ニュースレター

主宰:川津商事株式会社
名古屋の不動産何でも相談室がお送りする、不動産・ビジネスに関するニュースレター「名古屋ビジネス情報」へのご登録ありがとうございます。
不動産にとどまらず、名古屋のビジネス情報、街づくり話題、不動産経済に関するニュース、物件情報など時代の変遷とともに広くお伝えしています。

地方銀行の収益構造

失われた10年、20年とも言われたしつこいデフレと日銀の戦いは ある意味壮絶なものであった。まず前福井総裁時代、低金利をやり 続けたが、低金利による効果には時間がかかりすぎ、効果がなかな か期待できなかった。

そしてアベノミクスになり、黒田総裁の異次元の金融緩和がなされ た。しかし金融緩和をやり続ける事には限界がある。金融緩和は財 政出動との組み合わせで初めて効果が出る。しかし約束されていた 財政出動がなく、代わりに消費税増税がなされ、結果的にはしごを 外された形になった。

はしごを外され、異次元の金融緩和政策が限界に達した今、徹底し たデフレ退治には至っていない。結局トランプの強いドルと高い関 税障壁による、日本の壊滅的な物価高によるインフレリスクに頼ら なくてはならないのかもしれない。ハードランディングである。

とかくトランプに関しては、こうなるだろう、あーなるだろうとい う不確実性しかなく何とも言えない。しかし、月並みな比較ではあ るが、レーガンの時も戦略防衛構想スターウォーズを打ち上げたり して、どちらかと言うと王道ではなく覇道により強いアメリカを演 出した。

一時的には、国内優遇税制などで強いドルを誘導し景気よくバブル 化に近い成功をおさめたが、任期晩年にはその反動に苦しみ、その 処理は、次のブッシュパパ、クリントンの第一期まで景気が良かっ た期間以上に停滞した調整機関を要した。なんでも急な浮上は、そ のあとに急な沈下が必ずある。トランプ旋風が市場をかく乱しても その寿命は4−5年か?

さて以上前置きを終えて、このような日銀の壮絶な戦のなかで、現 在地方銀行の収益構造が今どのようになっているか議論したい。

結論から言えば、現在の地方銀行の収益の大きな柱は、まず第一に 既存の企業などに対する従来の金融仲介、つまり企業への貸し出し である。しかし地方の中小の企業が大きな設備投資をすることはな く、また低金利で預金との利ザヤもなく最も信頼性のない柱となっ ている。

第二の収益源が各種手数料収入である。最近銀行と取引を行うと必 ず何らかの手数料が要求される。当初は印紙代などの軽いものに限 られていたが、最近はすべての融資に様々な手数料名目のコストが 要求される。もちろんどうして手数料が膨らみ始めたか説明もでき ない。単なる収益補てんであるから。

地銀にしてみれば、マイナス金利で融資が逆ザヤになる中で、収益 を確保するためには手数料をいただくしかないわけだ。しかし金利 を安くして貸し出しを増やしたいのが政府、日銀の目的である。ど んな名目であれ、借り入れコストが高くなるのであれば本末転倒で ある。

しかし銀行経営を考えると、日銀もそうそう文句も言えない。そう いったジレンマの中で、金融政策がなされ同時に地銀が苦しい収益 源を確保しているわけだ。

そして最後の収益柱が、地方の金持ちに相続対策を名目に大都市都 心のアパート・賃貸マンションを買わせ、それに対する融資を最近 盛んに行っている。地方では事業投資は成り立たない。かといって 地方でマンション投資も人口減少の中でありえない。

そこで集中が加速する大都市部のマンション投資を勧め、その資金 を融資している。いわゆるアパートローンである。これには大手プ レハブメーカーなども一斉にアパート建設に、収益のかじを切り始 め、市場全体がこのビジネスに特化し始めたわけだ。

しかしその反動は、ご存知のようにすでに出始めている。都心部の マンションの供給過剰である。都心の市場は2005年ごろの小泉政 権の平成いざなぎ景気時には、ファンドバブルにより大量のアパー トマンション供給に市場が病んだ。

今回は地方銀行からのマンション資金融資による過剰供給に市場が 病むことになる。

以上

地方銀行日銀金融緩和財政出動マンション投資アパートローン