰:川津商事株式会社
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圧巻のGSIX

〈2017年 5月 1日〉

今回は、東京銀座にオープンした旧松坂屋銀座店跡のGSIX銀座シ ックスを報告します。名古屋ではJRゲートタワーがオープンしま したが全く対照的な意味で圧巻である。

未練がましいかもしれませんが、この名古屋資本であった旧松坂屋 銀座店の経緯を明記しておく。リテールの中心であった百貨店ビジ ネスが新興スーパービジネスなどに押され、衰退し大手百貨店が統 廃合を繰り返していた時に、名古屋資本の松坂屋も当然その渦中に あった。

しかし、その渦中とはいえ地方の名古屋資本であり市場の関心は小 さいはずであった。しかしこの東京銀座で最も老舗で格式がある店 舗が市場の脅威のやり玉に挙がってしまった。まるで銀座通りのお 荷物かのような扱いで関心を集めていた。

松坂屋は当時東京丸の内などに登場した高層ビルによる再開発を目 指したが、今度は銀座が街並みを壊すとして横やりを入れてきた。 銀座は、銀ブラに象徴される路面店の回遊性を主力としていた商店 街であり。地下も含めて高層の立体回遊性を拒否したわけだ。

結果的に銀座の再開発が進まないことやり玉に、松坂屋の業績低迷 経営姿勢を市場は激しく批判し、まさに市場アナリストの暴力にさ らされたわけだ。その後松坂屋は大丸との統合を選び、その後名古 屋で蓄積された資本は名古屋に還元されることなく、東京大阪の店 舗に流用されていく。

そんな経緯があり、その後の跡地利用に関心があった。未練がまし いというのは、名古屋が蓄積してきた資本が名古屋に還元されるこ となく他に流用されることだ。

現在、名古屋のJRゲートタワーに象徴されるようにセレクトショ ップの引き出し型の商業施設が主流の中で、銀座シックスはすべて 高級ブランドで占めた圧巻の商業施設である。

ブランドは、そもそもその強力なアイデンティティを持っており、 その表現力が明確である。ブランドを知らない筆者でも、よりパワ ーアップした各ブランドのオーラに圧倒されてしまう。百貨店の復 権・セレクトショップが店舗の主流となる中で、ある意味行き場を 失ったブランドブティックの逆襲である。

ブランド店は、その基幹店を銀座などの日本のトップ市場に置こと 自体がステータスとなる。かといっても銀座の一等地に独立店舗を 構えるのは大変である。その言った意味でブランド側のニーズをう まく取り入れ供給者側のニーズとも合致するビジネスモデルである と言えよう。

極端なことを言えば、仮にお客が入らずこのブティックで独立採算 が合わなくても、銀座に看板を置く宣伝代と考えれば元は取れるわ けだ。三方よしと言う言葉があるが、供給者、消費者、事業者のニ ーズがもし一致するのであれば、これは成功するパターンだろう。

名古屋のJRゲートタワーが、それまで名古屋でトップの栄のラシ ックを陳腐化させてしまうように、GSIXも周辺の松屋、銀座三越を 陳皮化させてしまう勢いを感じる。回遊性概念が急テンポで進化し ており、ハードがすぐに陳腐化してしまう状況が起きてしまってい る。

高級ブランドは、回遊性の中でも初期目的達成満足に位置する。そ れは目的もなくふらっと立ち寄ってサプライズで購入するには高す ぎるからである。ブランドには事前情報などの認知があり、初めか ら買うつもりの目的がある回遊行動である。

しかし今回のGSIXの施設つくりは、回遊性を深化させた工夫を感 じる。施設内通路が直線でなく入り組んでおりかつ行き止まりがな い。これはショッピングモールの回遊性重視の発想である。先にあ る店舗のディスプレイが見え隠れして、何かサプライズを感じる。

そして基準階にスタバプラス蔦屋書店の待機空間が設けられている。 極端な言い方をすれば香港の高層ショッピングモールに似ている。 アジア型ビジネスモデルと言えばそうかもしれない。客層はもちろ んアジア系の外国人も多くいる。日本人では少々厚手のコートを着 た方つまり遠方からの来訪者が多い。

最近よく言われる、フランス人はヴィトンなんか誰も買わない、外 国人だけだという話。実はフランス人は貧乏になってヴィトンのよ うな高いものは誰も買えないのが実態という。日本の所得推移から も同じ状況が生まれるかもしれない。

グランドオープン後の視察であったが、集客は十分にあった。東京 は一部でバブル化してその過熱が市場を硬直化させてしまっている と考える。しかしバブルでないと、陳腐化してしまった既存の均衡 と言う殻を打ち破れないものがある。今回もバブルの中で進化した 商業施設である。銀座6丁目の復権の旗頭になるのかもしれない?

以上

GSIX松坂屋銀座店銀座ブランドブティック