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主宰:川津商事株式会社
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インフレへの道

〈2017年 3月 15日〉

3月15日確定申告ご苦労様です。海外の気になる話は、アフリカで ツマジロクサヨトウと言う穀物を食い荒らす害虫が大量に発生して、 大惨事になる危険が出ているそうです。以上とってつけた前置きで す。

さて、何をやっても物価が上がらない世界がある。幸せな世界であ る。世界中で人が消費する物の量より、圧倒的に作られる量の方が 多いわけだ。もちろん資源配分の格差問題はあるが、おおむね物に あふれ豊かな世界中がその恩恵を享受している。しかし経済学者は それではダメだ、何とか物価を上げなくてはならないと考えている。

物価が上がったとする、低所得者は物が高くて何も買えなくなる。 そんな世界になぜ行かなくてはならないのか?それは極端な話で、 「適切」な物価水中にすることが、適切な経済成長を実現する。そ のために今の物価水準を上げる必要があると学者は言い続けている。

ただ市場の末端の者にとって何が「適切」かは、わからない。むし ろ20年も続いたデフレこそ安定した経済システムにしか思えない。 統計上の適切に何の意味があるのか?と言うことになる

日本のバブルが破たんした1990年代以降、低金利政策を行い続け 景気浮上、デフレストップを目指してきた。しかし効果がなく当時 ヘリコプターでお金をばらまけというノーベル経済学賞の話が登場 し、その後のリフレ政策に舵がとられていく。

そしてアベノミクスで異次元の金融緩和を行った。さらにはマイナ ス金利まで行った。しかし量的金融緩和には限界があり、2%インフ レ目標の達成はできなかった。異次元の金融緩和を唱えたリフレ派 が間違ったとは思はない。2013年以降景気は非常に安定してリスク オンの市場になっていた。

しかし膨らんだ借金の責めをだれかが負わなくてはならない。普通 であればリフレ派に責任が押し付けられることになろう。

さてそこでまたまた新手のインフレ理論が論壇を賑わかせている。 これがシムズ理論である。やはりノーベル経済学賞(2011)である クリストファー・シムズ教授の物価水準の財政理論(FTPL)である。 今どの経済紙、経済雑誌を見てもこのシムズ理論が一面を飾ってい る。リフレ派に代りシムズ派が現在増殖中である。

この理論は非常にわかりやすい。インフレは物の貨幣評価価値がど んどん上がっていってしまう世界だ。デフレは反対に貨幣評価価値 がどんどん下がってしまう世界だ。問題は貨幣の価値の変動であり 物の価値が変動するわけではない。

国が借金をして物を買い続ければ、借金が増えその国の貨幣価値が 減り、結果的に物のその国の貨幣価値評価があがる。つまりインフ レである。ここで重要なことは「借金が増える」ことである。しか し借金を必ず返済しますと宣言すると、日本のようにその国の返済 力に信用があればその国の貨幣は弱くならない。

そこで借金を返済するつもりはないですよと宣言してしまうと、そ んな国の貨幣は信用できなくなり価値がなくなり、結果その国の貨 幣によるものの評価は上がってしまう。つまりインフレになる。イ ンフレ目標になり代わり財政規律放棄目標宣言である。

なんだ、そんな簡単なことなら、いま日本が抱える膨大な借金を減 らす努力を一切しませんと言うだけでいいわけだ。具体的には消費 税を上げることをしない宣言をすることだ。まさにインフレへの道 をまっしぐらに進もうとしているというか、非常に都合がいい理論 である。

皆さんは、このシムズ理論をただ新手の理論としてみるだけでなく、 どのような立場の人たちがこの理論を利用しようとしているかを見 定める必要がある。

筆者の自虐的な反省も含めていえることは、当ニュースレターも含 めて、過去に何度インフレが来るぞと言い続けたことか?明らかに 「オオカミが来るぞ」になってしまっている。「オオカミが来るぞ」 の話の落ちは本当にオオカミが来て大事になってしまうことだ。

皆さんの生活の現場では、すでに物価が上がっていると肌で感じま せんか?しかし統計ではデフレになり続けています。おかしいです ね。オオカミはすでに絶滅してしまったという人もいます。さてオ オカミは今どこにいるのでしょうか?

以上

金融緩和インフレデフレリフレシムズ理論FTPL