ニュースレター

主宰:川津商事株式会社
名古屋の不動産何でも相談室がお送りする、不動産・ビジネスに関するニュースレター「名古屋ビジネス情報」へのご登録ありがとうございます。
不動産にとどまらず、名古屋のビジネス情報、街づくり話題、不動産経済に関するニュース、物件情報など時代の変遷とともに広くお伝えしています。

最近のワイングラスの話題

〈2017年 3月 10日〉

弊社の海外事業部テーブル&リビングクラブでは、ワイングラスを http://www.kawatu.co.jp/t-club/ はじめ様々なテーブル&リビング用品を取り揃えております。その 中で、最近気になる話題を取り上げてみます。

まず定番の問い合わせ、海外クリスタル製品の品質。日本の消費者 ではガラス製品はクリスタルであることが至上命題である。クリス タル以外の製品はB級商品であるという人までいる。そこまで来る とB旧商品とはいったい何ぞや?となる。

クリスタルガラスは約24%の鉛が入ったガラスであり、柔らかく加 工しやすくかつ美しい。ハンドメイドのふきグラスは鉛成分の高い クリスタルが使われる。かつてイギリスの産業革命時代のマンチェ スターの石炭工場などの窓ガラスに30%以上の含有量のあるクリ スタルガラスが見つかっている。加工しやすい。

これに対し化成ソーダを原料にするカリガラスは鉛分含有量が少な く軽く堅いガラス製品である。イメージ的に軽く音が響かないため 安いイメーズがある。しかし伝統的なボヘミアガラスなどがあり、 高級なグラスも多数ある。現在のモーゼルブランドがそれである。

本来、クリスタリガラスに含まれる鉛は公害の原因となり、人体に も有害な商品である。クリスタル製品の輸入にはすべて厚生省の食 品検査がなされる。溶液をグラスに入れて鉛が一定以上解けないか の厳しい検査である。人の体に溶けた鉛が蓄積すると有害になるか らである。それくらい鉛は毒なのである。

こう言った有害な鉛分を少なくし、かつクリスタルのように美しい グラスを追求したのがローゼンタールのスタジオラインであり、前 出のモーゼルである。スタジオラインは軽く、かつ表面がなめらか であり、輝きもあり、とにかく手に持っていて重たくなく大変すば らしいバランスである。日本人と同じ変態ドイツ人の作品である。

いくらクリスタルが美しいと言えども、最近町おこしで見かける、 にわかお土産クリスタル工房のいびつな、分厚い重たいスキルの感 じないグラスよりよっぽど品がある。

クリスタルのワイングラスに新しい潮流を生んだのが1990年末か ら、世界中のテーブルを席巻しはじめたリーデルのワイングラスで ある。ワインの品種ごとに大きなボールの形状を変えたグラスが人 気を博した。これらのグラスの形状によるワインの楽しみ方ではな く、それまでの大きさがスタートからメインまでにおワインの区別 となっていたワイングラスの文化を変えてしまった。

リーデルがバカラ、ローゼンタール、モーゼルなどの従来のプレス テージなブランドの一角に入って来たのも事実である。大きなワイ ングラスで、グラスにつぎ込んでからワインをスワリングして好み に開いてアロマやブーケを楽しむスタイルが広がった。

しかし明確に言えることは、ワインはテーブルの主役ではない。料 理、ワイン、デザートこれらの器、会話そして会食と同じように、 テーブル上のおしゃれな空間の魅力を高める一つのツールでしかな く、スタンドプレーは慎むべきである。

ワインのアロマを引き立たせるためといえども、テーブルの中で場 所を取り、目線を遮るほど大きなグラスはテーブル上ではあり得な い。リーデルのソムリエは約1L入る。つまりビールの大型ジョッキ と同じである、それがステムの上に乗りテーブルに鎮座する姿は、 プロの料理人に言わせるとあり得ないグラスである。

しかし最近の傾向として、ワイングラスが一般的に大きくなってい る。それもリーデル効果である。しかしこれも大きければワインが おいしいかといえば、確かにそうであるが、それはワインに対して 失礼な話である。

かつて昔品質の悪いブランデーを手で温めて、手の中でゆっくりく ゆらせて香りを高めて飲むのと同じである。今の高級ブランデーは そんなことをしなくても十分芳醇な香りがする。もし高級レストラ ンでブランデーを頼んでいつまでも飲まず、手のひらで包んだグラ スを回し続けたら、品質上何か問題ありましたかと聞かれてしまっ てもおかしくはない。

クリスタル製品は本来ハンドメイドの吹きガラスである。したがっ て品質にむらがある。しかし日本の消費者は少しでもロゴがずれて いたり気泡が入っていると御社の商品は“B級商品”ではないかと 返品してくる。東欧で作られるバカラなどは品質が非常に悪い。そ れがバカラの手作りの良さであると言われている。

改めで聞く日本の消費者が言う“B級商品”は一体何?それはガラ パゴス変態日本人の潔癖症でしかない。

最近ワイングラスに関してもう一つ気になる論争がある。ワイング ラスの持ち方である。ボールの部分を持つか、ステムを持つか、ど ちらが正式かと言う論争である。しかもステムは間違いでボール部 分を持つのが昔からの正式であると、専門家が言い切る議論だ。

確かに昔は、正式行事に関係なくグラスのボール部分を持っていた。 ワイングラスが小さかったからである。もちろんシャンパンのクー ペグラスをステムでもつとかっこ悪い。

しかし最近のようにテーブル上の序列もわきまえず、どや顔で大き くなってしまったワイングラスのグラスボール部分をつかむことは、 男性のごつい手をテーブルで相手に突き出すことになり、ワイング ラスをわしづかみする姿は品格上ありえない。白魚のような女性の 手ではなおさらありえない。

どんな正式な晩さん会を見ても、ミシュランの星を持つレストラン でも、みな大きなワイングラスは自然とステムに手が言っている。 ワイングラスが大きくなってしまった以上、自然とステムを持ちに 行くことは決して悪いことではなく、むしろバランスから言っても 自然の流れである。

ミシュランの星もちレストランでも見かけるが、高いワインを頼む と大きなワイングラスに入れ替える光景が見かけられる。大きなワ イングラスで飲めば贅沢気分は味わえられる。しかし若いワインに はいっぱいの空気を、年老いたワインにはちょっとの空気を吸わせ てやれというのがワインの飲み方の基本である。

テーブル上で大きなワイングラスを回し続けて、大きなワイングラ スの開口部に顔を突っ込んでアロマをかぎまくる姿は、宴を楽しむ うえで本当に品があることなのだろうか?

大きなグラスでワインの値踏みをするより、ソムリエのデカンター ジュの腕で値段を評価したほうがいいのではないか?最近ソムリエ のデカンタージュすがた見かけないね!昔はソムリエさんがデカン タを握ってかき混ぜて思いっきりワインを開いている姿をよく見か けたんだけど。

逆に、昔ながらのテーブルの調和序列を考えた大きくないワイング ラスであるならば、ステムを窮屈に持つことは格好のいいことでは ない。テーブルの上は料理、ワイン、デザートとそれらの器である カトラリー、ワイングラス、そして本日の会話、仲間の調和で極上 のおしゃれな空間が演出される。これがテーブル&リビングクラブ の基本である。

追記 コラム グラスの話も話題満載。
http://www.kawatu.co.jp/t-club/column/glassstory.html

以上

ワイングラスリーデルバカラデカンタ