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スポーツと都市マネージメント

〈2016年 2月 15日〉

いつまでも寒い日が続きますが、とにかく外へ出て体を動かしてみ よう。全国で都市型参加マラソンが開催さるシーズンになりました。 名古屋でも3月に名古屋ウイメンズマラソンが開催される。まじか になると、名古屋の都心でも華やかなアスリート姿の女性のトレー ニング姿が登場し始める。

高齢化社会の特徴は、人々が内向きなり家にひきこもることだ。そ の結果病気になり、医療費が必要になり都市の財政をひっ迫させる。 今後東京、大阪、名古屋などの大都市が今後抱える喫緊の問題であ る。

この高齢化対策として期待されているのがスポーツ参加型まちづく りである。とにかく外に出て体を動かしコミュニケーションを図る ことをスポーツが実現してくれるわけだ。各都市で市民マラソンが 開催されその参加規模も年々大きくなり、今月行われる東京マラソ ンなどは全国から参加希望者が集まり、参加できるのは10倍以上の 抽選による倍率でプラチナ券となってしまっている。名古屋ウィメ ンズは2.5倍となっている。

当然のごとく、各地で開催されるシティーマラソンも評価され、そ の優劣がその都市の優劣になる。需要があればもっといろんな企画 が増えてこよう。観光産業に匹敵するスポーツ産業となる。違うと ころは観光資源がなくとも都市マネジメント次第で成り立つことに ある。

最近ディズニーランドの大人パスを7,000円台に値上げすることが 新聞紙上で話題になっているが、東京マラソンでも名古屋のウィメ ンズマラソンでも参加料は10,000円以上する。これでマニアは全国 のマラソンを転戦しているわけだ。各都市のシティマラソンは市民 のものではなく富裕層の趣味なのかもしれない。しかしこれもこれ は市場をけん引するいい兆候である。市場パフォーマンスとしても どんどん成長しているわけだ。

最近のふるさと納税ブームではないが、もしマラソンの成績で飛び 賞を作り、その地域の名産品を贈呈したらどうなるだろうか?およ そ公的関係者からはにらまれる発想ではあるが、都市間競争という 観点から言えば、当然何か工夫を要求されるよう。名古屋まつりな どと合わせて一大観光ウィークを企画するのもいい。

マラソンだけではない。意外と都心にインドアのテニスコートが増 えている。地域の公園などもスポーツ参加型の施設となる必要があ る。テニス、サッカー、バレー、バスケット、卓球などの練習施設 に対するニーズである。幼児のブランコ、滑り台広場と区別してジ ョギングトラック、テニスの壁打ち、キャッチボールのベース、サ ッカーのゴール、バスケットゴール施設などである。

これから高齢者になる団塊の世代は、高い教育を受け、特に若い時 に何らかのスポーツ競技を会得した人たちである。若い時の経験者 はちょっとしたきっかけですぐに思い出す。高齢化対策には必要不 可欠の生活インフラとなるわけだ。

都心の街路、公園などをスポーツ参加型仕様に急ピッチで変えてい く必要がある。都心の街路はマラソン支援システムを作る必要があ る。日曜日のオフィス街のトイレなどを開放しやするするハード面 の改革もニーズとして出てくる。地下鉄の駅舎内を通勤通学時のマ ラソン用の更衣室支援施設となることも考えられる。東京マラソン ではコース上のコンビニ等が支援体制をとっている。

スポーツ参加型支援街づくりは、都心に人を呼び戻し、中心市街地 ちの活性化にもなる。何ら躊躇する必要のない。社会ニーズだけで なく市場ニーズにも裏付けられた都市マネージメントである。横並 び、あるいは躊躇で、遅れればむしろ都市間競争に敗れてしまうだ ろう。

ところが、これらをやろうとすれば必ず反対行動が出てくる。また それを理由に都市管理者も動かない。公園で球技をすればボールが 飛んできて危ない。そして最も多いのが喧噪苦情である。どうも最 近の公園のあるべき姿は、皆が家に引きこもって誰も利用者がいな く静まり返っているのがあるべき姿らしい。最近では小学校、幼稚 園にも騒音苦情を入れる人たちがいるようだ。社会ニーズに対する 受忍限度のハードルが非常に低くなってしまっている。

都心で開催されるマラソンコース沿線では交通が遮断されて近隣住 民から一斉に苦情が出てくる。この苦情をすべて受けるのが都市管 理者である。その身にもなったらそんな安易な事をは言えないだろ うということになる。そしてそれを理由にすべてがストップしてし まう。

市場原理では、競争の名のもと様々な利益相反が生ずる。またそれ を理由にマネジメントがエスケープされることも多い。リーマンシ ョック以来我々は多くの傲慢な市場原理の無理強いを経験し、その 多くがトラウマとなっている。市場原理は弱者と強者の二項対立に してしまうと、これほど残酷な原理主義はない。それは市場主義で ある

しかし市場原理にも良いところがある。無駄を省き効率良く物事を 進めることである。つまり何かインセンティブを感じると、誰かに 無理強いさせられる事なく、自ら進んでアクションを起こすことに ある。

スポーツ参加型の都市として高い評価を得れば、都市のブランド価 値が上がる。様々なビジネス機会を生み、投資を誘引し、自分たち のメリットにもなる。スポーツ参加型の街づくりに自らも参加する ことによって、地域の評価が上がり、賑わいを取り戻し様々なメリ ットを享受できると感じることが重要である。

都市で開催される市民マラソンが日本中で高い評価を得て、都市が 有名になり、それによる地域が活性化が手に取るようにわかり、そ れがインセンティブとなれば、それに市民挙げて協力することがで きる。参加し努力したことが行政政治の成果だけでなく、自分たち の成果であることが評価されるシステムづくりが求められているわ けだ。

だれか任せの何もしないことがメリットになる都市は、管理者に任 せる高コストがかかるか、管理者がサボタージュすれば価値を生ま なくなり衰退する。たとえ子供が増えても価値を生まない都市から は、転出してしまう。何か価値を生むための努力が評価され、何か することが得となれば価値がどんどん増殖し、都市は成長する。こ れが市場原理に基づく都市マネジメントであるはずである。

スポーツ参加型のまちづくりは、これからの少子高齢化社会の処方 箋でもある。そして都市マネジメントの試金石でもある。



以上

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