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主宰:川津商事株式会社
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名古屋駅が面白くない−都市のサブカルチャー

〈2016年 7月 1日〉

BREXIT国民投票前までは、イギリス以外にフランス、スペイン、イ タリアなどでEUに対しておもしろく思っていない人々が増加して いるという報道があったが、BREXITの結果がでたあと一切表に出て こなくなってしまった。イギリス早く出ていけコールが一斉にプロ パガンダされている。しかしこれは様々な深謀策略の第一幕に過ぎ ない。

注目すべきは、ロンドンという経済都市の利害関係者(ステークホ ルダー)がどう動くかである。離脱する、しない、放置する、時間 をかけて駆け引きをするにしても自分の価値が上がるもしくは下が らないという方向に働きかけるはずだ。例えばロンドン市場に土地、 株、利権などの資産を持っている海外を含めたすべて人はその価値 が下がらない戦略を考えるはずだ。ロンドンの土地は世界でも最も 高く、その所有者は世界でも屈指の百戦錬磨の投資家たちだ。

ロンドンの現物を売って将来のEUを買うか?離脱を阻止して価値 の劣化を避けるか?離脱の他国を誘い有利な駆け引きを行い価値を さらに上げるか?どっちに転んでも損をしないことを考えるのがロ ンドンの投資家たちである。EUサイドも同じだろう。EU分裂による 自分の資産の劣化を避けたいだろう。どちらに付いて勝ち組になる か?この駆け引きはしばらく時間を要する。

ドイツのメルケル首相の任期が2017年までである。すでにドイツで は後継者探しが始まっていた。そこへ今回のBREXITである。メルケ ルがいる限りEU内の緊縮結束、other-exitへの締め付けは変わら ないだろう。メルケル退任の時期つまり1年後が新たな局面になる のではないだろうか?

ロンドンの価値が一方的に下がると決まったわけではない。EUが負 け組になることもありうる。ロンドン、EUともに下がるかもしれな い。どちらかがあるいは両方価値を上げることも想定できる。日本、 中国もしかり新たなイギリスにアプローチするところが増えるはず だ。今静かにみなそれを見守っている。

にもかかわらず、BREXITによる最悪のシナリオばかりが大騒ぎして、 日本の株価を大暴落させてしまった。このような時にいつも必ず被 害をこうむるのは株を現物で投資している個人投資家だ。日本の証 券業界はもっと国内の個人投資家を大事にすべきではないか?

BREXIT騒ぎの間で関心が薄れている中国リスクのほうがよっぽど怖 そうだ。想定以上に中国のデフレ化がリスクとして顕在化し始めて いる。

サブカルチャーが育たない市場は成長しない。都市あるいは街が特 定のカルチャーだけで占められると煮詰まってしまう。かつて東京 駅前に広がる丸の内ビジネス街である三菱村がそうであった。日本 経済をけん引するビジネスのトップの階層、ホワイトカラーだけが 闊歩するエリアはまったく魅力がなかった。

それを変えるために多様性を目指し、仲通りにブランドショップ街 を登場させたが果たしてどれだけ変わっただろうか?観光客、様々 なカンファレンスに来る多様性が生まれた程度である。一方渋谷の 街のエネルギッシュとは何が違うのだろうか?渋谷の街の原動力は 都市のサブカルチャーが集積しているところにある。

日本でサブカルチャーを定義すると漫画、ゲーム、雑誌文化となっ てしまう。あらゆる大衆文化を模倣、創造を問わず自由に許容され ているところに日本の漫画の強さがあることは事実だろう。現社会 の根幹あるいは支配層であるエスターブリッシュメントと呼ばれる 階層を上位とすると、その下位つまりサブに位置する社会セクター の自由化活動の結果がサブカルである。エスタブリシュメントはサ ブカルの成果の延長線上に形成されるもである。

例えば漫画で考えると、当代を代表する漫画がワンピースである。 しかしこのワンピースには、往年大スターである高倉健、勝新太郎、 松田優作に酷似したキャラクターが頻繁に登場する。著作権を厳密 に規定する芸術の世界では、いかがなものかというものになる。そ れを真似ではなく、あらゆる大衆社会を象徴する要素を自由に取り 入れワンピースという新たな文化を作り上げる。これらのサブカル チャーが成立して、その延長線上に上位の普遍的な芸術文化が形成 される。

上位の出来上がったカルチャーだけでは、現在の東京駅前の丸の内 と同じで、見てくれは非常にきれいだか、自由な成長性は感じず、 現状の市場のショールーム化してしまうだけだ。あえてそこで買う 必要もない。(ただし東京丸の内ではショップ側もショールーム化を 避けてセクトショップにするなどの努力をしている。)

いま変貌を遂げようとしている名古屋駅前もまさにそうだ、出来上 がった、外で名声を確立したカルチャーばかりを取り入れた商業施 設ばかりが登場している。かつての毎日ビル、トヨタビル、大名古 屋ビルの地下には迷路のような地下街で、知っていなければなか入 れない赤ちょうちんレベルの飲食店があり常連がいつも世間を愚痴 っていた。

個別の商業ビル、地下街、百貨店など商業施設の評価は避けるが、 どれもがリテール市場の本来の上位とサブの構造を無視した引き出 し型の街様変わりしつつある。皆が皆ブランドショップ高級デパー トで売っているネクタイをし、パンプスを入っているわけではない。 ショールーム化したリテール市場になってしまうと、だれもが郊外 のイオンにいってしまう。

以上

サブカルチャーリテール市場名古屋駅前エリア