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====[2010年3月15日]==
「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
名古屋ビジネス情報
主宰 川津商事株式会社
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テーマ:「栄飛ばし」名古屋経済圏の経済機軸

前号に引き続いて名古屋経済圏の経済機軸について議論したい。経 済機軸とは商圏の骨格に当たるものである。日本経済の経済機軸は 東京大阪間の表日本側である。この経済機軸は常に時代と共にその インフラを更新し質の向上を行って経済機軸を維持してきた。

この経済機軸上を東海道線が走り、やがて高速道路、東海道新幹線 が走り、新幹線もヴァージョンアップを重ね、今新しくリニア中央 新幹線を加えようとしている。現在日本の県民所得のトップを占め る県が、この経済機軸上に位置する県であることは前回も紹介した とおりである。

言うまでもなく、名古屋経済圏もこの経済機軸上にポジションニン グし、経済機軸の発展に貢献をし、その報酬を得て成長してきたわ けだ。つまり経済の骨格ともなる経済機軸が明確になってはじめて その経済のコアが存在する事になるわけだ。

そこで名古屋経済圏の経済機軸を明確にすることが今回の狙いであ る。

名古屋経済圏には名古屋駅から広小路伏見を通り栄に抜け、そして 栄を起点に地下鉄東山線を通じて千種、今池、池下から星が丘名古 屋高速道路インターに抜ける、いわゆる広小路ラインという経済機 軸が存在していた。

しかし東海銀行が姿を消し、オールドエコノミースタイルであった 公共事業を地元に配分するコアとなる広小路伏見ライン(銀行金融 +公共事業+ゼネコン)機能がなくなった。経済機軸がぶれ始めた と同時に栄の商業集積エリアの収益が低迷しその存在感を落として いった。

更に千種から今池にあったオフィス機能が東京に統廃合されその存 在感もなくなっていった。

この間、万博開催時に広小路道路の東出口の拡幅が行われただけで、 この経済機軸上の交通インフラの革新的整備もなされていなかった。 結果的に、現在確かに広小路は腐っても鯛は鯛でありそのブランド 価値は維持しているが、かつての名古屋経済圏を牽引するコアとし ての力は持ちえていないのが現実である。

同時に日本の経済機軸にも変化が生じている。それは東京名古屋大 阪間の大阪の位置づけである。大阪の経済パフォーマンスの凋落振 りは改めて言うまでもない。反対に2005年以降から昨年のトヨタの リコール問題が生じるまでは、成田から東京名古屋豊田そして中部 国際空港が日本の新経済機軸とみなす勢いがあった。

大阪の回復はいずれ起きるとして、このときに名古屋−豊田間の機 軸が存在したわけだ。すくなくとも豊田という基点が明確になった わけだ。この豊田が意味するものは、トヨタ自動車に象徴される輸 送機器関連産業機器クラスターである。

産業クラスターとはハブ企業を中心に中小の製造企業がネットワー クピラミッドを構成し、ハブ企業だけでなく下位の中小企業からの イノベーションがダイナミックに生じるエリアであ。そしてこれら の中小企業の生活圏を提供する豊かな住環境(大消費地)がそこの あることが必要条件となる。

東海地方の輸送関連産業クラスターはトヨタだけではない。岐阜県 東濃地方の三菱・川崎の飛行機産業、三重県の自動車産業、静岡県 遠州の企業群、更には長野県南部、岐阜県、愛知県の接するエリア の製造部門などを包含している。

そしてこのネットワークの中心が名古屋駅になりつつあるわけだ。 そして名古屋駅を中心にこれらの拠点のネットワークの効率性を上 げることが、輸送機器関連産業クラスターの生産性の向上となり、 名古屋経済圏の生産性の向上となるわけだ。

現在これらのネットワーク上に位置する交通機関は、岐阜─名古屋 駅─三河、三重県─名古屋駅を結ぶ名鉄、JR、近鉄そして一部地 下鉄である。岐阜-名古屋駅間は30分を切るアクセスを可能として いる。名鉄、JRなどの民間鉄道系は特急、快速などを使い拠点間 の時短ニーズに応えている。

しかし地下鉄は時短ができない。名古屋豊田間は御器所、或いは伏 見での乗換えを入れると1時間を見なくてはならない。仮に東京名 古屋間を技術革新により現状より30分時短させたとしても、三河の 高度産業集積エリアまで名古屋駅から1時間かかっていては競争に 勝てない。

現在の市営地下鉄はそもそもその営業目的、更には経営主体である 行政範囲から、それは地域に重きを置いたものであり、駅を飛ばし て時短をする事はありえない。これはこれで非常に重要な機能をし ている。

しかし逆にそれは経済機軸上の交通技術革新となりえていないわけ だ。新交通システムの導入もさることながら、異なる路線の相互乗 り入れ、同じ課金システムなどによる利便性を高める交通革新が必 要になるわけだ。これは鉄道に限ったことではない。

極端な言い方をするなら、池下、今池、千種、栄などの主要な地下 鉄の駅をノンストップで通過して名古屋駅と三河地方を結ぶ特急を 設ける必要があるわけだ。「栄飛ばし」である。かつて「名古屋飛ば し」という言葉があった。それはまさに東京大阪間の時短という市 場ニーズであった。名古屋は見事にそれを退けて死語とさせてしま った。

交通の拠点という観点で見ると、重要な拠点は全国と名古屋のイン ターフェース名古屋駅と名古屋市内と東海道沿線のインターフェー スとなる金山駅である。質量共に両駅の存在感が突出している。自 動車大国であっても駐車場の整備が進んでおらず、その効率性は革 新的ではない。

「栄飛ばし」を死語としてしまうような栄の巻き返しを期待したい わけだが、それ以上に名古屋駅を中心に名古屋経済圏の経済機軸を どこに置き、それに対してどのような交通革新により名古屋経済圏 の生産性を上げるのか?これこそまさに今名古屋経済圏にとって必 要な都市戦略である。

名古屋経済圏の経済機軸のイメージは名古屋駅、中部国産新空港、 三河湖の3点を頂点としたほぼ正三角形がベースとなるのではない だろうか。

以上

 


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