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主宰:川津商事株式会社
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祝JRゲートタワー 回遊性の進化

〈2017年 4月 15日〉

17日のグランドオープンを前に、名古屋駅前のJRゲートタワーの 内覧会が開催されました。業界でも注目されているだけあって、非 常に華やかな内覧会でありました。アパレルの業界人が多く、彼ら はおよそ名古屋人とは違うおしゃれないでたちでファッション雑誌 のシーンそのままのスタッフが多く、華やかは雰囲気で内覧会が開 催されました。

商業店舗の形態は、いわゆる地方都市の百貨店ではなく、最近の東 京で開発される大都心部の核となる商業施設タイプだ。婦人服フロ ワーと言っても、定番のブランドのステレオタイプの品ぞろえ・店 のつくりではなく、同じフロワーに様々な雑貨、アロマ系のショッ プがあり全体がセレクトフロワーである。もちろんいずれも有名な ショップばかりであるが。

名古屋で言えば、栄のラシックがこの形態のさきがけではあるが、 今回のJRゲートタワーを見ると、ラシックもやはり古さを感じる。 なんといっても回遊性の在り方に、様々な工夫がみられる。極端な 言い方をすれば何かを買いに来る前に、回遊しに来て下さいよと言 われているようだ。

少し説明しよう。回遊性は、何らかの目的を直接果たす初期目的達 成満足と、その目的を達成した後もしくは達成しえなかったときに、 それを超越する満足とによって構成される。後者の付加価値満足は、 予期しないサプライズによって喚起されることが多い。今回のショ ップには、舶来のブランドショップのように、定番のブランド商品 が最前列に陳列されているわけではない。

つまり消費者の何らかの目的を達成させることが主な目的ではなく、 目的を達成した後もしくは目的以外で回遊している中で、商品に魅 力を感じる感性が必要となる。可愛いいと感じた出会いにすぐ手に 取って、欲しくなる感性である。

名古屋人にありがちな、目的もないのにデパートをうろうろするこ とを暇人であり、恥ずかしいと考えている人にはなかなか理解でき ないかもしれない。実際名古屋の百貨店で、目的もなく回遊すると 店員さんの方からじろじろ見られている感じで、回遊しにくい。

フロアー内も回遊空間も進化している。例えばラシックはフロワー をくりぬいた空中空間が邪魔して、人が回遊する場所は移動のメイ ン通路である。通路は目的があって行き来する空間であって、回遊 する空間とは少し違う。今回のJRゲートでは、通路と言う感覚を感 じさせない工夫がある。回遊性の深化と言えよう。

回遊性はまだまだ建築側の空間デザインの概念である。建築サイド はなかなか商業者側の意向を反映できないし、また商業者側も責任 をもって建築サイドに注文を付けられるところまではいっていない。

今回どのような両者のソリューションがあったかは分からないが、 ネットと言うバーチャル空間での回遊性が非常に大きな力を持ち始 めている中で、リアル施設もわがままばかり言ってられない状況に あるわけだ。進化せざるを得ない。

目的をもって定番のブランド商品を従来の高島屋に買いに来てその 後、さらなる超過満足を求めてJRゲートタワーにやってくる。もし くは明確な目的はないか、何かのサプライズを求めてやってくる消 費者には、なかなか面白い施設となりそうだ。

名古屋の消費者の多くは、きわめて信頼性の高い定番のブランド商 品を、ネットとかリアルショップで何回も確認して、しかも一番で はなく、誰かが持ち始めてかつ、みんなが持ってしまうより前に、 初めて買おうとする。しかもポイントなど特典を探して買うタイプ だ。名古屋の消費者が新しい回遊性ビジネスモデルにどのように反 応するか、興味がある。

17日のグランドオープンはさぞかし賑わうことになろう。内覧会で 混雑のないところと言うか、およそ買う場ではなかったかもしれな いが、筆者は役得でついつい服を買ってしまった。ありがとうござ いました。

以上

JRゲートタワー名鉄レゴランドKITTE/em>、 名古屋駅前