
====[2009年6月20日]==
「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
名古屋ビジネス情報
主宰 川津商事株式会社
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テーマ:名古屋異質論
名古屋異質論がいよいよ市場で認知されてきました。良しも悪しも、 名古屋の特徴がいよいよ市場で認知されはじめてきた。名古屋異質 論のもっとも大きな特徴は、名古屋異質論はそのまま日本異質論に 通じるところがあるという事である。そしてその本質にあるのは何 か?
当ニュースレターでも、最近名古屋異質論という言葉を何度か使い 始めてきた。これは名古屋だけにいるとなかなか気づかない事であ る。東京等名古屋以外の方に名古屋の事を説明すると、話している 最中に名古屋異質論が日本異質論に酷似していることが、話してい る自分自身が非常に感じる。
さて、先般朝日新聞系の雑誌アエラ(6.22)の中で「ぐっちーさん のここだけの話」の中で「名古屋異質論」が登場していた。この方 は金融アナリストであり、著名なブロガーであるらしい。著名な人 により全国紙に活字として登場した事により、いよいよ名古屋異質 論が全国レベルで認知され始めたと言えよう。
まず、差障りのない程度にアエラの記事の中で使われている単語を 紹介しておこう(詳しくはちゃんとアエラを買って読んでください)。 「蕎麦ときしめん」、「名古屋凋落論」「名古屋が日本の中で異質だ」 「世界の中で日本が異質だ」「トヨタ」「ヴィトンの売り上げ1位」 「無駄金を一切使わず一気に勝負する」・・・・。
弊社が感じている名古屋異質論と多少違うところもあるが、概ねで は同じである。筆者が感じる名古屋異質論も、名古屋を説明するの に大きなマクロな経済レベルからマーケットを見ようとすると、ふ と世界の中の日本の特徴を説明しているのか、日本の中の名古屋の 特徴を説明しているのか、ごっちゃになってしまう感じにしばしば 襲われる。
日本は鉱物資源国とか歴史的な地勢の局地にあるわけではない。政 治的な有意義を持っているわけでもない。顔が見えてこない。ノー ベル賞を独占しているわけでもない。民族的どちらかといえば閉鎖 的で過去はさておいて世界中の重要な要所、セクターに人事を配し ているわけでもない。開放的ではなく、少し見えにくいところがある。
日本の発言力、公権力、存在感からして決してメジャーな存在では なく、その評価はどちらかといえばマイナーな存在である。要は目 立っていないのに、なぜか知らないうちにふと気が付くと外貨準備 高、GDP等経済指標レベルではトップレベルの経済大国となって しまっている。
かといって日本は独自の主張があるわけでもなく、独立独歩でわが 道を行くではなく、大国の後を追随して、何とか世界の潮流に乗ろ うとし、保守的であり、大国の中での同じように右にならい、陳腐 な野心を追求している。
上記の日本を揶揄した説明の「日本」という言葉を、そのまま名古 屋に置き換えてみてください。大して違和感がなく読めてしまうは ずです。
トヨタ自動車も異質といえば異質である。日本の優秀なトップ企業 のほとんどは、東京に移転集中して東京利権(東京倶楽部)を形成 している。その中でトヨタはその拠点を名古屋圏に置いたままであ る。東京利権に一歩距離を置いているにもかかわらず、トップ企業 としてグローバル経済を闊歩している。東京倶楽部という日本経済 の利権構造から見ればこれほど異質はない。
「全国を飛び回って、特に東京大阪間は常に行きかいしているが、新 幹線で名古屋はいつも通過するばかりで降りた事はない。自分が深 くかかわったことがないのにもかかわらず、知らないうちに名古屋 駅前に高層ビルが立ち始め元気経済が出現している。」
