名古屋の不動産 何でも相談室

地価公示が公表されました。いよいよ始まったチキンレース。新聞 報道によると東京ではすでに投資収益が採算ラインまで下がってき た。一方ニセコ、湯布院にまで投資がひろがっている。地価上昇が 全国にまで波及し始めた。

来るべき出口までに、市場の末端の地方がどれだけようやく回って きた投資マネーを獲得し、投資を間に合わせることができるか？こ れからが不動産バブルのチキンレースの始まりだ。このチャンスは 大きい。地方にとってみれば20年以上待ったチャンスであり、今度 いつ来るのかは未定である。地方とは東京以外である。

もし出口の着地を誤ると長期金融恐慌も想定する必要がある。しか しこんなのはバブルでしかないと根性のない有識者ぶりをするか？ 実務家らしく、このチャンスをものにして将来にわたる投資を完結 して見事散るか？大きな差が出るだろう。・・・と市場を茶化すこと はこれくらいにして本題です。

世界有数の歴史、経済規模、アメリカを代表するシンボリックな自 動車産業都市、市社会的ポジションを持ちながら2013年に都市財政 が破綻したデトロイトがその後何をしているか？外紙から引用して 少々ご紹介したい。

もともと偉大なるアメリカの自動車産業の遺伝子を持つ都市であり、 その可能性は高く評価されていた都市である。いわば腐っても鯛は 鯛である。破たん後様々なベンチャー、スタートアップの企業がそ の遺伝子の魅力に誘われて参入し続けていた。

今回マスコミ等で話題になっているのは、オートモービルの偉大な る遺伝子を持つ都市に、ストリートカー（路面電車）を走らせるこ とである。

デトロイトは、ヘンリーフォードがT型フォードを世に出して以来 自動車産業の世界的な拠点として輝いてきた。その後モータウンミ ュージックの拠点となりシュープリームス、ダイアナロスなどの音 楽がオープンの自動車のミュージックボックスから流れるまさにモ ータリゼーションを具現化した都市であった。

つまり都市の機能がすべて自動車目線の都市であり、文化であり、 経済社会であった。この都市そして社会、経済を路面電車で再生し ようという点に世界中が注目しているわけだ。

M-1Railと呼ばれる路面電車で20駅が結ばれ、ノースエンド、 ニューセンター、ミッドタウン、ダウンタウンを結ぶ新しい交流イ ンフラである。ノースエンドは、ダイアナロスをはじめとする輝か しいモータリゼーション全盛期のアーチストが育ったエリアである。

ミッドタウンは、デトロイト社会のアッパーなエリアで高級住宅地 であり、医療センター、大学などがあるミシガン州有数の高度に集 積された経済の拠点である。特に昼間人口が多いエリアである。そ してダウンタウンがかつて破たんの象徴でもあったが、最近全米か らデトロイトの強い遺伝子を求めて、様々なスタートアップのアー チスト、起業家が参入してきているエリアである。まずこれらエリ アを繋げることにある。

もう一つの大きな変革は、歩くことができる街にすることである。 もちろん治安が悪いエリアでは、人は基本的に歩くことができない。 最悪のデトロイト時代は、街にアウトローだけでなく、シロクマ、 コヨーテ、野犬が出没して、とても人が歩ける状態ではなかったと いわれている。車社会であったわけだ。

歩くことができる街とは、ショップが街並び、人が回遊できて、コ ミュニケーションがあり、商売が成り立ち、社会コミュニティーが 成立することを意味している。これまで自動車社会の目線でしか成 り立っていなかった街が歩行者目線に大きく変わる点に、世界が注 目しているわけだ。

路面電車のできたデトロイト都市のパースを見てみると、それは美 しい。なぜなら、もともと自動車社会で道路が広い。そこへ路面電 車を設置しても十分に人のアクセススペース、回遊スペースが設置 できるからである。

新聞紙上でも、デトロイトが、このM-1Railだけで生まれ変わるこ とはできないとしている。そもそもこのインフラが成功するかどう かもわからない？しかし大きく前の踏み出して果敢なチャレンジを している姿はやはりデトロイトらしい。

多くのことが学び取れるはずである。破たん後の在り方。街と社会 の在り方。自動車と街の関係。何はともあれ、目が離せられない魅 力がデトロイトにはある。

次回は新しい都市型路面電車である都市型ライトレール（LRT）の日 本での動向を考えてみます。

デトロイト関連ニュースレター
http://www.kawatu.co.jp/nagoya/kwf/kwf553.html
http://www.kawatu.co.jp/nagoya/kwf/kwf554.html

以上