
====[2009年8月25日]==
「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
名古屋ビジネス情報
主宰 川津商事株式会社
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テーマ:松坂屋の岡崎店閉鎖
非常にショッキングなニュースである。しかし状況を考えるといた しがたい。松坂屋が大丸と統合しなければどうだとか考えたくなる が、存続自体が一企業に無理強いできる限界を超えてしまっている のだろう。
松坂屋と言えども東京をコアにする企業の一地方のブランチ店舗に なり、企業の本体を守るために地方を切り捨てていく百貨店のビジ ネスモデルの凋落には、どうしても逆らえない状況になってしまっ ている。
拙著「リスクを移転し始めた不動産投資市場」でも取り上げている が、老舗であれば老舗であるほど体力を消耗し、時代に乗り遅れ評 価されない状況になってしまっている。
新聞報道では、岡崎店の売上減少の要因として郊外型のスーパーの 出現が上げられている。では郊外型のスーパーという流通のビジネ スモデルは磐石か?スーパーが市場ニーズさらには社会ニーズに応 えた安定した生活インフラであるのか?検証する必要があろう。
大手スーパーの経営指標を見る限り氷上の何とかである。激しいス ーパーの競争にさらされて、正社員と言えども決して安泰ではなく、 派遣、契約社員とともに疲弊しきっている。そのような状況では決 して将来を託す安定した生活インフラとはいえない。
過剰な競争は次から次へと勝者と敗者を生み続け、敗者は勝者に吸 収されるか市場から退場させられ続ける。全国の百貨店は、廃業統 合し続けその数を減らし市場規模を急激に減らしてきている。この ままでは最後に1社のみが勝者として残るだけになってしまう危険 性を感じる。
本来考えていたはずの市場競争による効率性の追求は、次ぎから次 へと効率の悪い部門が淘汰される一方で、新しいビジネスモデルが 登場し、市場のダイナミズムを生ずる下で、消費者が効率性の恩恵 を得られるものであったはずである。しかし過剰な競争の結果、勝 者1人しか残らない市場では、逆に多様性を喪失した独占市場を生 み出してしまう。
今フランスでカフェ経済を守るためにコーヒーの値段のディスカウ ント論議が生じている。これは税金問題等が絡んで、日本でマック 等が導入しているコーヒーの値段のディスカウントとは少し違うが、 根本にあるマーケットで起きている事は同じである。
フランスで最も大きい人の就業セクターであったレストラン業界が、 最近の金融恐慌の影響を受けて記録的な倒産を生じている。フラン スでは、かつて食事を取る時間が平均90分あったのが、現在ではそ れから30分も少なくなっているそうである(GUARDIAN誌)。
倹約的な人々がテイクアウトのサンドイッチや、マイクロウエブパ スタを買い食事を済ましレストラン、ビストロに行かなくなったの である。「マイクロウエブパスタ」とは電子レンジでチンする食材で ある。
日本でも同じ事が言える。従来の街のうどんや、中華料理店、ラー メン店、定食屋が次々と姿を消している。それに変わって登場した のがファーストフードのパン、コンビニエンスストアーのやはり電 子レンジでチンする弁当である。
効率の悪い飲食店が淘汰され、効率の良い飲食店がそれに変わって 登場してきたと考え、消費者にもメリットがあるものとして、古い ものが淘汰される事を静かに受け入れてきた。
しかし最近わかってきたのは、司法の立場から次々に疑問を指摘さ れるようなビジネスモデルの実態である。店のオーナーと企業との 間で指定時間商品の廃棄問題。名ばかりの店長でサービス残業を強 要し、人件費を効率化し競争に打ち勝つ常識を逸脱した儲け主義。
本来公正な競争とはいえない、これら信じがたいビジネスモデルを 多用して、従来の飲食店、小売店を市場から席巻していたとしたら、 求めてきた効率性とはいったいなんだったのかと言う事になる。
本当にこれらの新しいビジネスモデルが市場ニーズだけでなく、社 会のニーズに応えたものであったかを疑問に思いたくなる。社会ニ ーズに応えず、市場ニーズのみに応えて暴走する市場であれば、そ の市場は失敗であったと言わざるを得ない。
市場には「市場ニーズ」と「社会ニーズ」があるはずである。前者 は市場の欲求であり後者は社会厚生に対する要求である。市場ニー ズに応える新しいビジネスモデルが生まれる事によって市場は成長 する。しかし社会ニーズを満たさなければやがて自然淘汰されるは ずである。淘汰されなければ社会が壊れる。
確かに最近の新しいビジネスモデルが、市場の新しいニーズに応え て市場を成長させてきた功績は大きい。しかし現実に激しい競争の 結果、業界の統廃合が進み新たな新規参入がなくなり市場のダイナ ミズムをなくし、これを修正しようにも従来の飲食店、小売店が既 になくなっていれば、市場全体が成り立たなくなってしまう。
現実に、郊外の商店街だけではない。名古屋の都心部のリテール市 場を歩いてみてほしい。1階店舗の多くがシャッターが閉まったま まになっている。都心のブランドショップも撤退を始めている。そ して少し前まで有ったコンビニすらしばらく見ない間に閉店してし まっている事がある。そして地方の大店舗の百貨店、スーパーが収 益性のみにより次々と廃業し始めている。
生活インフラである流通システムのビジネスモデルがあちらこちら で破綻しようとしている。しいて言えば安定しているのはアウトレ ットモールくらいだろうか?しかしこれが生活インフラの主役にな るとは思えない。
これらの都心部の店舗の閉店が、景気の悪さだけで説明され景気の 回復と共に飲食店、小売業がもどってくるのであれば、上記の事は すべて机上の杞憂である。あるいは新しいビジネスモデルが登場す れば市場のダイナミズムは失われていない事になる。
しかし市場をつぶしてしまうような悪い効率性により、景気が回復 しても店舗が戻らなければ、やはり市場の失敗である。景気回復で 戻るのか戻らないのか皆さんはどのようにお考えになりますか?
以上
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