「名古屋に転勤していた事はあるが、自分のキャリアの中でキーワー ドとなる業績を名古屋で築いたわけではない。何か決定的な説明が できないがなぜか名古屋の経済が知らない間に元気になっている。」 等等の声が聞こえてくる。
私事ではあるが、15年以上も前の事、作家の故城山三郎氏を直接訪 ね、お話しを聞く機会があった。氏は自身若い時に「創意に生きる〜 中部財界史」を著作し、中部経済圏には造詣が深く、またそれ自体が 氏に非常に大きな影響をもたらしてきたとの事である。
名古屋から来た若輩の私に氏が言ったのは、当時ちょうど名古屋出 身の海部俊樹首相の時代であり、次期経団連会長にソニーの故盛田 氏(愛知県出身)が内定しており、又当時第3次行革審会長として 行政改革のトップ就任していたのがやはり愛知県出身の鈴木永二氏 であった。
この事は当時名古屋でも大して気が付いている人は少なく、関心も なかった。城山氏はこの点説明して、「戦国の世の三英傑(織田、豊 臣、徳川)を上げるまでもなく、政財官のトップを一度にすべて名 古屋圏から輩出する事は他ではありえない事だよ。名古屋というと ころは、蓄積したエネルギーを一度に放出した時とんでもない力を 発揮する。あなたたち若い世代も・・・」という話を拝聴して帰っ てきた記憶がある。
いわれてみると、織田信長も時代の主流ではなく、関東と京、東か ら西の権力を目指す、京と関東の間で権力闘争ルートの通過点の一弱 小武将でしかなかった。それが天下を取ったのである。トヨタも決 して創業当初から傑出していたわけではない。しかし世界に冠たる 企業となった。
この名古屋の特徴の本質はどこにあるのであろうか?これは私共が 常に考えている点である。城山氏の言うように名古屋経済の大きな 特徴は何百年に一度、何十年一度大きな力を顕在化させるが、名古 屋の経済の本質はむしろ、そのベースとなる非常に大きなエネルギ ーを蓄積する体質にあると考える。
2004年以降の名古屋の地価を押し上げた都市バブルにおいて、バブ ルを起こしたのは東京からのファンドマネーであって、名古屋の金 融機関ではない。名古屋はバブルに乗らなかったという論調がある。
確かに金融機関から不動産に直接流入したマネーは外資であったか もしれないが、名古屋の企業が蓄積してきた非常に大きな内部留保 とあわせて金融機関がこぞって融資した企業の設備投資は、世界市 場で日本車がナンバーワンになるだけの設備を生み出しそしてそれ が今過剰設備となっている。これはバブル以外に何者でもない。そ の背景にはやはり大きなエネルギーの蓄積があったはずである。
いい意味でも悪い意味でも名古屋はエネルギーを蓄積する体質があ る。これが一気にプラスに放出したとき、市場に非常に大きなイン パクトをもたらし力となる。これが名古屋の実態であろうと考える。
名古屋は経済機軸の通過点に位置し、この経済機軸に豊かな経営資 源を提供して経済機軸の成長に大きく貢献し、その貢献にたいする 報酬を蓄積してきた。これが「名古屋」のポジションである。この ポジションは同様に「日本」のポジションでもある。
欧米とアジアの経済機軸の通過点にあり経済大国となってきた。今 アジアがそれぞれ直接欧米とパイプを持つようになっていくと共に、 日本の存在感が薄れていく。大阪東京間の経済機軸が不明確になり、 東京一極集中が進む中で名古屋の存在感が果たしてどのようになっ ていくのか?
これは名古屋が考えなくてはならないビジョンである。
追記 城山三郎氏に面談した15年前、氏が名古屋で注目されている 方は誰ですかとお聞きしたら、当時「蕎麦ときしめん」を著した新 進気鋭の作家清水義範氏の名を上げられていた。
城山氏の「創意に生きる〜中部財界史」は既に絶版になっています。 古本としても流通はしていますが、名古屋商工会議所(窓口 丸善) のほうでも復刻版を出しています。
以上
キーワード:ポスト2010年、名古屋異質論、城山三郎、トヨタ、織田、豊臣、徳川、名古屋ビジネス
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