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主宰:川津商事株式会社
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グローバリゼーションVSサブカルチャー2

昨年以来、表記のテーマを何度も取り上げている。何もトランプブ ームに便乗したいわけではない。この二つは将来の世界のヘゲモニ ーとなる重要な概念になり、特に都市経済の構造にきわめて重要な 影響をもたらすと考えているからだ。今回は改めて暴走気味の議論 を紹介したい。

まず、グローバリゼーションVSサブカルチャーを言う2項対立の 議論をする場合、私どものポジショニングを明確にしておく必要が ある。私どもは、問題は非常に多いがグローバリズムの流れは避け られないと考えている。ただし今のナショナリズムの反抗は理にか なっており当然の成り行きである。

グローバリズムは、貿易経済理論の比較優位論がその理論的根拠に なっている。互いの国の産業を比較して優位ある産業にそれぞれの 国が特化し、効率の悪い国の産業を淘汰することにより世界全体の 資源配分が最適なり、全体の厚生経済が実現するという考えだ。

一方、ナショナリズムは、効率が悪くても弱小の効率の悪い産業を 保護し、育成することによりやがてグローバル経済を効率よくする 有益な産業を育成する。そのために自国保護、他国からの人物金の 流入の排斥が求められる。

比較優位を実現するための自由競争、フリー貿易を前提とするグロ ーバリズムは、効率の悪い産業の保護の排除を要求していく。比較 という競争を通じて、敗者として効率の悪い産業を淘汰していく。

グローバリズムの主張は、資源配分の最適化がなされず、効率の悪 い産業を保護するコストが世界経済全体を効率悪くするというもの である。しかしグローバリズムは多くの敗者とほんのちょっとの勝 者を生み続け、多くの敗者を保護するためのコストをどうするかと 言うことに説明責任を果たしてはいない。

敗者の増加は格差を冗長させ、民主主義を分断し、民主主義の根底 を覆すほどにまでなっている。これらを是正するための再配分コス トは、例えば東京と言う勝者に多くの地方と言う敗者が群がる構図 と同じだ。

現実に東京が地方すべての面倒を見る余裕はなく、東京自体がコン パクトシティーを標榜し、地方を切り捨てにかかっているという批 判がある。グローバリゼーションが生み続けた敗者に対する説明が できていない。

今トランプのアメリカ入国禁止政策に反対を示している急先鋒が、 国ではなく、Amazon、アップルなど多国籍企業である。トランプ率 いるアメリカと言う国とグローバル企業と言う対立構図だ。まさに グローバリズムの正体があぶりだされたことになる。

さて問題は、どちらが勝つと何がどうなるか?という将来のシナリ オである。まずトランプ率いる国家権力が勝つと、当然グローバル 企業は立場をなくし国と言う統治の軍門に下る。しかしこれは時代 の流れに逆行するようなイメージがある。

ではグローバリズムが勝とどうなるか?国という統治の権威が衰退 する。これに代って多国籍企業が力を持つ。多国籍企業の消費市場 であり生産活動を支える器となる都市が力を持ち始める。現在の東 京が、日本中の有識者学者が東京の一極集中は行き過ぎと言い続け ても、無視して集中が加速する姿である。東京一極集中のエネルギ ーはグローバリゼーションによるものであり、まるで国家権力のガ バナンスを超越しているかのようである。

更に、国連(ハビット)の報告では大都市が大都市を吸収してメガ リージョン化するエンドレスシティーが登場し、この巨大都市圏が 今後50年の世界の人たちの生活を支えるとしている。世界中に都 市に人が集中し始めており、世界中の人の半分以上を都市と言うビ ジネスモデルで支えるようになることを示唆している。

報告は都市への集中化(エンドレス化)を否定しておらず、むしろ 都市の開発の在り方が、世界の人たちの在り方を左右するとしてい る。ビックシティーを吸収してメガリージョンを形成する。

そして国連の報告書が指摘する現在すでにあるメガリージョンは、 中国の香港−深?−広州の1憶1千万人が集中するメガリージョン。 そしてその次に東京-名古屋−京都-大阪-神戸に至る6千万人のメ ガリージョン。その次がサンパウロ-リオデジャネイロの4千万人 としている。 参考文献:UN World Urbanization Prospects 2014他

今「都市間競争に勝つ必要がある。」これが都市戦略のうたい文句で ある。その具体例が大名古屋、中京都市戦略などである。これは明 らかに古い考えである。グローバリゼーションが進 むと都市間競争ではなく、メガリージョン競争になる。狭義の東京 だけで競争ことはすでに時代遅れになる。東京から関西に至る太平 洋沿岸メガロポリスを構築して競争することを念頭に置く必要があ る。これが、グローバリゼーションが要求している潮流である。

メガリージョン間競争になると、メガリージョン内の効率化、生産 性を上げる必要がある。そのために必要となるインフラが新幹線、 リニアなどの新交通システムである。当然リニアだけで満足してい てはついていけない。もっとと効率の良い域内のトータル物流シス テムが要求される。それを制したものがグローバリゼーションの勝 者になる。それ以外はすべて敗者である。

ただしそのためには、グローバリゼーションが生み出す様々な問題 を癒す仕組み、弱者・敗者を擁護する都市構造を持つことも要求さ れる。

中部圏が持つ産業インフラ、生活インフラはこのメガリージョンに 様々な有効な選択肢を与えるはずだ。メガリージョンの中でどのよ うに貢献し存在感をアッピールできるかである。戦略的な立ち回りができれば メガリージョンに対する貢献も大きくなる。

さて、グローバリゼーションVSサブカルチャーの戦いはどちらに 向かうのだろうか?

以上

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