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====[2009年6月30日]==
「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
名古屋ビジネス情報
主宰 川津商事株式会社
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  テーマ:オフィスビルの市場メカニズム

  バブルが過ぎてしばらくしてからオーバービルディングが市場に顕 在化してくる。これは特に賃貸オフィスビル市場で通常見られる特 徴である。1980年代末のバブルもバブル時の計画が最後に登場した のが、東京において1994年ごろであった。

  名古屋のオフィスビルの供給のピークがこれから迎えようとしてい る。シービー・リチャードエリス総合研究所の鈴木名古屋支店長も、 来年に名古屋のオフィスビル市場の空室率のピークが来ると予測し ている。

  その中で現在大手新築ビルが苦戦しながらもいろんな模索が行われ ている。とんでもないフリーレント話もうわさによって聞こえてく る。確かに異常な状態である。

  通常、景気が悪く賃貸価格が低迷すれば、それなりに新しい移転需 要が出てくる。例えば安くなった賃料を見て、同等の総額賃料で広 いスペースに移転する需要。或いは高い賃料から安い賃料へ移転し て経費を節約する需要など、価格が落ちこめばそれなりの新しい移 転需要が生まれるはずである。これが市場メカニズムである。

  しかし現在は移転コストすらかけられない状況であり、移転しても 企業内移転が多く賃貸市場には需要としてまったく顕在化してこな いのが今の状況である。長期のフリーレントを設定するなど、明ら かに市場のメカニズムも止めてしまう異常な状況である。

  2000年以降、建物がこれほど集中して新規供給されてきたのは、お そらく1980年代後半のバブル経済以降なかったはずである。2000 年以前でAクッラスのビルで最も新しいビルが名古屋駅前の近鉄ビ ル、日興證券ビルである。いずれも1980年代中である。名古屋駅前 などの主要な拠点に集中するなど、市場にインパクトを与える度合 いから言えば、バブル経済のそれ以上かもしれない。

  しばらく、新規供給の少ない停滞した市場であったとも言えるわけ だ。そこへ大量の新規供給が起きた事になる。そこで通常の市場メ カニズムから言えば、玉突き現象が生じ、徐々に新しい新築物件へ 既存の建物から移転が生じ、順繰りに循環していく事になる事が当 然考えられる。

  この「玉突き現象」は市場メカニズムの裁定取引にあたる。新築物 件と既存の物件との間にある格差が、裁定取引を通じて徐々にその 格差を解消していきやがて裁定機会がなくなり、市場の均衡状態に なる。

  しかし果たしてこの玉突き現象が今回の名古屋の賃貸オフィス市場 で生じるかどうか非常に注目に値するところである。

  筆者は玉突き現象が生じないのではないかという仮説を立てている。 玉突き現象とは、新築の新しい技術を備えた建物施設が、その下位 のグレード物件から移転が生じ、更にそれによって空いたビルはそ の下のグレードのビルからの移転を喚起し、更にその下の・・・を 繰り返しやがて市場の均衡状態に行き着く市場の間かニズムである。

  問題は、名古屋の賃貸オフィス市場が、上記のようにグレードの序 列が正しく並ぶ均一な市場になっているかどうかである。少なくと も今回のバブルで新築され供給されているオフィルビルの下位に位 置しているオフィスビルは、1980年代ノバブル経済以前に建てられ たものがほとんどである。

  この間にグレードの序列としては非常に大きなギャップがある。し かも名古屋のオフィスビルでは経年後の再投資によるリニューアル、 或いは中古ビルの移転に伴うリマネージメントなど、そのグレード を再構築する事はほとんどなされていない。

  名古屋の特に中小のオフィスビルは、上質のマネジメントが市場に ないと言う事もあるが、再投資して価値を更新する経営努力をまっ たくしてこなかった。お金をかけないことが名古屋式の節約と考え てしまっている。その実情は再投資するための資本の蓄積がまった くなされていないのが現実である。金融機関の再生にひつような融 資に対する理解も非常に少ない。

  このギャップは、市場のメカニズム機能に障害を与えるほど大きい と考える。その結果上位のグループ内での玉突き現象は起きても、 このギャップをまたぐ玉突き現象は起きないだろうというのが筆者 の仮説である。

  この仮説を棄却して玉突き現象を起きる事も十分に考えられる。そ れは名古屋のオフィス賃貸市場におけるグレード、経年劣下の要素 が、市場のプライシングにほとんど影響がなく、単に立地だけで市 場ニーズが満足している場合、グレード、技術、マネジメントのギ ャップは関係なくなる。

  立地だけがプライシングされている市場では、都心で多くの新築物 件が供給されると、グレードに関係なくその周辺地域から玉突き現 象が起きる。

  これは名古屋のオフィス市場がグレードに対して価値を見出してい るのか、どれほど賃料に対してインパクトを持っているのか見定め る事ができる重要な要素でもある。これは名古屋の賃貸オフィス市 場そのものの質を判断するものでもある。注視していきたい。 以上

 


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