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主宰:川津商事株式会社
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大型スーパーの百貨店化ビジネスモデル

〈2016年 11月 1日〉

前々回のニュースレターで、イオンなどのスーパーと百貨店との違 いを議論した。反響がありましたので追記します。最近は反響をい ただくとすぐに調子に乗ってしまう傾向があります。反響をいただ いた各位どうか悪しからず。

スーパーの本質は仕入れチャネルを独自に持つ流通業であり、百貨 店のビジネスモデルの本質は独自の流通チャネルを持たず、テナン トに場所を貸す不動産業である。というのが前回の結論でした。

そしてその中で、スーパーが百貨店化しているというのが今のトレ ンドであったわけです。イオンを見れば日本全国で展開しているイ オンは、その大きな部分がイオンモールであり、いわゆるデベロッ パー事業に傾斜しているわけです。

イオンは中国においても大きく展開しているが、そのビジネスモデ ルもイオンモールであり一部しか独自のスーパーは展開していない。 日本国内でもマックスバリュー等、国内統一ブランド戦略で流通業 を推進しようとしたがうまくいかず、今では現地毎、現地の商品開 発つまり現地の流通シャネルの構築をむしろ進めているわけだ。

このようにイオンなどの本来流通スーパーを核としていた大型ショ ッピングセンター(CS)が、独自の流通規模を限定しモールなど百 貨店化してきている。しかしこの企業トレンドには非常に大きな落 とし穴を感じる。

上記のように百貨店のビジネスモデルの本質は不動産業である。テ ナント貸の収益ビジネスはいわゆる賃料ビジネスである。百貨店は 都心部の地価の高いところに位置して、高い賃料を前提にこのよう なビジネスモデルを築き上げているわけだ。

もっと言えば百貨店は、資産の成長、つまりエクイティ価値でビジ ネスを展開するビジネスモデルである。これは都心であって初めて 通用するビジネスモデルである。

ところが百貨店化がまだまだ後発のイオンなどスーパーは、大店舗 法など様々な規制で都心部ではなく周辺郊外型の立地である。当然 賃料は都心部と比べると低くなる。と言うことは百貨店と同じ賃料 ビジネス化しながら、百貨店と比べると利益の薄いビジネスモデル ということになるわけだ。

これは将来取り返しのつかない過小利益構造の問題となりかねない 懸念がある。かつてスーパーダイエーが隆盛を誇った時も、他社に はないリベート商法など独特のビジネスモデルがあった。しかしそ の後それがかえって商品開発力をなくしダイエーを破たんさせたと いわれている。

大きくなればなるほど、そのビジネスモデルは企業の趨勢を左右さ せる。スーパー等の流通業が日本経済に占めるポジションは非常に 大きくなってきている。ダイエーは破たんこそしたが、流通ビジネ スの革新をもたらし市場を大きく成長させた功労者である。イオン 等大手流通デベロッパーもまたしかりである。安易な百貨店化に進 まず流通の革新を起こしてほしいものだ。

以上

百貨店流通業イオンエクイティ都心