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主宰:川津商事株式会社
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国政選挙に問う新しい経済エンジン

〈2016年 6月 15日〉

巷の素人の話題では、車の自動運転になると目的地までドアtoドア で連れて行ってもらえ、人が歩く必要がなくなる。足が退化して皆 車いす常用者になる。だってスマートフォーンができたら人の記憶 量が激減してしまっただろう。とか、高速大量自動運転の移動シス テムができると、宅配便の荷物のように、人が乗ったパッケージ(従 来の車)がベルトコンベーアー(従来の道路)の上をコンピュータ にはじかれ、はじかれて目的地に着くようになるのではないか。そ していずれはドローンに乗る。といったSF空想の世界が勝手に独り 歩きして語られる。

その内容の真実はともかく、少なくとも5年前は景気が悪く、なに かあれば戦争になってしまうのでは?と言ったお先真っ暗で、将来 を語ることなどなかったはずである。将来こうなるとばかりに巷で 我々が勝手に想像できる世の中自体ありえなかったはずである。

21世紀の夢の世界を語ったのは幼少のころでしかない。何が変わっ てきたんであろうか?単なる空想なのか、生活環境革命が本当に起 きるのであろうか?本当に大きく変わるのであればもっと夢が膨ら み、わくわく感がありもっと将来に対する投資が誘発されてもいい はずなのに、何だろうこの人ごとのような無関心は。

もし、近い将来大きく生活環境が変わることに対して、今自分たち が得意としているビジネスモデルが通用しなくなったらどうするん だ?既得の収益基盤が変わってしまったらどうするんだ?という現 状変に対する恐怖心、拒絶があるなら、これこそ高齢化社会の最も 恐るべき根本的な問題である。将来の世代のために新しいものに投 資をせず既得権益だけ守りたいという。以上前置き。

社会構造の格差が広がるメカニズムにはいろんなものが考えられる。 私ども不動産ビジネスに携わるものとして、一番感じるのが第二セ クターの成長が止まることである。当ニュースレターでも何度も紹 介する事例であるが地方の県庁所在地以外の都市の駅前の風景がそ れを如実に示している。

入居率、活況を何とか維持できているのは地域一番の駅ビルだけで ある。それに隣接する次の第二のビルは古くて、メンテナンスもさ れておらず、入居率が低く建て直す余力もなく、みすぼらしい姿を そのままさらけ出している。さらにその先のセクターである商店街 がシャッター商店街になっている。

第二のセクターが成長を止めてしまうとその先のセクターは確実に 衰退する。地域地番のセクターつまり駅ビルだけ再開発で何とか建 て直して金ぴかにしても、末端のシャッター商店街との格差は取り 返しのつかないものとなってしまっている。これが格差拡大のメカ ニズムである。

例えば県庁所在地の都市の次にポジションをとる都市もこのように 成長を止めれば、さらにその先の市町村長は確実に衰退する。日本 の社会構造のトップに君臨する東京都市圏に対し第二のセクターが 近畿、東海、九州の中核都市である。この第二のセクターが成長を 落とすと確実に東京と地方の格差は広がる。

現在の国策である成長戦略は、東京を世界都市として成長させるこ とにある。その一方で地方再生政策で地方の衰退する都市の再生を 行っている。しかし第二のセクターである中核都市圏はある意味該 当する地方自治体、民間任せである。第二セクターの象徴である大 阪の成長が伸びず、その結果格差が拡大し続けている。

効率的だからという理由で東京だけに成長を負担させて、日本経済 をけん引せざるを得ない状況に陥ってしまっているのは、誰でもが 認めるところである。その一方で格差解消のための地方救済が、特 に東京にとっては大きな負担となり弊害となりつつある。にもかか わらず本来成長をしなくてはならない第二のセクターである中核都 市の行政担当者に言わせれば、へんに干渉されるより今まで通り自 由にやらせてほしいという声が聞こえてくる。

前回のグラン・パリ戦略でみたとおり、都市の効率化、広域化は当 事者(地方自治体首長)レベルでは国盗り物語になってしまうだけ だ。中核都市圏の成長戦略のための効率的なシステム作りは国レベ ルの問題として行う必要があろう。巷の空想を引用するまでもなく、 近未来の交通革命は移動距離に革新的な現象をもたらすだろう。い ずれ既存の行政的ボーダーは意味がなくなる。

中核都市の成長戦略は、国のトップでしかできない国のグランドデ ザインである。東京頼みだけでなく第二のセクターの成長が日本経 済をけん引するようになるために、地方中核都市のグレーター化・ 広域化による生産性向上を是非次回の国政選挙の公約レベルに取り 上げてもらいたい。

以上

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